地道に「食物負荷試験」をやっています。
春先は希望者が殺到するため、一時期に比べて最近は件数は減っていますが、ニーズはあるんだなと思っています。
園児や児童が給食後にじんましんが出れば、多くの方が「食物アレルギーではないか?」と考えると思います。つまり、皮膚症状は食物アレルギーの見られやすい症状として認知されているのだと思っています。実際、9割方は皮膚に症状が出るとされます。
アナフィラキシーショックという緊急時にも、全身が真っ赤っかになれば、「アレルギーが起きている」と分かりやすいのですが、1~2割の確率で皮膚症状が出ないので、こういう場合は診断が難しいと思います。
調布の事故の時のように、最初は誤食させたなんて思ってもみませんから、つい対応が遅れるということもあるでしょう。
口腔アレルギー症候群の場合、口の中がイガイガするとか、違和感を覚えるという症状なので、あくまで自覚症状であり、唇が腫れるなどの客観的なものがなければ、診断は本人の訴えに基づかざるを得ないのだろうと思います。
先日、幼児に卵の負荷試験を行ないました。小麦アレルギーが重症なため、ビスケットなどの卵の加工品を使う負荷がやりづらく、お母さんが作ってきた米粉のホットケーキに卵が含まれており、それを使うことにしました。
最初は元気もよく、喜んで食べていたのですが、途中でグッタリという程でもないのですが、元気がなくなりしゃべらなくなってしまいました。
「何か変だ」と診療中に呼ばれ、診察しても皮膚症状もその次に見られやすい咳などの呼吸器症状もみられません。嘔吐、腹痛といった消化器症状も認めませんでした。聴診をしたり、酸素の取り込みを測っても異常は認めません。
客観的な異常がないので、「何かがあった」のは分かるものの、それ以上はよく分からないため、様子をみることにしました。
相変わらず“しゃべらない”ため、こちらも気持ちが悪いと思っても、他の症状は特に認めません。本人はパトカーが好きだそうで、当院の近くに上越警察署があるため、気を紛らわせようと母とちょっとドライブに行ってもらおうと考えました。
パトカーを見た瞬間は声を上げ、テンションも上がりましたが、医院に戻ってくるとまた黙り込んでしまいました。さすがにこのまま帰す訳にもいかず、少し様子をみていると「お腹が痛い」と言いました。
卵は、呼吸器症状よりも腹痛や嘔吐などの消化器症状が出やすいことが知られており、ここでようやく答が分かりました。まだ体の変調を上手く伝えられず、実は腹痛があったのをじっと我慢していたのだろうと思います。
腹部症状として嘔吐を繰り返すようなら、エピペンを検討するレベルだと思います。それ程でもなかったため、ステロイド薬の内服を選択しました。
徐々に内服が効いたのか、一眠りした後、だいぶ楽になったようです。私としてもヤレヤレと思いました。
以前、やはり幼児に負荷試験をした時に「食べずに寝てしまう」ということが見られました。最初は「眠いだけなのかな」と思っていましたが、何とか食べ進めていくと、予想外に強めの反応を起こしてしまいました。つまり、「寝てしまう」というのも症状のひとつだったのでしょう。そういうこともあると、その経験は私の血となり肉となっているのだと思っています。
今回の「しゃべらない」という経験も、本人には気付くのが遅れやや辛い思いをさせてしまいましたが、アレルギー症状のひとつだと認識しました。
負荷試験は、何か症状が出るであろう状況なので、症状が出たら早めに対処することが重要です。今回は私も未体験ゾーンだったため、うまく対応できませんでしたが、今後はこの経験を有効に使わせて頂きたいと思っています。


