小児科 すこやかアレルギークリニック

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「安易な申告ある」
2014年03月24日 更新

先日、テレビでボーリングの下手な人に有名なコーチを付けて、練習後のスコアを前と比較するという番組をやっていました。

ちょうどうちの子がボーリングに興味をも持っていたので、食い入るように観てしまいました(笑)。

NHKの元「歌のお姉さん」が出てきて、1ゲームやってみた結果は、なんと4でした。私も唖然としてしまいました。水の入ったバケツを振るなどの練習をさせたら、スコアは90台に上がりました。まさに劇的ビフォーアフターです。

日曜日にも、子どもの希望通り、またボーリングに行ってきました。事前にこの番組を観せましたが、うちの子はまだ小さいので、今回の指導を活用はできませんでした(汗)。ただ今後、子どもに教える時に役立ちそうです。

一昨日だったでしょうか、ヤフーニュースに食物アレルギーに関する記事がありました。

タイトルは、『給食アレルギー「安易な申告ある」 診断書提出義務化も』でした。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140322-00000015-asahi-soci

この記事に書いてあるのですが、食物アレルギーの対応希望者には、医師の診断書を義務づけるとされています。

私にしてみれば、これって当たり前のことだと思うし、そうしてこなかったことの方が驚きです。この市では症状が軽ければ、診断書なしで除去食の対応を取ってきたそうです。

“症状が軽ければ”ってどういうことでしょう?。アレルギー検査の数値が高く、ずっと除去していれば、何も症状は起きません。これでは軽いのか重いのかさえも分かりません。

また、例えば卵アレルギーが重症でも、卵のちょっと含まれるビスケットを食べて、症状が軽く済むこともあるでしょう。しかし、卵焼きなど卵料理を食べれば、アナフィラキシーを起こすかもしれません。

食物アレルギーの知識がないと、“症状が軽ければ”という判断も、足元をすくわれることにつながるかもしれないのです。

記事では、ピーナッツアレルギーがあると判断されて、実はアレルギーではなかったこともあったということにも触れられています。

親御さんはもちろん、専門医でない医師もピーナツは怖いという感覚があるので、必要以上に除去する傾向にあります。確かに気をつける必要がありますが、食物アレルギーの基本である「必要最小限の除去」を守るためには、場合によっては負荷試験が必要になります。当院では、クラス2くらいだと結構食べられるケースもよくみかけます。

この場合は、食べられるものをアレルギーで食べられないと判断されていたので、まだいいのかなとも思います。それとは逆に、アレルギーがあるのに“除去の必要なし”と判断されることもあるだろうと思っています。

よくあるのが、アレルギー検査をやる際に卵、ミルク、小麦の3つくらいを調べるのみで、他のアレルギーを見逃されていることもあります。何でもかんでもアレルギー検査をやるべきと言っている訳ではなく、際限もなくなりますが、以前こんなケースを経験しました。

前医で調べられたのが、卵、ミルク、小麦程度で、それらがいずれも数値が高く、もしやと思って他の項目も検査してみたら、ピーナッツやエビなど調べた項目のすべてが陽性でした。「陽性」=「食べられない」訳ではないと言っていますが、ピーナッツはクラス5とかなり高値でした。口にすれば強い症状が誘発される可能性は極めて高いと思っています。こういう情報は事前に分かっていた方がよいと思うのです。

何をもって「安易」と言うかでしょう。私のように少しはこだわって食物アレルギーの診療をしていても、把握していない食品でアレルギーを起こすかもしれません。ただ、負荷試験という武器を持っているので、疑問に思えば負荷試験をやってシロクロをつけるようにはしています。

現実問題として、食物アレルギーを診るのは小児科医が多いと思いますが、その小児科医のほとんどが食物負荷試験をやっておらず、シロクロつけられることもなく、うやむやになっているケースもよく見掛けます。

しかし、当院で診ているお子さんでも、多種食物アレルギーがあり、負荷試験が思うように進まず、甲殻類、軟体類、貝類、ソバ、ナッツ類除去としている患者さんもいます。負荷試験を勧めても、放置されているケースもあります。中には除去に慣れてしまうと、負荷試験というリスクを避けようという発想も生まれる場合もありそうです。

先日、耳鼻科医に食物アレルギーの診断書を頼んだ親御さんがいました。敢えて言えば、頼む方も頼む方だし、書く方も書く方だと思いますが、これは耳鼻科医の方が問題でしょう。食物アレルギーが専門でないことは自分が一番分かっているからです。

アレルギー診断書の提出義務化と言われても、世の中の多くの医師が食物アレルギーの専門ではないため、どこまで現状が改善されるのだろうかと思っています。

せめて多品目の食物アレルギーと考えられている患者さんは、アレルギー専門医のもとを受診するようにすればいいと思いますが、日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医がみな食物負荷試験をやっている訳ではありません。食物アレルギーの経験豊富な医師が診るべきだと思っていますが、通える範囲内にそういった医師がいないという方も少なくないだろうと思います。

近隣では私が食物アレルギーに力を入れていても、同業の小児科医から紹介はまずありません。普通なら、食物負荷試験ができない医師ができる医師に紹介すれば、患者さんは食べられるものが増える訳で、負荷試験のできない医師もリスクを負うことなく、かかりつけの患者さんの食材を増やすことにつながります。ところが、いろいろな思惑があるからなのでしょうが、そういった連携は期待できないと思います。

世の中には、食物アレルギーに興味のある医師は少ないため、小児科医であっても、先程の耳鼻科医の話のように親の言いなりで書いているケースが多いようです。多くの小児科医の間に「食物負荷試験でシロクロつけよう」という発想がないからだと思います。

残念ながら、医師の診断書を義務づけても、私は安易な申告はそんなに変わらないように思っています。