日々、「食物負荷試験」を実施していて、悔しい思いをすることがあります。
私としては、不要な除去を解除してあげたい一心で、食べさせて本当に症状が出るのかどうかを確認したい訳です。うまく食べられれば、煩わしい除去から本人も親御さんも、そしてその子の通う園や学校も開放されるという寸法です。
負荷試験は、2種類の方法があり、オープン法と二重盲検法があります。前者が卵焼きや牛乳そのものを食べさせる方法で、本人も「卵」や「牛乳」を食べることを知っています。
成長とともに子どもはどんどん知恵がついてきます。親御さんからずっと除去を言い続けられてきたため、いざ食べてもらおうと思っても、まったく口にしてくれないことがあり、食べられるかどうかの評価に至らないことがあります。
その改良版が後者で、卵や牛乳が粉末にしてあり、それを飲み物に混ぜて摂らせる方法です。実際に卵や牛乳を含む粉末と、含まない粉末を2回飲ませるのですが、影に“黒幕”がいて、検査する医師もどちらに卵や牛乳が入っているのか分からなくしてあるのです。医師側も「食べたから症状が出るはずだ」とか「今回は症状が出るはずがない」といった先入観を排除できます。この方法は特殊で、一部の専門病院でしかできなくなっています。
当院を含め、広く用いられているのがオープン法の方であり、負荷試験を受けるお子さんには勇気を持って食べてもらうしかありません。負荷試験の時は、こちらも祈るような気持ちになります。
これまで何度か全く食べてくれず、負荷試験が保留になったケースを経験しています。お子さんも自分の身を守らなければならず、頑として食べないこともあります。この時が一番悔しいのです。子どもの気持ちが凝り固まる前に「もっと早く負荷試験ができなかったのか」と本当に悔しい気持ちで一杯になります。
先日、卵焼きで負荷試験をやろうと予\定していた小学生がいて、以前は全く食べようとせず、“玉砕”してしまったことがありました。親御さんがアイデア料理を披露してくださり、「凄い!!」と思ったので、写真を撮らせて頂きました。
卵アレルギーの検査では、加熱全卵が用いられます。ゆで卵、卵焼き、スクランブルエッグなどが使われるようです。この辺も加熱時間などで抗原性に差が出ることもありますが、当院ではとにかく卵1個を食べさせようとしています。
「どうも卵焼きは食べてくれなそうだ」と思った場合、見かけを目立たなくするために、卵入りのチャーハンを作ってきてもらうようにしています。結構食べてくれます。それでも卵を見つけ出し、食べてくれないことも過去にはありました…。
今回のケースで親御さんが作ってきてくれたのは、これです(画像)。
カレーチャーハンです。敏感なお子さんは、卵の「黄色」に反応してしまうようで、その「黄色」がカレーでうまく分からなくなっています。さらに口にして、「味」に反応してしまうこともあるようで、カレー味を濃いめにして作ったそうです。
実は、もう一つ工夫してあり、あつあつご飯に生卵を落としかき混ぜると、ご飯に卵がよく絡み付くそうです。アイデア満載に、もう「参りました」って感じです(笑)。
この患者さんは、前医がとにかく「あれもこれも食べるな」と指導してきたため、とにかく何にでも慎重でした。これまでの負荷試験でも食べてくれない前歴があった訳ですが、この親御さん(実は父親!)特製のカレーチャーハンをあっさり完食してくれました。
本人は、意外にも!?卵を食べられ、自信につながってくれることでしょう。お父さんのアイデアに脱帽した一日でした。



