1週間ほど前に、身体の広範囲がガサガサの赤ちゃんが当院を初めて受診されました。
親御さんが受診された理由は、医者に通っても症状が良くならなかったからなのですが、問題を2つ抱えていました。湿疹とゼーゼーでした。
一般的に湿疹は皮膚科に行き、ゼーゼーは皮膚科では対処できませんから、小児科に行っていました。敢えて言いますが、いずれも上越では有名な皮膚科と小児科に通っていました。
まず湿疹の方を診せて頂いたのですが、本来吸い付くような肌をしているはずの赤ちゃんの皮膚が、ガサガサしており、私の方がシットリしている程でした。皮膚を見た瞬間に「こりゃアトピーだろうな」と感じました。
どちらかか忘れましたが、お父さんかお母さんにアトピー性皮膚炎がありました。親御さんも好きでなった訳ではないですが、それなりに遺伝しやすい傾向にありますので、尚更アトピーの可能性は高いと感じました。
親御さんもその辺は覚悟しており、前にかかっていた有名な皮膚科で「アトピーじゃないですか?」と質問したのだそうです。皮膚科医の答はこうです。「絶対にアトピーじゃない」と。
その話を聞いて、私が目まいがしてきました。間違いなくアトピー性皮膚炎の診断基準を満たします。確実にアトピー性皮膚炎と診断すべきケースです。
私のような小児科医が言うよりは、皮膚のスペシャリストであるはずの皮膚科医の診断の方を信じやすいのかもしれません。ただ、いつも言っているように、病気を診断できない医師は治療できるはずもありません。病気に詳しくないから、診断も治療もできないと言われても文句は言えないはずです。
こういう場合は、私の言うことを信じてもらわないと前に進めません。アトピー性皮膚炎のガイドラインを提示し、診断基準を満たすことを明らかにする必要があります。こういうケースは慣れっこになっているので、すぐに私の言うことが正しいことを理解して頂けたと思っています。
この皮膚科の先生には「絶対にアトピーじゃない」と言い切る根拠を示して頂きたいものですが、多くの医師がガイドラインなどを指し示して説明していないので、ガイドラインを提示して説明することは、より信用を得ることにつながると考えていますし、残念ながら何度通っても症状が改善しないから、不信感を持ったために医者を代えている訳ですから、私の方を信じてもらいやすい状況にあるのだと思います。
あとは、いつも通り、ステロイドや保湿剤の使い方を説明し、当院の治療例“劇的ビフォーアフター”の画像を示し、「1週間後にこうなりますよ」というイメージを浮かべて頂くことになります。専門医なら1週間程度で皮膚症状を改善させる薬を選択しますので、1週間もあれば十分と言えます。
次にゼーゼーの方に話に移ります。この子はまだ赤ちゃんなのですが、ゼーゼーを何度か繰り返していました。アトピー性皮膚炎があると、ぜんそくを発症しやすいのもよくある話です。
有名な小児科に通っていましたが、風邪薬が出されていました。これもいつも言うように「風邪じゃないから、風邪薬が効かない」のです。こう言うと多くの親御さんが気付いて下さると思います。
ゼーゼーを繰り返すのが、ぜんそくの診断基準ですから、このお子さんの場合、ぜんそくと捉え、治療に取りかかるのが正しい対応だと思います。
近所に新しくラーメン屋ができたりすると「当たりだろうか、ハズレだろうか」と考えます。ハズレの経験があるから、まず疑ってかかる人が多いのだろうと思います。ところが、何故か医者の場合は、多くの患者さんが「ハズレのはずがない」という先入観で受診しています。
医者がみな聖人君子かと言えば、全くそうではなく、普段診療していて「医者のモラルも落ちたな」と思うことは少なくありません。敢えて言えば、ハズレの医者も結構います。
これまで皮膚は皮膚科、ゼーゼーは小児科に通っていましたが、アレルギー科の当院が両方とも引き受けることにしました。だいたいどの患者さんも1週間後に再診して頂いています。
先日がその“1週間後”だったのですが、皮膚はツルツルになり、痒いため皮膚に手がすぐに行っていたのが行かなくなりました。痒みがかなり消失していることを意味していると思います。また、ゼーゼー言い、かなり咳き込んでいたのが、「ゼーゼーしなくなり、ほとんど咳をしなくなりました」という程まで改善していました。
私の診ている患者さんの症状が改善しているのは、もちろん嬉しいことですが、私は当然のことをしているだけなのです。子どもの診療は助成もあるため1回の受診で530円の医療費を支払うことになっていますが、良くならずに何度も“530円”を支払うケースと、あっという間に改善してしまう“530円”があると言えます。しかも、当院はアトピーもぜんそくも両方治療しています。
1週間後に改善しているといつも言う言葉があります。「これで医者の間に実力の差があることが分かったでしょ」と言っています。テキトーに診療している医師とは絶対に一緒にして欲しくないと思っているからです。
こういう慢性のアレルギー疾患があれば、子どもが大きくなるまで当院で責任を持って対応していこうと思っているので、医者に当たり、ハズレを明らかにする必要があると思っています。
こんなことを言っては同業者から嫌われるかもしれませんが、私の見ている方向は患者さんだし、患者さんにベストを尽くさない医者は、患者さんの「敵」なので、これからも「敵」から患者さんを守っていかなければならないと思っています。


