小児科 すこやかアレルギークリニック

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光を当てて
2013年09月26日 更新

昨日、市内の園に食物アレルギーの誤食時の対応の話をしに行ってきました。

私の日頃やっていることは、エピペンを処方されたお子さんの通う園や学校に行き、職員全員がエピペンを使えるように理解して頂くことにあります。昨日伺った園は、エピペンを処方されていないお子さんの通う園でした。

「そんなに重くないのなら何故?」と思わないで下さい。体重が10kgそこそこしかなく、エピペンを処方したくても処方できないのです。また、このお子さんは多種食物アレルギーであり、様々な食品に含まれ、避けることの難しい卵、乳、小麦を完全に除去する必要があります。

よく言うように専門でない小児科医が、アレルギー検査の数値だけで「完全除去しなさい」と言っているようなケースではありません。実際に、当院でそれそれ3つのアレルゲンが微量に含まれる加工品を使い、負荷試験をした上で導きだされた結論なのです。

例えば、牛乳アレルギーも重そうだったので、「じゃがりこ」を使いました。これは卵と小麦は使われておらず、脱脂粉乳が少量含まれています。正直そこまで重いとは思っていなかったのですが、この「じゃがりこ」を1本の半分を食べさせたら、じんましんが出てきてしまいました。更に体に広がり、咳も出てきました。これであれば、完全除去はやりたくないのですが、完全除去をやらざるを得ないレベルだと思います。

卵も小麦も似たような感じで、微量の負荷試験でことごとく症状が出たものですから、完全除去をせざるを得ないと判断しています。

「エピペンを職員全員が使えるように」と考え、院外活動を繰り返していますが、体重不足でエピペンを処方したくても処方できないようなケースも、園に出向くようにしています。

職員全員に「この子がいかに重症か」ということを理解して頂き、誤食時も逆にエピペンという武器がないため、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を早めに使い、早めに救急車を呼ぶという対処法も把握しておいて頂く必要があるのです。

エピペンばかり目が向きますが、エピペンを処方できないような小さい子の方が、言い方は悪いですが、厄介と言えると思っています。当院が休診の水曜の午後を使い、講演活動を繰り返していますが、実はこのようなケースで、エピペンを処方していないけれど、対処法を知って頂きたいと言う理由で、今年は4件ほど園に出向いて話をしています。

新潟は、食物アレルギーの専門医が極めて少なく、それが故に“食物アレルギー後進県”と思っていますが、それでも園や学校職員の食物アレルギーの研修は結構行なわれています。多くの方々がエピペンの打ち方は一度は目にされているくらいだと思います。それはそれで、好ましいことだと思っています。

しかし、今回のようなエピペンを持てない体重の軽い患者さんの対応についても忘れてはいけません。学校ならクラスメートが「〇〇君、具合い悪いです」と担任に教えてくれるかもしれませんが、園だとそこまでは期待できない可能性が高いことでしょう。

この患者さんは、当院にかかる前からアナフィラキシーを繰り返していました。入院歴もあります。2つの医療機関にかかっていましたが、小麦でアナフィラキシーを起こしていたにもかかわらず、小麦アレルギーの診断も遅れ、卵も乳も数値だけで除去を指示されていました。

「じゃがりこ」の話でお分かりのように、牛乳アレルギーもとても重症と言えます。にもかかわらず、その辺のアドバイスも一切なく、親御さんでさえその辺をご理解されていませんでした。

当院で負荷試験を受け、まず親御さんがその事実を知り、昨日その子の通う園に行き、園の先生方に説明することで情報が共有できたと思っています。

エピペンが注目される中、こういう処方したくても処方できないケースにも、光を当てて欲しいと願っています。