最近、疲れます(汗)。
発熱の患者さんが多く、この時期ですからインフルエンザを考えますが、そうでなかった場合、何とか原因を見出し、治療に結び付けないといけません。
当院の場合、他院で治療して良くならないと、ここぞとばかりに当院を受診される方も少なくなく、その期待に応えようとすると、時間も手間もかかります。そんなこんなで疲れちゃうんでしょうね(涙)。
いつの間にか2月に入り、新年度が近いということで、学校生活管理指導表を持参する患者さんが増えてきました。そんな中、ある意味象徴的なケースを経験しました。
患者さんは中学1年生。1歳の時にイクラを食べて、じんましんが出たため、それ以来魚卵はずっと除去していたのだそうです。
ここで問題は、医療機関にかかっていなかったこと。アレルギー採血による裏付けも取っていなかったそうです。ただ、仮に近くの小児科を受診したとしてもどこまで的確な指導がなされたかは、よく分かりません。
いずれにしても、そこから魚卵除去の日々が始まりました。何とそれから10年以上の歳月が流れ、現在に至ります。
園や学校では、魚卵の除去をお願いしていたそうです。医療機関は受診していないので、除去食の診断書の提出はなかったのだそうです。親御さんと園・学校側の直談判ってやつを繰り返してきたのでしょう。正直、10年以上もこうやっている患者さんもいるんだなと思いました。
さすがにこのやり方に、文科省はノーを出しています。
確かに10年以上前にイクラを食べてじんましんが出ていますので、イクラアレルギーはあったのでしょう。ただ、今もあるかと言われると、それはどうか分からないし、当時からタラコの除去も続けていますが、イクラアレルギーがあるからタラコアレルギーもあるかといえば、そうとも限りません。どうして医療機関を受診されなかったのでしょうか?。
イクラは小さい頃は除去する必要はあったとは思いますが、タラコもそうである確率は決して高くないと思っています。となると、敢えて言いますが、園や学校に対し、無駄な除去をお願いしていたことになります。
学校側も、食事のことは親御さんが一番よくわかっているからと、魚卵の除去を受け入れていたのでしょうが、食物アレルギーの場合は、心配や不安で過剰に対応されることも少なくなく、今回のケースもそういう事例だと思っています。
ちゃんと医学的根拠に基づく除去が必要であると文科省も認めており、今後は医師による診断書が欠かせないことになりました。ただ、普段この場で書いているように、医師の多くが食物アレルギーに関心が薄く、大した根拠もなく除去を指示しているような現実もあります。
お母さんも子どもを守るためにやってきたことでしょうが、今の流れをお話しし、本当は“やってはいけないこと”をやってしまっていたことを説明しました。
今後やるべきは、まず12、13年やっていなかったアレルギー検査を行うことと、もちろん負荷試験です。
あわよくば、負荷試験でイクラの除去は不要なんてことになればいいのにと思っています。ただ、中学生になった患者さんは、物心がつく前からずっと除去してきた訳で、それを医者の前とはいえ、いきなり食べろでは気持ちの整理がつきにくいのだろうと思っています。
ただ、あと5年もすれば18歳になり、親元を離れることになるかもしれません。これまで怖くて除去してきたのは仕方ないけれど、それまでにイクラとタラコが食べられるかどうか白黒つけるべきという考えに、お母さんも理解を示してくださいました。
これ以上、学校側に面倒をかけないためにも、できるだけ早く負荷試験をやった方がいいでしょうと提案しました。まずはアレルギー採血の結果の確認です。多少高くても、負荷試験につなげたいと思っています。
知らないうちに“やってはいけないこと”を続けていたと言われ、親御さんも「えっ」と思われたでしょうが、少し時間をかけて説明し、ご理解いただけたようです。
関心のある方は、現在の食物アレルギー対応の流れを把握されているでしょうが、そうでない方の方が圧倒的に多いことでしょう。地元の学校の多くが、地元の医療機関の中で、当院くらいしか専門的な医療をやっていないことをご存知なので、文科省の指導もあって、きっとこんなケースが後を絶たないと思います。そんな患者さん達のためにも、疲れたなんて言っていられない、そう思っています。


