小児科 すこやかアレルギークリニック

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覚悟
2015年10月16日 更新

昨日、運動負荷試験をやりました。

10代男児が弁当を食べて、午後にマラソンを走ったところ、じんましんが広がったそうです。普段から食べているものばかりですし、アレルギーにちょっと関心があれば、食物依存性運動誘発アナフィラキシーではないかと疑うパターンでしょう。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、6割が小麦、3割が甲殻類とされます。これだけで9割の原因を占めていることになります。小麦は食べておらず、となると弁当の中のエビが可能性が出てきます。

血液検査や皮膚テストが診断の決め手になったりしますが、エビは陰性。皮膚テストも陽性とは言えない状況でした。ただ、私の経験上、これらの検査が陰性であっても、運動負荷試験が陽性だったことがあります。

患者さんには、原因を突き止めようとするなら、負荷試験をやるしかないとお伝えしました。残念ながら、多くの医師がこうは言わないと思います。ごく一部の医師が専門医に紹介するという態度をとるでしょうが、原因不明と決めつけたり、食後は2時間運動しないようになんてことを言ったりするように思います。

ここは、リスクを覚悟で運動負荷を勧めるか、それをしないことを希望するか、患者さんに選択してもらうのが正しいと思っています。そして、ご本人が負荷試験を希望されました。

昨日がその日だったのですが、当院は医師が一人しかいません。エビを食べてもらい、そのために購入したルームランナーを使って、15分間走ってもらいます。心拍数は180回/分ほどまで上げることが求められます。能力を見極めながら、速度を上げていきます。

運動負荷を終えた直後から頭皮を痒がります。じきに体も発赤し、痒がり、顔色も悪くなってきました。血圧もあらかじめ測ったものより低下してきました。エピペンと同じ成分のアドレナリンを注射し、点滴と患者さんにかかりきりになりました。

幸い徐々に回復してきました。当院は負荷試験をこだわってやっていますが、アドレナリン注射を行うケースはおおよそ年に2、3回でしょうか。これまでで一番くらいに強めの症状が出てしまいました。ただ、やるべきことは分かっているつもりなので、後手後手に回らないように、先手は打っていたつもりです。

患者さんには強めの症状を起こさせてしまい申し訳なかったのですが、エビが原因であることが判明し、今後何に注意して生活していけばいいかハッキリさせることができました。その点は親御さんも含め、良かったと言っていただけました。

原因がわからず、変な言い方ですが、爆弾を抱えて生きていくよりは、エビを食べないようにして運動する、もしくはエビを食べたら一定時間は運動を避けるという生活さえ送ればいい訳です。もちろん、万が一に備えてエピペンも処方しました。

このように強めの症状を起こしてしまった時に、診療は完全にストップします。開業医としては、致命的なことなのかもしれません。しかし、一人の患者さんを守るための生活指導はできるようになりました。

そりゃ、私だって運動負荷試験は避けたいです。ただ、県内ではこういった検査をやる施設がほとんどないため、多少背伸びをしてでも私がやらなければならないと思っています。

もちろん、何か起きれば、全て私の身に責任が降りかかってきますが、それも承知の上です。もしかしたら、医者をやめなければならい状況もあるかもしれず、それくらいの覚悟はできているつもりです。

医療というのは、人の命を預かるもので、それなりの覚悟を全ての医師が持つべきだろうと思っています。ところが、医院の損になることは避けたり、患者さんに必要な検査を勧めなかったり、自分の限界を超えていること知っていても専門医に紹介しないような、デタラメをよく目にしています。

自分はそうはなりたくないと思います。今後も覚悟を持ちつつ、診療を継続していけたらと思っています。