「ヒトメタニューモウィルス」というウィルスがあります。
最近、ある条件を満たせば保険診療内で検査できることになり、小児科医の話題の中心になっています。
聞き慣れないウィルスなので「何じゃそりゃ!?」とお思いの方も多いと思います。私の場合、だいぶ前から知ってはいました。当院はぜんそくにも力を入れていますので、ぜんそく絡みで知っていたのです。
ぜんそくと切っても切れない関係にあるのが、RSウィルスです。これなら「聞いたことがあるよ」という方もいらっしゃると思います。
当院が開業した当時、RSウィルスの検査は保険診療で行なえませんでした。そういう理由もあって、他の医療機関では全くと言っていい程調べられることがなかったため、ほとんどの患者さんがRSウィルスの存在を知らないという状況でした。
保険診療外の場合、検査費用が医院の持ち出しとなってしまいます。要するに医院が損をするため、自ら損をしようとする医師はまずいません。ヒトメタニューモウィルスも保険診療内で検査できるケースも認められているため、これから知名度が上がっていくものと思われます。
RSウィルスは、乳幼児がかかりやすく、強めにかかるとぜんそくのようにゼーゼー言います。ぜんそくとの区別が必要になるため、RSウィルスのことは知っていないといけないのです。
今回のヒトメタニューモウィルスも、ゼーゼーしやすい感染症の一部であるため、「そんな名前のウィルスがいるんだ」と頭に入っていました。ただ、調べることができなかったため、私の中の知識でしかありませんでした。
最近、検査キットが出たことは知っていました。検査キットとは、インフルエンザのように綿棒で鼻水を採取し、それを検体とし院内で手軽に調べることができるのです。便利な時代になったものです。
先日、熱が続き、咳もひどい患者さんが受診されました。インフルエンザもマイコプラズマも陰性でした。血液による炎症反応の値も高くはありません。肺炎を心配しレントゲンも撮ってみましたが、明らかな肺炎像は認められませんでした。
私の中で「もしかしたらヒトメタニューモウィルスかも」という考えが浮かんできました。この患者さんを調べてみたいと思いました。
検査キットを至急取り寄せることにし、次回受診された際にヒトメタニューモウィルスかどうかを調べさせて頂こうと思っています。
実は、昨日別の患者さんで「これもそうかも」と思えるケースに遭遇したため、検査キットが手元に届いていたため、調べさせて頂くことにしました。
実は、ヒトメタニューモウィルスは以前からあるウィルスで、これまで「ウィルス性の肺炎」と診断していたケースが、このヒトメタニューモウィルスによるものだったかもしれないのです。ただ、「これがヒトメタニューモウィルスである」という目でみておらず、しかも答合わせができなかったため、昨日のケースが私にとって初めての検査でした。
患者さんには、「お子さんは、最近検査で調べられるようになったヒトメタニューモウィルスが原因かもしれません」と言って、検査させて頂きました。
結果は陽性。親御さんからは「さすが先生!」って言われました。私の感覚が間違っていなかったとホッとしました(笑)。
ただ、特効薬はなく、治療に結びつかないのは残念なところです。それでも高熱が続く場合もあり、即効性のある治療がなくとも、原因が分かれば親御さんは安心できます。
データ上は3月、4月に流行ることが多く、今回1例目を経験したため、上越地区で流行っている可能性があります。ただ、調べていない医院も多いでしょうから、私がビビビっときたら、調べて周囲にヒトメタニューモウィルスというウィルスの存在を情報発信していかなければと思っています。
そう思っていたら、昨日はもう1人「これはそうでしょ」というケースに出くわしたため、調べさせて頂きました。
結果は陰性。たったさっき「さすが先生」なって言われたばかりなのに、自分が「さすが」でないことが明らかになりました(大汗)。
県内の他の地域では一部で流行っているという情報もあり、上越も例外でないと思っています。今後はヒトメタニューモウィルスを疑った場合、その場で検査をして答合わせができるようになった訳ですから、積極的に調べて自分の診断技術を磨いていこうと思っています。


