小児科 すこやかアレルギークリニック

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初アドレナリン
2013年03月22日 更新

負荷試験を再開して、1週間以上が経ちます。

当院の場合、開業医で入院施設を持ちません。「負けるケンカはしたくない」という方針なので、食べられそうなものを確実に食べさせる方法を取っています。WBCの日本の戦術のように、ランナーが1塁に出れば、送りバントというような堅実な手法です。

再開して30件くらいやったでしょうか、つい先日までは全例が食べられることが分かりました。

ただ、いつもうまくいくとは限らなのが負荷試験です。先日、牛乳アレルギーのお子さんに、やはり「負けるケンカはしたくない」方針のもと、乳成分を含む加工品を使って負荷試験をやろうと考えました。

慎重になった理由は、他にもあります。結構重い牛乳アレルギーだからです。過去にウィンナーを食べて、蕁麻疹が広がり、ゼーゼーしたと言うのです。血圧が下がるようなアナフィラキシーショックではないものの、呼吸器症状もあり、アナフィラキシーといえる状況です。

加工品と思ったのは、例えば牛乳の負荷試験の場合、牛乳200mlを飲ませる訳ですが、こういうアナフィラキシーの既往があると、最初にどれくらい飲ませたらいいのか思案のしどころです。負荷試験のガイドラインを見てみると、重症な場合は0.1ml、1ml、2mlと増やす方法も一例として挙げられています。

0.1mlを取り分けるのは難しく、加工品の方が厳密ではないですが、1個を何分の1かに分けて食べ進めることができます。こんな感じでやっていますが、あくまで最終目標は牛乳200mlです。

今回使った加工品は、1個にだいたい牛乳が何ml入っているか分かっているため、まず4分の1個からスタートしました。そうしたら、蕁麻疹がちょっとだけですが、出てしまいました。

それ以上の悪化はなく、負荷を続行しました。そうすると、急に鼻水が出始めて、蕁麻疹が足などにもパラパラと出てきました。咳も軽く出始め、ここで負荷試験は中止としました。

最初はステロイド薬の内服で対応できそうかと思ったのですが、その後から軽くゼーゼーも出てきてしまいました。これはエピペンの成分である、アドレナリンの筋肉注射が必要と考えました。調布市の食物アレルギーの死亡事故でも教訓となりましたが、エピペンによるアナフィラキシーの対応は早期発見、早期治療が望ましいと思っています。

当院では、9割以上が症状を起こさないため、起こしたとしても、こういったアナフィラキシーに至ることは滅多にありません。今年は一月の途中まで負荷試験をやっていましたが、アドレナリンの使用は、今年初となります。

負荷試験の時は、もし症状が出れば、親御さんに使用した薬の効果を確認して頂いています。アドレナリンは即効性があるので、ある意味ダイナミックに効いてくれます。

アドレナリンを打ってまもなく、鼻水とゼーゼーは消失しました。やや息苦しそうに見えましたが、楽そうになっています。親御さんもちょっと効きの良さに驚いていましたが、アドレナリンはこんな風に効くのです。

アナフィラキシーが重い時は、思ったほど効かないと感じることもあります。一度良くなりかけても、再度悪化することもあります。アドレナリンは、効くもの早く、切れるのも早いからです。

ただ、今回の患者さんは、ぶり返しもなく、効いてくれました。やれやれです。しかし、負荷量としては1mlに満たない量で、アナフィラキシーを起こしてしまった訳です。

負荷試験では、アレルギー症状を起こさないに越したことはありませんが、症状が出たことで、厳しい「現実」を突きつけられることになります。

その事実を考えると、家や園で乳製品を誤って食べてしまった場合が怖いともいえます。親御さんやこの春から通う園の先生方には気を引き締めて食事にあたって頂きたいと思っています。