先日、AEDに関するニュースが報道されていました。
あるお子さんが学校で倒れ、搬送先の病院で死亡が確認されたそうです。学校側が速やかにAEDを使用してくれていたら、死亡を避けられたのでは?というものです。
AEDを使っていたら必ず助けられたという点がポイントかと思われ、私からは何とも言えません。この裁判について、注視していきたいと思っています。
このニュースを見て、真っ先にエピペンのことが頭に浮かびました。AEDもエピペンも救命のための道具で、いずれも医療関係者でなくても使えるという共通点があります。ただし、AEDは機械が判断してくれるのですが、エピペンは使用者が使用の是非を判断しなければなりません。
こういう報道を見ると、これからは園や学校側がアナフィラキシー時にエピペンを使用しないとトラブルになる可能性を感じてしまいます。
それこそ先日のNHKのニュースのように、現場が萎縮してしまう可能性があると思います。ただ、私としてはそれ以前の問題だと捉えています。小児アレルギー学会が「こんな状況で使って欲しい」という一般向けのエピペン注射のタイミングを規定しており、手遅れてになる前に注射をし、言わば「人事を尽くして天命を待つ」というスタンスで対応して頂きたいと思っているのです。
変な言い方、子どもを守り、先生自身が自らの身を守る意味でも、早めにやるべきことを済ませて欲しいと思っています。
エピペンが一昨年、保険診療で認められたこともあり、最近は2本処方を行なっています。以前は、保険も効かず高かったので、1本処方でした。園や学校と家を行ったり来たりしていた訳ですが、今は家用に1本、園•学校用に1本という感じです。
エピペンは使用期限が決まっており、約1年間になっています。使わなくても、エピペンの成分であるアドレナリンの効果がなくなってくるため、1年毎に新しいエピペンを調達しないといけません。
その結果、最近では一度に2本が使用期限が切れて、それを処分しなければなりません。専門医の多くが、そのまま捨てるにはもったいないので、ペットボトルなどに本物を注射する練習を行なっていると思います。
先日、エピペンが更新時期になっており、ある患者さんに新たに2本処方しました。お母さんが使用期限の切れた廃棄分の2本を持ってこられており、そのうちの1本はその場で母にエピペンを握り、打つ練習をして頂きました。
トレーナーと言われる練習用のものは、打っても「カチッ」という感じで、実際のものはバネ仕掛けで「バチン」と大きな音がします。“臨場感”が全然違うので、どうせ捨てるなら、それを味わってから廃棄したいものです。
先に述べたように母が1本練習しても、あと1本が残ってしまいました。
これまでは、エピペンを処方している学校に講演に行く予定が立っていれば、処分前のエピペンを持っていき、親御さんに練習してもらう様子を学校職員に見て頂くこともありました。
今回の患者さんは、重い牛乳アレルギーがあり、アナフィラキシーを何度か繰り返しており、園で2回、自宅で2回起こしています。園には何度も講習に出掛けており、エピペンを練習していないのはお父さんだけでした。
実際、母が不在の時に父親が誤食させてしまうケースも見受けられますので、今回はお父さんに練習して頂こうと思いました。
それで、お父さんに仕事の合間に受診して頂きました。当院の場合は、より実践的にやろうと、お子さんの太ももに布を丸めたものを当てて、そこに注射してもらうようにしています。もちろん、細心の注意を払いやっているつもりです。
廃棄用の2本のエピペンを有効に使えたのではないかと思っています。


