小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

またしてもこんなに早く
2013年04月02日 更新

食物アレルギーは、「食物負荷試験」をして初めて、どれだけ食べられるのかを知ることができます。

多くの小児科医が「食物負荷試験」の存在を封印してしまっているため、私はそれを広めるために、いろいろな啓発活動をやらざるを得ないと言っても過言ではありません。

毎年、この時期は新年度のスタートいうこともあり、負荷試験が混み合います。月、火、木、金曜とやっていますが、しばらく予約が埋まっている状況です。そういう状況を見るにつけ、「意地でも広めてやる」と思ってやってきた努力が報われたような気がします。

ただ、多くの小児科医が検査の存在すら説明していないため、感覚的には食物アレルギーで困っている患者さんの7~8割はご存知ないと捉えており、当院の孤独な戦いはまだまだ終わりそうにありません。時には、「広まっているな」と思いたくなるのです(笑)。

負荷試験を受ける患者さんは、皆が上越市の方ではありません。柏崎市、妙高市、糸魚川市からも受診がありますし、昨日は2人が長岡市からでした。負荷試験を実施する医療機関がなく、そんな状況で私を頼って下されば、力になりたいと考えています。

昨日の負荷試験は、柏崎市からの方もいらっしゃいました。私には、強烈な記憶が残っているお子さんでした。

実は、生後まもなく、まだ実家のある新潟県内の某市にいらっしゃる時に発症されました。ミルクを飲み、じきにアナフィラキシーショックの状況に陥ったそうです。

お母さんも相当ビックリされたことと思います。救急車を要請した訳ですが、その日は確か休日であったと記憶しています。手近なところで対処してもらうことが必要なのに、なんと市内の病院に受診を断られたようです。アナフィラキシーショックを断るなんて、問題があると言わざるを得ません。

その後、少し離れた新潟市に搬送されます。行き先は急患センターでした。そこを経由して新潟市民病院の専門医の元へ搬送されました。かなりのタイムロスです。後遺症もなく幸いでしたが、一歩間違っていたら大変な問題になっていたところでした。

やはり県内の某市で、食物アレルギーの症状で緊急受診しようとしたところ断られ、長岡市内の救急病院に搬送されるということがありました。これは冬期間で、雪道を救急車で搬送されました。ご無事で良かったのですが、新潟県のアナフィラキシーの緊急対応の体制に不安を感じる案件だと思っています。

その生後数ヶ月でミルクを飲んでアナフィラキシーショックを起こした赤ちゃんに、負荷試験を行いました。食材はなんと牛乳でした。

当院は開業医ですので、「負けるケンカはしない」というコンセプトで負荷試験をやっています。アナフィラキシーショックを起こすかもしれない重症な牛乳アレルギーのお子さんに、いきなり牛乳で負荷試験はやっていません。乳製品の加工品を用いて、食べられることを確認しています。いわば「外堀が埋められている」状況でしたので、「牛乳が飲めるのではないか」と考えた次第です。

少しずつ牛乳を飲ませていくのですが、やはりこちらも緊張します。診察室で別の患者さんを診療しながらですが、気にならないはずはありません。

ただし、私の心配をよそに、負荷量はどんどん増えていきます。結局、最終的に200mlを飲みきり、何も症状は出ませんでした!!!。

少し前にも牛乳で強めに症状を起こしたお子さんが、牛乳の負荷試験をクリアした話をしましたが、このお子さんの方がもっと重篤な症状を来しました。その後の経過から「大丈夫そう」とは思っても、気の抜けない状況でした。

それが、意外にもあっさりと200mlを完食してしまうと、ちょっと拍子抜けという気もしてしまいます。それにしても、命を奪うまでの牛乳アレルギーがある中で、ものの2年ほどで治ってしまうのはどこに差があるのだろうと不思議でなりません。

こういう経験を繰り返していると、乳児期にアナフィラキシーを起こすほどの食物アレルギーの患者さんであっても、治ることもあると言えるのだろうと思っています。過去にアナフィラキシーを起こすと、往々にして「ずっと食べられない」と説明する小児科医も多いと思います。

「必ずしもそうではない」、そう感じさせられました。また、小さい頃にアナフィラキシーを起こし、「もしかしたら一生食べられないのではないか」と絶望している患者さんを、勇気づけさせることができるのではないかと感じた昨日の負荷試験でした。