これまで日本アレルギー学会の発表は、ぜんそくに関するものが食物アレルギーに比し、とても多かったのですが、ここ数年で逆転してしまっているようです。
つまり、アレルギーを専門とする医師の間でも興味(ないしは需要)が食物アレルギーに移行していると言えるのだろうと思っています。食物負荷試験が必要ということで、ここ数年で始めた専門医も多いのだろうと思います。
私は、福岡の専門病院の恩師から教えて頂いたお陰で、食物アレルギーの大切さを以前から認識しており、10数年前から力を入れてきました。当時は学会に参加しても食物アレルギーに関する話題は閑古鳥と言っては言い過ぎですが、窓際族的な感じでした。
だいたい、学会は土日に行われますが、日曜の夕方に食物アレルギーの話があったりして、多くの先生が帰る中、私や食物アレルギーに力を入れている先生方が参加しているような格好でした。
ところが、今は食物アレルギーの話となると参加者が殺到するように様変わりしています。そこで、食物アレルギーに力を入れ始めた医師も増えてきている訳です。ただ、食物負荷試験は実施する医師がリスクを背負うため、やりたがらない医師も多く、時代についていこうという医師と、乗り遅れている医師といるように感じています。
食物負荷試験は、私の場合、開業前からやっているため、かれこれ14年でしょうか?。負荷試験をやっている専門医の中でも結構“古株”になってきたのかもしれません。
ですから、「リスクを背負って嫌だ」とかあまり思わなくなっています。「食べられるかどうか、シロクロつけてあげないと、患者さんは一生除去してしまうかもしれない」と考えてしまいます。
確かに昨日少量の小麦でアナフィラキシーを起こしてしまった患者さんのように、医師が1人しかいない開業医がそういう事態に陥ることもあります。ただ、冷静にこれまでの経験や知識を総動員し、アドレナリンを使用した方が望ましいと判断し、乗り切りました。
じゃあ、もう負荷試験は行わないか?、答はノーです。昨日も負荷試験を何人もの患者さんに勧めました。
昨日触れたアドレナリン注射は、本当に1年振りくらいの使用だったと思います。当院としては、極めて珍しい状況でした。多分、多くの専門病院で負荷試験は行われているでしょうが、多分アドレナリンの使用は日常茶飯事的に行われていると思います。
アドレナリンを使うことで、早くアレルギー症状を改善させ、エピペン処方につなげられるので、それ自体は大切なことだと思っています。ただ、当院の場合は、加工品で少量から行い、少量で強めの症状が出たから、エピペンが必要だと判断することもありますし、いかにアドレナリン注射を行わないか、言い方を変えると強い症状を起こさないようにするかに力を入れています。
そういう意味では、あくまで私の言い分ですが、専門病院よりも一歩進んだ方法を取っていると思っています。そりゃ、患者さんも肝を冷やさずにシロクロをつけられたに越したことはないと考えていると思います。ですので、アドレナリンをバンバン使う病院があるとしたら、使用を減らす努力は必要だと思っています。
あと、今日もある園にエピペンの説明に行きます。ここのところ園や学校に出向き、エピペンの使用法について講演しています。園や学校の先生は、その道のプロではないのですが、園や学校で給食が出るので、万が一に備え学ばざるを得ないのです。
ところが、患者さんがアナフィラキシーを起こし、病院に運び込まれても、医師が点滴に抗ヒスタミン薬やステロイド薬を注射するのみで、アドレナリンが使われていないことが多いという現実があります。
園や学校の先生にエピペンの使用を学ばせておいて、同じようなタイミングで使えない医師が結構いるのも事実だと思います。確かに病院に辿り着くまで時間がかかるので、早めに手を打つということは大事ですが、学会が示したエピペンのタイミングを満たしているにもかかわらず、病院では治療が行われていなかったりします。
このバランスのとれなさがちょっとおかしいと指摘させて頂きたいと思っています。去年だったかアナフィラキシーのガイドラインが出ましたが、それも医師のアナフィラキシー対策が遅れていることを表しているものと思われます。
昨日触れた「とにかく不機嫌」もアナフィラキシーの兆候で、エピペンの適応だと考えていますが、そう思わない医師も多いでしょうから、その辺の整備を期待したいと思っています。


