気候のせいでしょう。連日、咳の患者さんが多く、忙しい状態が続いています。
寒暖の差がきっかけとなり、ぜんそく発作を起こしやすくなっていますが、確かにゼーゼー言うお子さんも何人かはいます。昨日、点滴の話をしましたが、ゼーゼーしたら点滴治療という訳ではないので、点滴は行っていません。
一番は、患者教育かなと思っています。早めの受診をしてもらえれば、何とかなることが多く、知識と技術を駆使してぜんそく発作による入院や点滴を回避しているという状況なのだと思っています。
咳の患者さんが多い中、遠路から食物アレルギーの相談が後を絶ちません。驚くほど、いい加減な対応をされている患者さんも多く、専門医に紹介されることもないため、そういう医師達は同じあやまちを繰り返しています。
対応に困れば、勉強して患者さんのために何か良いことをやってあげたいと思うはずと思うのですが、そういう医師達は“対応に困っていない”のでしょう。従来の彼らのやり方を変えようともしていないようです。
食物アレルギーの診断書はなるべく正しいものを書きたいと考えています。「必要最小限の除去」になるよう、負荷試験も行っています。そうしないと、まず患者さんに失礼だし、誤った診断書を園や学校に提出すれば、園や学校はしなくてもいい除去にあれこれ頭を悩ませたり、誤食事故にヒヤヒヤしながら食事を与えることになってしまいます。
食物アレルギーに興味のない医師達は、そんなことはお構いなし。自分が診断書を書けなければ、専門医に紹介しようという発想がないようです。そこが問題でしょう。
今日の話題の患者さんもまさにそのもの。某町から先日、食物アレルギーの診断書を求めて患者さんが受診されました。その町は小児科医自体がいないため、園から診断書を求められたため、親御さんはアレルギーの専門医を受診しようと思ったそうです。
そこで思いついたのが、N市の小児科開業医。以前、特殊な予防接種でかかったことがあり、アレルギー科を標榜していたことを思い出したそうです。数ヶ月前のことです。
その町はN市まで相当な距離があり、結局は「アレルギー科」を標榜しているだけの非専門医だったので、どうかなという診断書が書かれており、変な言い方になりますが、骨折り損のくたびれもうけという状況でした。
園の先生から当院を紹介され、140キロくらいの距離を受診してくださいました。日頃から「すこやか健康フェア」など啓発活動を繰り返し行っているため、こういう時にお役に立てるのは嬉しい限りです。
これまでの状況を聞いてみると、卵アレルギーはありそうです。先の非専門医の診断書は卵を除去と書いてありました。診断書は“間違っていない”ということになると思う方もいるでしょうが、私から見れば不十分です。
どういうことかと言うと、その後このお子さんは卵の加工品は食べていました。カステラのような卵を多く含む加工品さえも食べていました。であれば、卵焼きも食べられるんじゃなかろうかと考えるのは自然なことだと思います。
逆に、診断書の記載をきっかけとして、除去や解除を見直すべきなのです。ですから、この患者さんの正解は、卵の制限を解除できるかどうか負荷試験を行って判断するということだと思います。私の経験から言えば、相当な確率で解除できそうです。
ということで、卵焼きで負荷試験を行うことになりました。親御さんは当院に“正しい診断書”を求めて受診されましたが、「今日は書けません」と言いました。
負荷試験を行った後に、うまくいけば卵の除去が必要なくなるし、ダメなら除去継続となりますので、診断書は負荷試験の後に記載することになりました。
除去している食品を「食べられるんじゃないか」、「除去なんて必要ないんじゃないか」、常にそういう目で見ていないと、ダラダラと除去を継続することになってしまいます。最近は、真面目に完全除去を続けた方が、その食品を敵に回してしまい、誤食時にアナフィラキシーを起こす可能性すら指摘されています。
残念ながら多くの小児科医に欠けているのは、「無駄な除去を1つでも減らしたい」、「正しい診断書を書きたい」という医師なら当たり前のように持っているはずの正義感なのかなと思っています。


