講演の準備もしなくてよくて、天気もいいという週末を久々に迎えました。
某車メーカーのCMじゃないですが、「男旅」をしてきました。高速を使ってドライブして、へぎ蕎麦を食べてきました。新潟の誇る海藻をつなぎにつかった独特の蕎麦です。ずっと忙しかったので、身体を休めるためにも近間で済ませる方法もあったのですが、ある程度離れていないと「男旅」と言えないのではと思い、頑張りました(笑)。
先日、食物アレルギーの患者さんが受診されました。もう小学生なのですが、卵も乳製品も小麦も肉類も、甲殻類、軟体類、貝類、ナッツ類と多くのものを除去していました。そのご苦労たるや、大変なものだったのだろうと思っています。
話を聞いていて、色々除去しているものがありそうだと思うと、「何を除去していますか」と聞いています。まさに“単刀直入”ですが、アレルギー検査の数値が高いとか、食べたら口の周りが赤くなったとか、いろんな「きっかけ」があると思います。
すこやか健康フェアで相模原病院の海老澤先生もおっしゃっていましたが、何種類もの食品を除去している場合、実際に負荷試験をやってみるとほんの数種類に絞られることが多いということです。私自身も、小学生のこの患者さんがこれだけの除去は必要ないのではないか?と感じました。
よく書いていますが、小麦の除去はかなり大変です。なぜなら、麺類やパンなど主食だし、子どもの好きなクッキーやビスケットなども小麦が含まれます。卵や乳製品だけでも大変ですが、小麦も除去となると労力は倍増すると思っています。
外来がとても混雑していて、申し訳ないですが、普段のように30分は掛けられないなと感じました。ただ、方針は明確に伝えなければなりません。もちろん「食物負荷試験」という検査が存在し、食べられるかどうかを確認するしかないと話しました。
親御さんとの話の中で、以前かかった医師から「虐待」と言われたような話が出ました。最初は「あれもこれも食べさせていないことが“虐待”に当たる」と言われたのかと思いましたが、話は逆でした。
お母さんはアレルギー検査の数値が高くても、最初のうちは食べさせていたそうです。前医が言うには、「数値の高いものを食べさせることが“虐待”」なのだそうです。
これをお読みの方の中には、怒りを感じる方もいらっしゃることでしょう。食物アレルギーのことを知らないのなら、母の胸に突き刺さるような、母として最も衝撃的であろうと思われる言葉を安易に使うべきではないのです。私も話を聞いていて、腹が立ってきました。
ただ、患者さんはもう小学生であり、その言ってはならない言葉が発せられたのが、もう何年も前のことです。今ほど「食べて治そう」なんて言われていない時代でした。今ならドクターハラスメントなんて言われかねないのですが、こんなに腹立たしい言葉を医師から言われても、泣き寝入りするしかないのです。
しかし、数年前であろうと、私は前勤務先の病院で「食物負荷試験」はやっていました。今ほど「すこやか健康フェア」を開催したり、各地に講演に出向くということはやっていなかったので、当時は縁がなかったということでしょう。
当院にかかっている年長の患者さんの中には、前医の除去一辺倒の指導が抜け切らない方もいらっしゃいます。最初の“指導”ってインパクトが大きいのだろうと思っています。もしかしたら、赤ちゃんのうちに私が診ていれば、展開が大きく異なっていたかもしれないと思うと、悔しい気もします。
あと気になるのは、虐待と言い放った医師が、時代が変わった現在でも同じことを言ってやしないかと不安に思っています。日頃から指摘していますが、10年前の食物アレルギーの知識で診療している医師は、残念ながら県内には少なくありません。
食物アレルギーに関して、明らかに時代が変わってきています。新しいことを学ぼうともせず、負荷試験の存在を知っていながら、患者さんにそういう検査の存在すら伝えない医師は、今回のケースと本質は変わらないと思っています。
当院は、負荷試験を行ない、除去を解除できるものは解除するように努力しているつもりです。未だに食べられるものを、除去するように指導される患者さんが多く、“食物アレルギーが作られている”と言っても過言ではないでしょう。今回のケースは、医師の“虐待”という言葉が、「きっかけ」なのだろうと思っています。
今後は、こういう患者さんを作ってはならない、と思っています。


