小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

飲めちゃった
2013年04月17日 更新

福山雅治さん主演のドラマ「ガリレオ」が始まりました。

ドラマの中で物理学者を演じ、事件のトリックを科学的に証明し解決していくというストーリーです。彼の口癖が「実に面白い」というものです。

連日、アレルギーについて話し、多くの困っている患者さんのためになればと思っています。ぜんそくやアトピー性皮膚炎もそうですが、特に食物アレルギーに関しては専門医が極めて少なく、多くの医師が「食物負荷試験」の存在を知らせていないため、これだけの情報化社会の中にあって、適切な情報の与えられていない患者さんが多いのは悲しいことです。

この食物負荷試験、県内ではトップレベルに多い件数をこなしています。やっている者にしか分からないでしょうが、この負荷試験が「実に面白い」のです。

多くの小児科医がアレルギー検査の数値だけで食べられる・食べられないの判断をしていますが、そもそもそれができないから、診療しながらリスクを覚悟の上で「食物負荷試験」を実施しています。

昨日も触れたように、卵白の値がクラス6なのに、卵を多く含んだ食品であるカステラを食べられることもあります。数値が低いのにアナフィラキシーを起こしてしまうこともあります。負荷試験を終わり、「良かったね、食べられたね」なんて言っていて、少し時間が経ってからアレルギー症状が出てくることもあります。

昨日経験した負荷も、興味深いものでした。牛乳アレルギーの幼児に牛乳を負荷しようと思いました。まだ小さいので、200mlではなく100mlくらい飲んでもらえればと思っていました。

いつも通り、少量から飲んでもらうのですが、目の回りに細かいじんましんが少し出始めました。咳や嘔吐などはないのですが、機嫌が悪くなり、なかなか泣き止みません。

負荷試験をやっていると、この時点で「ヤバいな」と思います。小さい子が機嫌が悪くなるというのも症状のひとつと捉えています。自分の中で、負荷試験自体を「ここで止めるべきか」と思いました。

症状が軽ければ抗ヒスタミン薬を飲ませるのですが、使わないに越したことはありません。少し様子をみて、更に悪化があれば薬を飲ませようと思い、待つことにしました。

顔のじんましんも引いていき、機嫌も回復してきました。症状は軽かったので、引いてくれたのでしょうが、半ば「負荷試験は終わりにしよう」と思っていたのですが、検査続行という選択肢も出てきたのです。

ここで続行した場合、だめ押しとなって次は強めに症状が出ることもあります。口の周りにじんましんが出ても、じきに消えてしまえば検査を続行することはよくあることです。アナフィラキシーは避けたいのですが、シロクロ付けるために負荷試験に臨んで頂いたので、続行することにしました。

症状が出る可能性が高いと考え身構えながら、また牛乳を少し飲ませてみます。意外にも飲めてしまいました。また量を少し増やして飲ませることにしました。

結局、多少のじんましんは出たものの、無事に120ml飲んでくれました。幼児の場合、「機嫌が悪い」というのは、腹痛なり、身体の変調を口で言い表せないので、泣いたり、機嫌が悪くなるという形で表現することもあります。

牛乳に強いアレルギーがあれば、120mlも飲めるはずもありません。機嫌が悪かったのは、何らかの症状のためにそうなったのか、たまたま泣きたかったのかはよく分かりませんが、家でも牛乳なりヨーグルトは少量から摂ってもらおうと判断しました。

これまで負荷試験を受けた幼児が機嫌が悪くなると、そのまま症状が悪化することが多かったので、負荷試験を中止しようと思った矢先の“逆転ホームラン”と言えましょう。私自身も勉強になりました。

負荷試験は、症状が誘発され、まれに強めの症状を起こすことがあります。親御さんもそうでしょうが、私自身も「しなきゃ良かった」とさえ思うこともあります。ただ、そういったリスクも分かった上で負荷試験をやっており、多くの患者さんが食べられるようになったと喜んで帰っていかれます。

リスクを踏まえ、私自身も負荷試験に臨んでおり、面白おかしく言うつもりは更々ないのですが、食物負荷試験は「実に面白い」と言えるのだろうと思っています。