医療は、通常診察室で行なわれます。
病気で困った患者さんが、医師の元を訪れ、病気に関する相談を受け、医師は病気を見出し、それに見合った治療を提供するということだと思います。
溶連菌を例として挙げます。お子さんが熱が出て、喉が痛いと言っています。食欲も落ちています。医師によっては「周りで流行っている病気はありますか?」と聞くこともあるでしょう。診察して、喉を入念に診て赤みが目立てば、喉に炎症があり、それで熱が出ていて、食べる時に喉が痛いから食欲も落ちているのだろうと推察します。
あとは、検査となります。綿棒で喉をこすって、それを検体にして調べれば、溶連菌かどうかはじきに分かります。溶連菌は抗生剤が特効薬なのですが、抗生剤の選択は専門的なのでそれは医師に委ねることになると思います。
出席停止の病気なのですが、基準として「抗生剤治療開始後24時間を経て全身状態がよければ登校可能、長くても初診日と翌日を出席停止にすればよい 」とされますので、それを満たせは、再診して頂き登校許可書を記載し、元通りの生活に戻って頂きます。
お子さんが病気になったのですから、親御さんと医師との間のやりとりなので、医師からすれば学校との“交流”は登校許可書という紙切れ1枚で終わります。急性疾患の場合は、こんな感じです。
食物アレルギーの場合はどうでしょう。溶連菌のように短期間で治ってしまう病気ではないため、また学校で給食が提供されるので、学校側も溶連菌の時のように、言わば“受け身”だけでは済まされません。食事は、お子さんの成長に必要な栄養源のため、学校側が聞きたいこと、知りたいことは沢山あるはずです。
ところが、実際には多くの場合、すぐに治ってしまう溶連菌のように、紙切れ1枚で済まされることが多いようです。そもそも、この春に国が食物アレルギーの対応は、医師の診断書が不可欠と言い出したのは、この紙切れでさえも2割しか提出されていなかったことがきっかけとなっています。
溶連菌など一般的な感染症では命を落とすことはまずなく、食物アレルギーの場合は、生命に危険が及ぶ可能性があります。実際、東京調布市でそういうことがあったので、より一層学校側の対応にミスは許されないことになります。
昨日も水曜の午後、ある保育園に講演に行ってきました。その園にも重症な牛乳アレルギーのお子さんが通っており、エピペンを預かって頂いています。仕方ない部分もあるのですが、この半年で2回家庭でアナフィラキシーを起こし、親御さんがその都度エピペンを打ち、医療機関に駆け込んでいます。
当然、園では食物アレルギー対応に万全を期す必要があります。私の側からみても、およそ紙切れ1枚では伝えきれない部分は当然あります。
実は、この園には出向くのはこれで3回目です。去年も一昨年も出向いています。どういう訳か、他にも重症な園児がいて、みな私が主治医なのです。ただ、既に卒園しているお子さんもいます。
いつも講演が終わると、職員室で茶飲み話となるのですが、昨日は園長先生をはじめ、栄養士さんも加わりました。
雑談の中でも、やはり慎重に対応して下さっているのが伝わるし、何より私が主治医として守らなければ行けないお子さんの食事のことを、顔の見える状態で話し合えることは素晴らしいことだなと再認識したところです。
当院の場合、多くの患者さんは「完全除去」という指示は出していません。含まれる量が少なくても、加工品を食べさせる努力をしているため、「少量なら食べられる」と言っているケースがほとんどです。
ところが、そういう姿勢でやってはいるものの、今回のお子さんは乳製品は完全除去をお願いしています。
今回、栄養士さんの方からパンについて質問がありました。脱脂粉乳を含むことがあり、その辺はどうかというものでした。もちろん、負荷試験をして評価する必要がありますが、家庭ではごく少量含むパンなら食べており、無理難題というものではありません。
こんな感じで、食事を任されている栄養士さんと議論というか、やり取りすることもそう多くはないため、こういう交流もいいものだなと思っています。
私の知識が役立つのであれば、どこへで行くつもりです。これまでの紙切れ1枚で全てが通じる訳ではなく、通常は、言い方は変ですが「良きに計らえ」的な一方的なものだったのだろうと思っています。
もっともっと交流が必要だと思いながら、帰ってきました。


