小児科 すこやかアレルギークリニック

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2012年09月07日 更新

9月15、16日と大阪で日本小児アレルギー学会が開催されます。

この場でも時々触れていますが、この学会の中で「開業医でもできるアレルギー診療」というセッションがあり、ぜんそくとアトピー性皮膚炎、食物アレルギーのそれぞれについてアレルギーにこだわって診療している開業の専門医が15分話すことになっています。

私は食物アレルギーの分野を話すことになっています。友人の浜松の川田先生は、私よりもよりこだわった負荷試験をされているので、川田先生が適任と思っていましたが、ご指名ですので話させて頂くことにしました。ちなみに、川田先生はアトピー性皮膚炎のところを担当されます。

学会で話させて頂くのは大変光栄なことで、私も「いい話がしたい」と意気込んでいるのですが、ちょっと空回りしているようです(汗)。毎日、大勢患者さんが受診されており、当院は感染症が少ない夏でもガクンと受診が減らないので、診療が終わる頃にはグッタリしてしまいます。家に帰ったら仮眠を取らないと、学会の準備ははかどらないのです。

食物負荷試験は、卵アレルギーならゆで卵や卵焼き1個、牛乳アレルギーなら牛乳200mlを摂取できるかどうかをみる検査です。当然、アレルギーが重いお子さんの場合は、そんな量を摂取できるはずもありません。

そこで、卵なら上限を1/16などに区切って、少ない量の卵で負荷をして、それをクリアすれば、卵1個に挑戦するという方法があります。これまでは、加工品にどれくらいの卵タンパクを含むという情報も少なかったのですが、最近は「加工食品のアレルゲン含有量早見表」というものが出たりして、このお菓子には卵成分が何グラム入っているかという情報が増えてきました。当院では、加工品を用いた負荷試験を積極的に行なっています。

外来で食物アレルギーの患者さんによく言うのですが、卵白がクラス2の場合だとゆで卵や卵焼きは15%の確率で食べられるというデータがあります。85%の方は何事もなく食べられるとも言えます。

15%の人がみなアナフィラキシーという訳ではないですが、負荷試験をやるには極力リスクは避けたいので、更に症状の起こる確率を減らしたい訳です。そこで卵を含む加工品を使えば、卵1個分のタンパク量は含みませんから、明らかに15%を下回ることができるはずです。

薄いものを食べられれば、濃いものを食べる“挑戦権”が得られます。少なく含む食品を食べられない人が、卵焼きなんて食べられるはずもありません。そういう風に、刻んで一歩ずつ前に進んでいくと、いずれは卵焼きを食べる“挑戦権”がゲットできます。いきなり卵焼きを食べさせるよりは、安全に食べ進めていくことができる訳です。

負荷試験は、アレルギー検査の値が高くても“食べた者勝ち”と言えます。多くの患者さんが驚かれますが、例えば卵の値がクラス6でも、卵入りのクッキーを食べられれば、「もっと濃いものが食べられるかも?」という欲が湧いてきます。そうやって前進していくと、「卵焼きを食べさせてみようか?」なんて話になり、実際に当院では2名ですがクラス6でも卵焼きをなに不自由なく食べている患者さんもいます。

誤解がないように言っておきますが、これは例外的と言えましょう。クラス6だと、クッキーでも厳しいケースもあります。ただ、私の中では「卵白がクラス6」=「卵は一切食べられない」とは考えていません。やはり食べて挑戦してみなければ、何とも言えないのです。

そんな感じのことをお話しさせて頂こうかと思っているのですが、ちょっと厳しい質問が出て「エビデンス(医学的根拠)を示して下さい」なんて言われたら、質問によっては返答に困ってしまうケースもあるかもしれません。

できれば、用意周到にやりたいのですが、学会の日も近く、充分な時間もありません。いや、あったはずなのですが、講演などの準備をやっているうちにこんな直前になってしまいました(大汗)。

ただ、過去の経験からも「この子は食べられる可能性がある」と思えば、食べさせる努力はしています。ダメだったこともありますが、ダメでなかったことも多く、上手く食べられた時のお母さんの安堵の表情を見るのが好きです。

学会のスライドを作成していて、ガイドラインを確認すると「充分な経験を持った医師しかやってはいけない」ようなことが書いてあり、クラス2以下ならちょっとやってみてもいいとか、開業医ではクラス4以上では負荷はなかなか行なわれていないという報告もあります。負荷試験に向けて勉強すると、出鼻をくじかれるようなことが書かれていることもあります。

私の今回の発表の役目は、「開業医でも負荷試験をできなくはないんだよ」と同業の小児科の先生を勇気づけることにあるのだろうと思います。開院5年で、大きなトラブルもなく1100件以上の負荷試験を行った経験をお話しし、「オレもやってみようかな」と思って頂けるような話を組み立てなければいけません。一人でもそういう気持ちになってくれれば、大成功と言えましょう。

ということで、準備がまだまだ終わりそうにありません。大阪に出掛ける前日まで悩みに悩みそうです。