小児科 すこやかアレルギークリニック

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リンゴに感謝
2014年05月23日 更新

当院は、開院して間もなく7年になりますが、初診の患者さんが来なかった日がほとんどありません。

要は、毎日のようにアレルギーで困っている患者さんが救いを求めて受診されています。自分の得意分野で貢献できるのはとても嬉しいことです。

先日、10代前半の患者さんが当院を受診されました。リンゴを食べると口がイガイガするという話でした。ここまで読めば、食物アレルギーの知識のある方はお気づきでしょう。そう、口腔アレルギー症候群があると予想されます。

多くは、これまでリンゴは食べていたのですが、花粉症を発症することで、その花粉と似た構造を持つリンゴを食べると、唇が腫れる、口の中がイガイガする、口に違和感を覚えるといった症状がみられます。

普通は、その辺の説明をして終わりとなるのかもしれませんが、私は“余計”なことまで聞いてしまいます。他のアレルギー疾患の有無についてです。

皮膚を診察すると、アトピー性皮膚炎と思われる湿疹を発見しました。その時の聴診で喘鳴が聞かれた訳ではないですが、話を掘り下げて聞いてみるとぜんそくと思わせる症状が出ていました。

残念ながら、この患者さんはアトピー性皮膚炎ともぜんそくとも診断されていませんでした。いつも不思議に思うのは、どうして医師によって診断が異なってしまうのかということです。皮膚科ならアトピー性皮膚炎を診断できなければおかしいし、呼吸苦の症状もみられていたのですから、小児科ならそれを“風邪”とか“気管支炎”と診断するのは到底理解できません。

いずれも慢性の病気なので、繰り返し症状は見られています。逆に診断しやすいはずです。私なら、症状が繰り返していれば慢性疾患を思い浮かべますが、多くの医師が湿疹や咳をみると急性疾患と捉えてしまうのでしょう。

私は地元上越の医療しか直接は知りませんが、他の地域も似たり寄ったりのようです。「新潟県のアレルギー医療はどうなっているだー!?」と叫びたくなります。

アトピーは、さほど重症でないと湿疹が限局的のことが多く、それが肘や膝の裏だったりします。早速当院で治療を始めていますが、こちらは治療により軽快しています。

この患者さんは小さい頃にぜんそくの典型的な症状がありましたが、そうは診断されていませんでした。先程述べたように、ぜんそくは慢性疾患です。そう簡単には治らないことも多いのです。

ただ、病気自体が軽快してくるせいか、成長とともに気管支も太くなるという側面もあってか、重症でないと呼吸困難や喘鳴という典型的な症状はみられないようです。ただし、運動誘発ぜんそくといって、運動した時にぜんそく症状が垣間みられることもあります。この患者さんの場合、まさにその通りでした。

患者さんからすれば、ぜんそくと診断されたことが一度もないため、青天の霹靂なのかもしれません。ただ、親御さんからすれば、お子さんの体の中で起こっていることはキチンと把握しておきたいでしょうし、病気が治っていないのなら、治るものなら治してあげたいというのが親心というものでしょう。

年齢が長じてくると、ぜんそく治療は吸入ステロイド薬を使うことになります。この患者さんも例外でなく、治療を開始させて頂きました。

私から言わせれば、2つの病気はこれまでもずっとみられていたので、診断しない方がおかしいのです。いつも感じることですが、湿疹が出ればステロイド軟膏を、咳が出れば咳止めを処方するのみで、言い方は変ですが、臭いものにはフタ的な対症療法を繰り返すのみで、「どうしてそういう症状を繰り返しているのか?」と考えないため、“誤診”が相次いでいるのだろうと思っています。

親御さんには、病気の説明をし、当初は驚かれたでしょうが、今は病気のことを把握し、治療に前向きになられています。

リンゴでの症状を相談に来られたから、こういう展開になった訳です。「リンゴに感謝したいと思う」とおっしゃっていましたが、まさに親御さんの心境を表しているのだろうと思います。