小児科 すこやかアレルギークリニック

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いざという時
2014年06月03日 更新

先日、通院しても症状が改善せず、同じ薬ばかり処方されているという患者さんが、当院を初めて受診されました。

「風邪」と言われていたそうですが、熱が5日も下がらなかかったり、咳も1日中しているなどかなり悪い状況であることが分かりました。素人の目にも風邪じゃないことは明らかです。病状の説明も一切なく、逆に親御さんはその辺の解明を求めていると察知しました。

熱が続き、咳もひどいと肺炎を疑います。普段、患者さんの胸に聴診器を当てていますが、ほとんどが異常な音は聞こえません。咳がひどい時にこそ、入念に聴診をすべきです。変な音がしないかという他に、右と左の肺の音に差がないかなどもチェックポイントのひとつです。

聞いてみると、ハッキリ聞こえませんが、何か違和感はありました。おかしいなと思えばレントゲン写真を撮るのが普通でしょうが、前医では胸のレントゲンも撮られていませんでした。

見ていると、効率重視の医院さんはレントゲン写真はほとんど撮らないようです。親御さんが診断をキチンと確定して欲しいと願っているにも関わらずです。残念ながら、レントゲンで、右肺に明らかな肺炎像を認めました。

肺炎があると、それが治療可能な肺炎かどうかを判断せねばなりません。細菌性か、マイコプラズマなどは抗生剤を使いますが、ウィルス性だと特効薬はありません。

熱が5日も続けば、なるべく原因を突き止める必要があります。先に述べた通り、原因を明らかにしなければ、治療に結びつけることはできないはずです。ちなみに前医では、点滴が繰り返されていました。点滴好きな医院さんは、とことん点滴が好きなようです。当院は、必要のない点滴は一切行ないませんので、そういう医院さんとは点滴の施行回数は雲泥の差だと思っています。

地元上越市では、肺炎があるとすればマイコプラズマとヒトメタニューモウィルス辺りが考えやすいと思います。この2つを調べてみると、ヒトメタニューモウィルスが陽性でした。この熱が続く原因は、ヒトメタニューモウィルスによる肺炎と結論づけられました。

不思議に思うのが、地元の医院さんの「感染症情報」をみてもヒトメタニューモウィルスの記載は一切ありません。当院では何度も検査で確認しているにも関わらずです。

ヒトメタニューモウィルスは、検査だけしては医院の損になるため、検査をしない医院さんもあるようです。診断をしなければ、親御さんも不安になります。しかも、園にヒトメタニューモウィルスにかかった子どもがいれば、園側はそれを把握する必要があるのですが、把握していないケースもよくあります。こんな感じなので、正直言って「感染症情報」というものはあまり当てにしていないのです。

当院では、治療に結びつけるために、できる限り診断をつけるよう心掛けています。ちなみにヒトメタニューモウィルスやRSウィルスには特効薬がありません。「じゃあ、調べても意味ないじゃん」と思われるかもしれませんが、そうではないと思います。原因が分かることで親御さんも安心できるし、すぐに良くする術(特効薬)がないことが分かることも親御さんにとっても有益な情報のはずです。

この患者さんの場合、もうひとつ見落としがありました。軽いぜんそくがあったのですが、何度も「咳」で通っても見出されることはありませんでした。いつもぜんそくやアトピー性皮膚炎が見逃されていると言っていますが、“誤診”を繰り返す医師は何度もリピートしています。

親御さんはお子さんが体調を崩せば、すぐにかかりつけの小児科に連れていくでしょうが、軽い風邪や胃腸炎であれば、放っておいてもじきに治ります。医者なら誰が診ても、そう変わりはないと思います。

一方、重い病気にかかった時に、大きな差が出てくるようです。キチンと診断し、治療してくれるかで、かかりつけ医の価値が分かるのだと思っています。

先日も別の患者さんですが、湿疹が出て当院を初診されたのですが、「うちはかかりつけは〇〇小児科です」なんて言っている割りに、“いざという時”に総合病院や当院に頼っており、本当にかかりつけと言えるのだろうかと思ってしまいました。本当に信頼していれば、逆に困った時にこそ、その小児科に相談に行くはずです。

いざという時にこそ、医師の「本性」が分かるのだと思います。

私も何でも診断できる訳ではありませんが、かかりつけ医としての責任を果たすために、こじれた時にこそ時間を掛け、病状を把握し、病態を考え、医院の損になろうがヒトメタニューモウィルスを調べたり、タイムロスになろうが、必要があればレントゲンを撮っています。分からなければ、分かる医師へ紹介しています。

前医では、要は原因を調べず、対症療法のみで点滴を繰り返し、まともな説明もありませんでした。当院に来て、ヒトメタニューモウィルスによる肺炎が見つかり、軽いぜんそくもあることが判明し、小児科医の実力の差のほかに、良心にも差があることを理解して頂けたと思います。

親御さんは、これまでかかってきた“医療”のレベルを知ることになったようで、親として子どもに良い医療をやってあげられなかったことに対し、目に涙を浮かべていました。今回のケースは、ハッキリ言って研修医以下のレベルだと思っています。

いざという時にこそ、医師の対応に差が出ます。患者さんからすれば、つい医師は信用に足るものと思っているでしょうが、私はそうは思っていません。こういうおかしな対応をよく目にしているからです。

変な言い方になってしまいますが、一度そういう目でかかりつけの医師を見てみても良いのだろうと思っています。