「おもてなし」と言うと、多くの方が昨年の流行語大賞に選ばれた「お・も・て・な・し」を思い浮かべると思います。
文字の間に・が入ろうが入るまいが、医療も基本はおもてなしだと思っています。
病気で困っている患者さんに対し、「もてなす」=「歓迎する」というと意味合いが違ってくると思いますが、私の意図するところは、話を聞き、なるべく正確に診断し、それに見合った治療を施し、最短距離で治るように働きかけるという意味です。
聞きたいこともあるのに、診察室を追い返されるように出てきたなんてよく聞く話ですし、これもこの場でよく言っていますが、症状が改善もしていないのに、何故良くならないのかを考えもせずに同じ薬を出し続ける医師も少なくありません。私の言うおもてなしとはかけ離れた対応と言えます。
少し前にこの冬は暖かく、気温の下がってくるのが遅れたため、寒暖の差の影響であろうぜんそく発作が頻発したのは11月から12月にかけてだったことをお話ししました。
雪国新潟でも雪が降るのが遅かったのですが、ようやくというか(あまり歓迎していないのですが)、ここ最近雪が降るようになりました。昨日も雪が降り積もり、特に市外から受診の方には受診しづらい時期になってきました。実際、いつもよりも診察は混んでいませんでした。
そんな中、意外と市外から受診の患者さんが目立ちます。負荷試験に来られたのも長岡市から来られた方だし、通常の受診でも長岡市、糸魚川市、柏崎市など、雪の降りしきる中を受診して下さったと思うと、ちょっと申し訳なくなります。
ひとり、十日町市から受診の患者さんがいました。この市からはアクセスの関係もあってか、受診はあまりありません。しかし、雪の中をお母さんが2人のお子さんを乗せて運転してきたと考えると、頭が下がります。
もともとアレルギーの相談だったのですが、気管も弱く、アトピー性皮膚炎もあり、今回は再診で受診されたのです。卵のアレルギー検査がクラス5で、卵を除去されてきましたが、「食物負荷試験」のことは地元では説明されておらず、前回の受診時に「いずれ負荷試験をやりましょう」ということになっていました。
この日は負荷試験の予定ではなかったのですが、遠路遥々受診されたため、またこれからもっと雪が深くなり、受診もままならないだろうと思いました。「これはおもてなししなければ」と考え、開始時間も比較的早い時間だったため、急遽負荷試験をやることにしました。
クラスが高いので、クッキーを食べてもらい、少し自信をつけて頂こうという作戦であり、当院の場合、これで多くの方が上手くいっています。ただし、もちろんのことですが、常に成功する訳ではありません。
あいにく、腹痛と嘔吐がみられてしまいました。この程度で症状が出るようなら、間をおいて負荷試験でリベンジを図ろうと思いますが、それまでは完全除去をして頂こうと思っています。
また、アトピー性皮膚炎があると水イボを合併しやすいのですが、このお子さんの場合も体に20個ほど広がっていました。多くの小児科が「自然に消えるから取らずに待ちましょう」と言いますが、皮膚科の日本の第一人者の先生は痛みを減らし取っています。当院もそれを採用しているため、切除しました。手間はかかりますが、確実に減らせることができると実感しています。
雪の中を出掛けてきて頂くと、それに見合った価値のある診療をやろうと思っています。咳が改善し、卵は少量摂取で症状が出ることが判明した訳ですが、これはお母さんにとっても有益な情報でしょう。更に水イボを治す方向に持っていきました。
私なりに「おもてなし」はできたのだろうと思っています。


