昨日、長岡市にある小学校に行ってきました。
私の診ている食物アレルギーのお子さんが、この春、新一年生として小学校に通うことになりました。卵アレルギーがあり、エピペンを所持しているので、昨年はこの子の通う園にエピペンの取り扱いについて説明に行きましたし、今度は小学校に行く必要があったのです。
既に消防隊員によるエピペンの使い方の講習は受けたようです。それは結構なことですが、それだけでは不十分であることを強調したいと思います。
もちろん、エピペンの持ち方や打つ場所を知らなければなりません。それは既に理解されていたようです。それでは、私の出番はなくなります。
一番重要なのは、打つタイミングです。また、打ってどれくらい有効なのか、副作用はあるとしたらどういうものか?、打つ必要がないのに打ってしまったらどうなるのかなども知りたいところだと思います。
なぜ筋肉注射なのか、お尻に打ったらどうなるか、望ましい保管場所は?、問題があった場合、法的責任を負わなければならないのか、なども知っておかなければなりません。
先日、ある園から当院に電話がかかってきました。ある医療機関からエピペンを処方された子がいるが、エピペンの取り扱いを説明して欲しいというものでした。本来、処方した医師が対応すべきことですが、食物アレルギーの専門医でない医師が処方したようなので、それは無理でしょう。これも私の仕事と考えています。
詳細はまだ分かりませんが、アナフィラキシーの既往を聞いてみるとないそうで、アレルギー検査の数値が高いからエピペンを出されたのだそうです。
これは正しいのかもしれないし、正しくないかもしれません。
本来なら、食物負荷試験をやってどこまで食べられるのかを調べる必要があります。当院では、クラス6であっても、あれもこれも食べられ、結果的に除去する必要がないケースすらあります。エピペンを出すことも間違っていないのかもしれませんが、負荷試験をやることも必要です。
負荷試験をしていない医師が処方していたので、エピペンを出すだけの対応では片手落ちだと思います。こういう人こそ、専門医に紹介しなければならないのですが、紹介されてきたことはまずありません。
県内でも調布市の死亡事故を受けて、専門でない医師がエピペンを処方するケースが増えているようです。本当にエピペンが必要なのかをよく考えて欲しいし、そもそもそのお子さんが食物アレルギーがあるのかを確認することも重要であることに気付いて頂きたいと思っています。
話はやや逸れてしまいました。現在は、学校職員や園職員がいざという時にエピペンを打つことが求められるようになりましたが、もちろん目的は「子どもの命を守る」ということです。
テレビなどでも「迷ったら打って欲しい」と専門の先生が言ったりしていますが、そういう言い方が、逆に難しかったりします。食物アレルギーの症状だと考える根拠や、どういうタイミングでは“打たなければならない”のかといった情報を与えられて初めて、迷うことができるので、それなりの知識は必要だと思っています。
その辺の話は、残念ながら消防隊の方や教育委員会の方では難しいと思うのです。先程も述べたように、早まって打ってしまい、副作用が出て、逆に訴えられたらどうしようとかという不安も出てくると思います。様々な情報を園や学校側に提供した結果として、本当の協力が得られるのだと思っています。
昨日の講演に、テレビ局の方も同行取材という形で参加されていました。講演後、インタビューがあり、こういう活動は医師がすべきと述べました。実際に放映時に採用されるか分かりませんが…。
いずれにしても私としては、エピペンを持ったお子さんが通う園や学校で、医師以外の方から打ち方を学んだ、それで充分だという場合は、「ちょっと待った」と言いたいと思っています。


