小児科 すこやかアレルギークリニック

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“正義”
2013年09月24日 更新

ドラマ「半沢直樹」が終わりました。

かなり視聴率が高かったので、ご覧になっていた方も多かったと思います。ドラマの制作者側もここまで視聴率が取れるとは思っていなかったようですし、私も何気なく観たら、スリルのある展開でリズムもよく、つい見入ってしまいました。

ご覧になっていない方のために、一応言っておくと、大きな銀行をめぐり、不正を働く輩を主人公であり、行員の半沢直樹がそれをあばき、やっつけるという内容です。「やられたらやり返す、倍返しだ」というのは流行語になってきています。まあ、大きく言ってしまえば、水戸黄門のイメージです(笑)。

「すこやか健康フェア」が今週末に迫ってきました。

秋の土曜日を「学びたい」と思って開催地の三条市を訪れるのは、エネルギーがいることです。

食物アレルギーの患者さんで、かかりつけ医から「完全除去」を指示され、それが正しい唯一の手段と思っている患者さんも決して少なくないと思っています。もともと情報不足に陥っている患者さんはとても多く、困っている方に対し、正しい情報を発信することが「すこやか健康フェア」の目的です。

私としては、新潟県内の食物アレルギーで困っているすべての方々に参加して頂きたいというのが願いです。しかし、完全除去など、現状に何の疑問を感じていない患者さんにとって、わざわざ参加しようとも思わないことでしょう。

実際のところ、食物アレルギーの診療は「食物負荷試験」をせずに正しい診療はできないと言われています。多くの医師が負荷試験をやっておらず、専門的な医療を受けられていない現状では、「食物負荷試験」を受けられていない患者さんが新潟県内のほとんどであろうと思います。

まず「食物負荷試験」という検査があることを知って頂きたいと思っています。

ここ最近、食物アレルギーの注目度が上がったことで、私は県内の園や学校、行政からの依頼でいろんなところで食物アレルギーの話をしています。多くの参加者の皆さんが一生懸命聞いて下さいます。参加者の中で、重い食物アレルギーでご苦労されている患者さんから直接相談を受けることもあります。

私としては「これがチャンス!!」とばかりに、これまでの主治医の指導を聞き、問題があるようであれば、専門医ならこう取り組むでしょうという話をします。あれもこれも除去という患者さんが、正しい医療を受け、食べられる可能性が高まるのですから、やはり絶好のチャンスにかわりはありません。

ところがというか、患者さんもいろいろが都合というものがあるのでしょう。あくまで私からの目線なのですが、驚いたことに、受診しない方もいます。

もちろん、受診してすぐに負荷試験を受け、食べられる食材が増え、こちらまで嬉しくなることも多々あります。実際、例えば、前医から卵を除去と言われて、それに疑問を感じ、もしくは園から専門医を受診するよう勧められて、当院を受診されます。数日後に負荷試験に来られ、解除に成功し、「今までの除去は何だったんだ」と思われる方もいらっしゃいます。

しかし、講演のあとで相談を受け、「今度、受診したい」と言われ、待てど受診されない方も少数ですがいます。

受診されない理由は、人それぞれなのだと思います。「当院まで遠い」というのもあるのかもしれません。地元で負荷試験を受けられないのなら、多少遠くても受診するのかなとつい思ってしまうのですが、他の小児科を受診することは、かかりつけ医を裏切ることになると思われるのかもしれません。

ちょっと過激な言い方かもしれませんが、私は“裏切っている”のはかかりつけ医の方だと思っても、そうは考えない方もいらっしゃるのでしょう。

負荷試験の話を聞いて、最初は「受けてみたい」と思っても、除去する生活に慣れてしまい、変化を望まない方もいらっしゃるのかもしれません。負荷試験でアナフィラキシーを起こす可能性があるのなら、「危険な目にあわせたくない」、そういう考え方もあるのかもしれません。

最近は、完全除去は良くなく、なおさら食べられないなんていうことも言われているようです。そういうこともあり、私としては、少しでもアレルゲンの入っている加工品でも食べさせてあげたいと思っているのですが、親御さんが乗ってこないことにはどうしようもありません。

私の経験では、負荷試験という方法を選ばない方はひと握りだと思っています。患者さんの決断は尊重するとして、負荷試験の存在を広めることは是非ともやっていかねばならないことだと思っています。

ドラマ「半沢直樹」では、その最終回で、悪の陰謀をあばき、目まぐるしい活躍を見せるのですが、あまりに正義を振りかざし過ぎたためか、逆に銀行を離れる出向という憂き目にあってしまいます。

あまり「正義、正義」というつもりはありませんが、今の医療に多少の“正義”は必要でしょう。だって、「食物負荷試験」を知らされていない患者さんは多い訳ですから。そもそも、食物アレルギーの患者さんには「負荷試験という方法がある」ということを伝えなければ、イーブンではないと思ってます。

それを伝えた上で、患者さんがどういう方法を選択するかを委ねることになると思うのです。まず、それが第一歩であろうと思っています。