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井の中の蛙
2013年07月17日 更新

水イボは、つくづく医者泣かせの病気だと思っています。

以前は、どの小児科、皮膚科でもピンセットでつまみ取るという治療をしていましたが、最近は「取らない」という考え方が広まってきました。

実際に、市内の小児科や皮膚科に行くと「いずれ消えるから様子をみて」という医師が増えてきました。

確かに、泣きわめく子どもを押さえつけて、水イボをつまみ取るということは、こちらもかわいそうでやりたくありません。気が滅入ってしまうので、取らないに越したことはありません。

「取らない」という方針は、無責任な対応に聞こえるかもしれませんが、それなりに根拠のあることです。水イボはウィルス感染なので、水ぼうそうやおたふく風邪のように免疫がついて治ってしまう病気なのです。

ただ如何せん、他のウィルス感染のように「体にウィルスが入りました。すぐに抗体を作って下さい。」という信号が弱いため、体が抗体を作り始めるまで時間がかかると言われています。

しかし、最終的には免疫ができて、水イボは消え去ってしまいます。見ていると、結構と個人差があるようです。じきに治ってしまう人と、何年かかかってしまう人がいます。私は一度免疫ができてしまうと、もう出ないと思っていましたが、再発もあるようです。

時間がかかるけれど、しまいには免疫ができて治ってしまうことが期待されるので、「取らない」という選択肢も“あり”と言えます。

私の知る限りは、つまみ取る、取らない、液体窒素、スピール膏(いわゆるイボコロリのようなもの)くらいでしょうか。市内には、どういう訳かステロイド軟膏を処方する皮膚科医もいます。一昨日もステロイドを塗ると水イボが広がるという話が出ていました。確かに、そこで治療して背中に150個くらい広がった患者さんを診たことがあります。私はステロイドを使わないのが常識と捉えていましたが、残念ながら常識から外れた治療をしている医師もいるということです。

こういう例外的な治療(?)をしている医師もいますが、上越では、多くの医師が「取らない」という方針をとっているように思います。私も顔に広がったり、体中に広がり過ぎるとどうしようもないと思っていました。

ところが、学会で小児の皮膚科をご専門とする日本の第一人者の先生方は「取らない」という方針はとっていないようです。顔に出ていてもです。

日本人の気質なのかもしれませんが、“周囲がそうしていると安心する”というものがあります。私も恥ずかしながら、周囲もそうなんだから「取らない」という方針をとってもそれは「仕方ない」と思っていました。

私も学会に出ていなければ、日本の第一人者の先生方がやっているやり方とは逆のことをやって何とも思わなかったのかもしれません。自分の個人的な知識不足や努力不足で、患者さんに迷惑をかけるのは医師としては絶対に避けなければいけないことだと思っています。

あやうく“井の中の蛙”になるところでした。いや、少しなっていました(大汗)。

これも、NHKにも出てくるようなご高名な先生に直接質問してきました。いかに痛くせずに取るかという具体的な工夫も知ることができました。これまで自分のやってきた方法が、日本の第一人者の先生方とズレていたかを、遅ればせながら理解しました。反省しています。

患者さんは“正しい医療”を求めて医師のもとを受診する訳ですが、医師のやることを信じて疑わないため、医師のおかしな治療や指導もそのまま受け入れてしまいます。特に開業医は、患者さんから「あなたのやり方は間違っている」なんて言われることはないし、他の医師に教えてもらうこともまずありません。容易に“井の中の蛙”になれてしまう訳です。

“井の中の蛙”にならないようにするには、自分のやり方を時々振り返り、学会などで最新の情報を手に入れるようにするしかないのだろうと思っています。