小児科 すこやかアレルギークリニック

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2013年11月18日 更新

先日から書いているように17日の日曜は、市内のある小学校でPTA会主催の講演会がありました。

アレルギーについて話して欲しいと言われていたのですが、親御さんの注目は食物アレルギーだろうし、普段話していることを話せばいいと思っていました。

「いや、待てよ。アレルギーについてだから、ぜんそくもアトピー性皮膚炎の話もしなきゃいけないんだ。」と思った途端、ぜんそくもアトピー性皮膚炎もガッツリ話したくなりました(笑)。

ただ時間が1時間半しか与えられていないし、3つの病気をガッツリなんて話せません。こういう時は、対象年齢を考えます。

今回は、小学校で話すので6~12歳の子どものアレルギーを話すことにしました。例えば、乳児ぜんそくや乳児のアトピー性皮膚炎のことをしゃべっても参考程度にしかならず、この年代に絞って話をすれば、3つの病気をそれなりに話せるかもしれない!と思いました。

普段、食物アレルギーのことばかり書いていますので、ぜんそくは力を入れていないように感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、もともとは福岡の専門病院に勉強に行ったのも、子どものぜんそくをいかに治すかを知りたくてだったのです。

小児ぜんそくはいくつかのパターンがあり、乳幼児期にゼーゼー繰り返しても、意外にも5歳くらいで治ってしまうケースも多いことが分かってきました。アレルギー体質の強い、言わば本物のぜんそくが治りにくく、治療が厄介なのです。

ところが、先日も触れましたが、数ある慢性疾患の中で、ぜんそくが「のど元過ぎれば熱さ忘れる」で、継続的な治療が難しいのだそうです。確かに、アレルギーにこだった診療をしていても、じきに通院しなくなる患者さんも少なくありません。

今回、講演のために読んだ文献で、ぜんそくのベテランの先生の書かれたものを読んだのですが、思春期の子どもはいろいろ多忙で、医院の待合室で1時間も2時間も待つことは不可能に近いと書かれていました。あまりそう考えたことがなかったのですが、確かにそうかもしれません。

これは医者サイドの言い分ですが、この年代のぜんそくは大人に持ち越すかどうかの大事な時期なので、治療を継続してもらわなければ、みすみす大人にぜんそくという病気を持ち越してしまうことになるかもしれないのです。

病気が重ければ、治すことは難しく、この時期にしっかり通院したから100%治るものでもありません。そこが難しいことだと思いますが、治療しないことは治ることを放棄しているのかもしれず、私の立場からは「通院しなくていい」とは言えないのです。

小学生くらいになると、ぜんそくが治る子と、治らなそうな子に分かれてくるように感じています。要は軽い、重いの差が出てくるのだと思いますが、それを見極めるポイントの一つとして挙げられるのは、運動誘発ぜんそくだと考えています。

読んで字のごとく、運動すること自体が発作を誘発してしまうという病態です。重症であれば出やすいと思われています。大人になると運動不足となりますが、子どもは結構激しい運動も、生活の一部です。運動誘発ぜんそくで、その子の持つポテンシャルを発揮できなければ、治療の必要があると言えます。

その辺のことを参加の方々に上手く伝えられればと思いました。実は、先日、うってつけと言っては悪いのですが、そういったケースを経験しました。

以前、アトピー性皮膚炎が重症で当院で治療していたのですが、皮膚症状は成長につれてだいぶ落ち着いてきたお子さんがいました。ぜんそくもあり、自宅に近い小児科で治療をしていたのですが、もういいと治療が中止になっていました。

私の感覚したら、アトピーも重いと、アレルギーの体質も強いので、ぜんそくの治療も止めづらいのではと思っています。案の定というか、この秋に運動するとゼーゼー言って、苦しくなるという訴えで、当院を受診されました。

胸に貯めた空気を一気に吐き出して検査する呼吸機能検査も異常があり、気管支がダメージを受けていることが分かりました。とても運動誘発ぜんそくが起こりやすいことも理解できます。

実は、この子は陸上で、長距離の選手でした。とても運動誘発ぜんそくが起こりやすいスポーツを選択していたのです。話を聞くと1500m走はなんとかできるものの、3000m走は途中で苦しくなり、ペースが保てないのだそうです。

この状況は、治っていないぜんそくをしっかり行い、運動誘発ぜんそくもできれば“封印”したいと思いました。

呼吸機能検査で視覚的に気管支の異常が判明したので、狭くなりやすい気管支をこじ開け、運動誘発ぜんそくを抑えることが明確な治療目標になります。年齢的にも、成人の治療と同じアドエアという吸入薬を使おうと思いました。

治療を始めてから、次の受診の際に治療効果を確認したのですが、3000m走でペースが落ちなくなったそうです。なんとタイムにして60秒も短縮できたのだそうです!!。

その子の持つポテンシャルを超えさせることは無理ですが、ぜんそくという病気により起こるポテンシャルの低下を取り除くことはできるのだと思います。

昨日の講演では、この事例も紹介させて頂きました。アレルギーの体質があるとぜんそくが治りづらく、前医で治療を中止されていたけれど再開せざるを得なかったこと、運動誘発ぜんそくが見られたこと、症状に見合った治療をすることにより改善が得られたことを実際のタイムをもって示すことができました。

私自身アレルギーの話をさせて頂くことは結構ありますが、私の患者さんのケースを使って説明すると「分かりやすかった」とお褒めの言葉を頂くことがあります。今回の事例も、ぜんそくという病気のいくつかの側面を伝える分かりやすいケースだったのかもしれません。

他にも自分の経験したケースも含め、キッチリ1時間半話してきました。どれだけ伝わったか分かりませんが、目下の懸案事項をクリアできました。

あとは、学会の準備と、夏に講演した時の要旨を文章にして欲しいと言われており、それをやらなければなりません。そうそう、この水曜日もテレビ取材が入っていました(汗)。

私は器用な方ではないので、ひとつひとつクリアしていこうと思っています。