小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

不採用…
2013年01月23日 更新

昨日、ネットニュースでこんな記事が載っていました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130121-00001690-yom-soci

「女児死亡の小学校、9月にも給食アレルギー事故」と書いてあり、読んでみると、別の卵アレルギーの患者さんにオムレツを出してしまい、病院に救急搬送されたというものです。

これだけ読むと、「なんて不注意な学校なんだ」、「子どもの命をなんだと思っているんだ」と多くの方が思うでしょう。では、こういう誤ってアレルゲンを給食で食べさせてしまうのは、この学校だけなのでしょうか?。

答は、「そうではない」です。私はエピペンに関する講演をする機会が多いですが、その時に数年前に起きた兵庫県の事例を挙げさせて頂いています。これも新聞沙汰になりました。

ある小学校で、重症な牛乳アレルギーのお子さんに乳成分の含まれる食品を誤って食べさせてしまい、アナフィラキシーに陥ってしまいました。ちょうどエピペンを学校でも預かり、場合によっては教職員が投与してよいと言われ始めた頃のことでした。

その時は、預かったエピペンを学校側は打たず、慌てて駆けつけた保護者がエピペンを打って、事なきを得たという内容でした。記事を読むと、なぜ危険な状態でエピペンの投与の適応だったのに学校側は使用しなかったのか?と、学校側に批判的な内容でした。この患者さんも、記事を読む限り、かなり重症だったようで、一歩間違えば死亡していたかもしれません。

昨年の夏、当院で牛乳アレルギーの診断で乳製品の除去を指示していた患者さんに、ホワイトソースの載った焼きそばを食べさせてしまい、アナフィラキシーを起こし、親御さんが慌てて当院に連れてこられたこともありました。処置の中で、エピペンと同じ成分のアドレナリンの投与を必要としました。

もっと前のことですが、当院で診ている重症な牛乳アレルギーのお子さんが、脱脂粉乳入りのパンを誤食し、アナフィラキシーを起こし、近くの病院に搬送されたこともありました。やはりアドレナリンを投与された上で、1日入院しています。

まだまだ誤食でアナフィラキシーになったケースは他にもあります。ちなみに、原因について触れますが、最初のケースは、その園には食物アレルギーのお子さんが2人おり、2つの除去食を入れ違えて出してしまったという、園側のミスです。

次のケースは、園の栄養士さんが「乳成分は入っていないか?」と業者に確認し「大丈夫」と言われた上で食べさせたものでした。要は業者の言うことが当てにならなかったということです。

こんな感じで、誤食はいつでも起こり得ます。かなり大規模な調査で、1年間に29%の園で誤食があったと言います。つまり、3分の1にも上ります。

私も含め、人間はミスをする動物と言えるでしょう。軽ければ、口の周りの蕁麻疹程度で済みますが、そういう軽いものも含めると、誤食は日常茶飯事と言っても過言ではないと思います。東京の学校が叩かれていますが、全国のどこの園、学校でもアナフィラキシーや死亡事故は起こりうると思っていますし、それを多くの方々にも知って頂きたいのです。

もしかしたら、少し時間が経てば、特にアレルギーを持たない方々は、今回の事故のことを忘れてしまうことでしょう。特に行政の方々には忘れて欲しくはなく、逆にこのタイミングで、改めるべきは改めて頂きたいのです。

22日、地元のテレビで今回の東京での死亡事故を受けて、新潟県は大丈夫かという報道がされました。私もその中に出てきて、エピペンの重要性を話させて頂きました。

一番強調したかったことは、新潟県内の30市町村のうち、エピペンを預かる等の国の推奨したガイドラインに沿った体制作りをやっていない市町村の方が多く、早急に対応して欲しいと収録では話しているのですが、そこは採用されていませんでした。

二度目は許されないため、ある程度行政側にプレッシャーを掛けて欲しかったのに、それに配慮したのかどうかは分かりませんが、もう少しなんとかならなかったのかという思いはあります。

昨日のニュースの中で、食物アレルギーのお子さんを持つ親御さんが、死亡事故のニュースを聞いて「不安で眠れなかった」とおっしゃっていました。やはり、当事者でなければ分からない問題です。

これまでいくつかの行政とこの問題について話し合ってきました。これは死亡事故の前のことではありますが、重い腰を上げたがらないというのが私の正直な印象です。行政側の“良心”に期待するしかないのでしょうか?。