小児科 すこやかアレルギークリニック

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「私も診て欲しい」
2013年07月12日 更新

少し前に、茶のしずく石けんで「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」の患者さんが多発したことが話題になりました。

ちょうどその頃、「経皮感作」という概念が提唱されていました。皮膚からアレルゲンが入ると、食物アレルギーにつながるという考え方です。

茶のしずく石けんの一連の騒動が、この「経皮感作」という考え方を更に本物に押し進めたように感じています。

実際、皮膚に湿疹があった方がアレルギー検査の数値が出やすいというデータも出てきて、食物アレルギーに力を入れている者としては、アトピー性皮膚炎の治療にもエネルギーを注がなければと思っています。

お陰様で、実際は“乳児湿疹”や“乾燥肌”と誤診されていますが、アトピー性皮膚炎と診断される患者さんの受診が増えています。上越市内のみならず、市外からもです。

先日も市外から某市の小児科や皮膚科に通っていたけれど、良くならないというお子さんが受診されました。アトピーで重症なのに、診断もされず、治療もガイドラインの方針から外れるものでした。敢えて言えば、良くなるものも良くならないと言えます。

受診は1か月程前のことでした。失礼な言い方になりますが、連れてきたお母さんは赤ら顔といいますか、一見してアトピーがありそうに見えました。

日頃診療していると、両親のどちらかにアトピーがあると遺伝しやすい印象を思っています。逆に、初対面でも、お子さんはそうは診断されていませんでしたが、アトピーで受診されたんだろうと予想がつきます。案の定、アトピー性皮膚炎と診断される状況でした。

アトピー性皮膚炎は残念ながら特効薬はなく、言わば「対症療法」となります。いまだにステロイド軟膏を使い、皮膚の炎症を抑える治療が主体です。ただ以前よりは、ステロイド軟膏を“シッカリ”使うことが推奨されています。

結局、中途半端に使っては、掻いて悪化して、また掻いて悪化してを繰り返すことになります。“シッカリ”使えば、痒みが減るため、掻かなくなる。そうすると掻いて悪化する分を少なくできるという感じでしょうか?。

前医とはステロイド軟膏を使うという意味では同じ治療をしていた訳ですが、“シッカリ”使うかどうかが違っていました。

当院に来られて、3回目の受診の日には、これまでのその子の肌を知っている周囲の人からは驚くほど改善していました。それはお母さんもしかりです。

その日、こんなことを切り出されました。「こんなに良くなるんだったら、私も診て欲しい」と。

お子さんと一緒に、お母さんもある皮膚科で診てもらっていたそうですが、ロコイドという薬を顔中心に塗り続けていました。にもかかわらず、赤ら顔の状態でした。

基本的に当院では大人の診療はしていません。自分が診た方が、大人のアトピー性皮膚炎やぜんそくが良くなるであろうと思っても、そのせいでアレルギーで困っている子どもを診る時間が減ってしまっては本末転倒と言えます。医院の収入は上がるでしょうが、利益のために開業した訳ではないので、お断りしています。

ただ、今回のようなケースでは、以前から引き受けるようにしています。そんなこともあり、大人のアトピーやぜんそくはひと握りの患者さんのみとなっています。

お顔を診た時は、体も広くアトピーの湿疹があるのだろうと思っていましたが、診察してみると一番目立つのが顔でした。

実は、冒頭にステロイド軟膏を使うのが主体だと書いています。ステロイド軟膏だけではないという意味です。以前も書きましたが、プロトピック軟膏という手段があるのです。

私は、プロトピック軟膏はとても良い薬という印象を持っています。ステロイドよりも副作用が出にくく、ステロイド軟膏と組み合わせて治療していくのがいいと思っています。

ところが、大人では皮膚科、子どもでは皮膚科や小児科でアトピー性皮膚炎を診るのでしょうが、かなりの医師が「食わず嫌い」になっているようです。新潟県はプロトピックの処方率が高くないのだそうです。

こういうのを、宝の持ち腐れと言うのではと思ってしまいます。折角のいい薬を使わない理由が分からないのです。今回のお母さんも、私の中では明らかに適応だろうと思っています。

女性だし、人目も気になるでしょうし、顔が赤いのはすぐにでも良くして欲しいはずです。ステロイドを使って良くなっていたいので、プロトピック軟膏に活路を見出すのは当然だろうと思っています。

プロトピック軟膏の効果を例える言い方として、「ライフ チェンジング ドラッグ」という言い回しがあります。まさしく、人生を変える薬という意味です。こらから治療していくため、とても有効かどうかはこれから分かることですが、お母さんは「ライフをチェンジしたい」というようなことをおっしゃっていました。

せめてと言うか、意地でもこれまでよりは良くしたいと思っています。