先日、朝のワイドショーで給食の最前線という話をしていました。
ある中学校では、自宅から持ってきた弁当と、外部委託の弁当(仕出し弁当のようなもの)のどちらかを選ぶようになっていました。
この番組でも、話の入り方は、調布市の死亡事故の話題からでした。アレルギーがない場合は、親御さんの希望として弁当の方が有り難いのかなと思います。アレルギーがあれば、弁当にならざるを得ないのかなと思っています。
外部委託の弁当では、「冷たい」という意見もあるようです。でも、衛生上の問題から冷ましてから提供しなければならない決まりがあるようで、給食はアレルギーも含めて様々な問題があるのだと思い知らされました。
番組を観ていて、私が子どもの頃に普通に食べていた給食は、みんなが同じものを食べていましたが、こんなにも変わってしまったのだと感じました。
横浜市では、給食センターで給食を作っており、調理場の一角でアレルギー対応食を作っていました。アレルギー対応食と一般給食を作る時は、微量でも混入しないように、大きな鍋で一般給食を作る時には、アレルギー対応食の鍋のフタを閉める徹底ぶりが画面に流れていました。
これは横浜市だけではなく、アレルギー対応食をやっている行政も他にもあり、テレビで観たことがあります。こうやるのにはお金が相当かかるようで、手間もかかることでしょう。かと言って、予算がふんだんにある行政も少ないでしょうから、現実と理想のギャップがあるのだろうと思っています。
と同時に感じたのが、関係者が給食作りにこれだけ苦労しているのに、そもそもの元手となる医師の診断書の精度はどうだろうと言うことです。
微量でも食べると危険なケースはありますし、調布の事故ではそれを我々に教えてくれました。ごく少量でも混入させてはいけない訳です。
その一方で、いつも言っているように、アレルギー検査の数値だけで除去されているケースは多々あります。除去する必要がないのに、診断の精度に問題があり、「除去、除去」と言われていたりします。
食物アレルギーは、治ってしまうこともあり、しかもいつ治ったか誰も分からないため、「治ったのではないか?」、「食べられるようになったのではないか?」と言い方は悪いですが、疑ってかかる姿勢が必要だと思います。
また、ナッツ類とか魚介類という一括りで除去されているケースも見かけます。ピーナッツアレルギーがあると、クルミもアーモンドも除去しているケース、エビが食べられないからとイカ、タコ、貝類などまでも除去しているケースも見かけます。必ずしもそうではありません。
では、私の診断書は精度が高いかと言われれば、そうでないこともあります。
昨日も書いた話のように、卵の入った加工品は食べていたため、卵焼きで負荷試験をやったところ、皮膚に蕁麻疹が広がりました。このお子さんの場合、卵料理やプリンは除去すべきで、お菓子程度は食べてもいいという診断は、現状に即したものだと思っています。
食物負荷試験をやることで、というか負荷試験をせずに精度の高い診断はできないと言えます。ただ、日頃から負荷試験をやっていても、なかなか実施できないことも多いと思います。
例えば、お子さんが小学校でなかなか学校を休めないため、負荷試験が進まないこともあります。一日で1食品しか検査できないため、除去品目が多いと、そういうこともあります。負荷試験の話をしても、親御さんが怖がるケースもありますし、負荷試験をしようとしても、お子さん自身が口にしてくれず、食べられるのか食べられないのかを判定できないこともあります。私の診ている患者さんで、負荷試験をやっていたのだけれど、アナフィラキシーを契機に、負荷試験が疎遠になってしまうこともあります。
低年齢の場合、アレルギー検査があれもこれも陽性だと、とりあえず除去となることが多く、卵や牛乳、小麦などの主要な食材はなるべくはやく解除しようと思っていますが、ソバやピーナッツ、甲殻類などが後回しになっていて、もしかしたら除去が不要なのかもしれません。
食物アレルギーに力を入れいるはずの当院でも、様々な事情で負荷試験が実施されておらず、過剰な除去になっているのだろうと思います。専門でない医師の診断書なら、いわんやをやでしょう。
今回の番組でアレルギー対応給食に真剣に携わっている方々を見て、私も含め、医師の診断の方がなおざりになっていると感じました。場合によっては、除去しなくても良いものを除去しており、それに莫大な費用がかかっているのだとしたら、医師の診断精度をあげる努力を何故しないのかと感じています。
ただ、最近園や学校からアレルギー診断書の提出を求められ、いつもは他院で書いてもらっているものの、今年は当院を希望されるケースが続出しています。それだけ期待をされているということなのでしょう。
私自身も、診断精度を更にあげる努力は必要なのだと感じています。


