昨日は水曜日。私の中では、水曜の午後は食物アレルギーの講演と決まっています!。
先週のように90キロ離れた小千谷市内の高校と保育園を2カ所ハシゴするのと違い、上越市内の1カ所を訪れるのはだいぶ気が楽です。しかも10分少々で着くくらいの距離でした。
ただ、会場に着けば、気が楽などと言っていられません。昨日も多くの学校職員の方に話を聞いて頂きましたが、皆がエピペンを適切なタイミングで打てる状況になって欲しいからです。
真剣に聞いて欲しいし、真剣に伝えたい。もはや真剣勝負の世界と言ってもいいと思っています。
そこまで言うには理由があります。その学校は以前も触れましたが、この春のある昼下がりに、給食を食べて体育の授業中に2人の生徒がほぼ同時にアナフィラキシーを起こして、二台の救急車が呼ばれ、近くの総合病院に搬送されるという騒動があったからです。
更に、この2人は既に当院がかかわっていて、2人ともエピペンを処方していました。ところが、この2人がまた同じ日の午後の体育の授業でアナフィラキシーを起こしてしまいます。1人は自らエピペンを打ち、もう1人は1人では打てず、養護の先生が打ち、やはり総合病院に搬送されます。
2人が2回立て続けに起こすとなると、医者の指導がダメなんじゃないかと思われても仕方ないと思います。今のところ1人は甲殻類、もう1人は果物が原因抗原と考えています。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因食品は、6割が小麦、3割が甲殻類とされます。この2種類で9割を占めるので、原因を特定される前の時点では、確率論でもこの二つをまず抑えておくことが大切だと思います。
これは確定ではないのですが、甲殻類が原因と思われるお子さんは、初回はエビを食べており、2回目はカニを食べています。もともとエビアレルギーが心配で、当院で負荷試験を受けている患者さんでした。
一方、果物と考えているお子さんは、先程述べたように小麦、甲殻類をマークしていたら、それとは異なる柑橘系フルーツが原因であったため、2回も危険な目に遭わせてしまいました。
このお子さんは、当院でミカンを食べて運動負荷をかけてアレルギー症状が誘発されることを確認しています。稀ですが、原因であろうと考えています。
そういう意味では、一般的にエビアレルギーの7割程にカニアレルギーを発症すると言われていますが、甲殻類が原因と考えている患者さんも1回目がエビ、2回目がカニで起きているのか確認する必要があります。ただ、本人が負荷試験を今のところ受けたがらないのです。この年齢になると、当然本人の意向も尊重する必要があるのです。
開業医は、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの運動負荷試験は普通はやりませんから、それでも自分なりに知識を総動員して診断しているつもりです。
昨日の講演では、食物依存性運動誘発アナフィラキシーとはどういう病気か、過去に経験したケースで、小麦を食べて昼休みや5限目の体育の最中にアナフィラキシーを起こした患者さんの状況を説明しました。やはり、自分の経験を話すと伝わりやすいようです。
診断は、運動負荷試験が不可欠なこと、実際にこの学校に通う生徒さんには、負荷試験をやって診断を確定しようと努力していることも話しました。先ほど述べたように、一方の患者さんでは負荷試験をやっていないが故に、やや不確定な部分が残ることも正直に伝えています。
さすがに、自分の学校の生徒がアナフィラキシー騒動で2人が2回も搬送されると、学校の先生も真剣に聞いて下さいました。変な言い方になりますが、“対岸の火事”ではないからです。
最後にエピペンの打つ場所、打ち方を、なぜそこに打つのかという理由も添えて練習して頂きました。以前も言いましたが、エピペンの説明は医師以外がやることもあると思いますが、医師がなるべく説明すべきだと思います。しかも、食物負荷試験を何度もやっていて、エピペンと同じ成分のアドレナリンの注射の経験を何度もしている医師がすべきでしょう。
負荷試験をやって、時々アドレナリンを使っている医師であれば、副作用が少ないことを経験的に知っています。最近は「迷ったら打て」なんてことになっていますが、そう言うには、使い慣れた医者が言わなければ、説得力も何もないからです。
いつもこういう話になると、全力で1時間半程しゃべり続けます。学校の先生方も一生懸命聞いて下さり、いい“真剣勝負”ができたのではと思っています。


