週末、学会発表してきました。
昨日も触れましたが、参加理由は、日本の食物アレルギー事情を改善させるため。私は地方の開業医ではありますが、それなりのレベルで一生懸命やっていると、いろいろな“ほころび”が見えてきます。
学会側は、「開業医は負荷試験なんてしなくていい、紹介してくれ」という方針ですが、開業医は開業医で、「開業医はしなくていいんだ」と言い、しかし、経営上の方針もあって紹介しようとしない、「食べられようが、食べられまいが、知ったこっちゃない」なんて思いやりのない小児科医も大勢います。
専門病院は、現在の5倍、10倍の受け入れキャパシティーがあるかといえば、そうではないでしょう。何ヶ月待ちとなるだけと思われます。言葉は悪いですが、開業医の尻を叩くことが大切だと思っています。
医師は個人差が大きく、「オレはこれまでこの方法でやってきたんだ」と勝手に自信を持つような人もいます。負荷試験なんて危険だし、危険を冒してまで、患者に食べさせたいとは思わない、という医師も結構います。そういう医師の尻を叩こうなんて思いません。何も変わりませんから。
「何とかしなければ」と思っている、良心的な医師の協力を仰ぎたいのです。
私は開業医としての診療をしつつ、それなりの数の負荷試験をこなしていますが、負荷試験でアナフィラキシーを起こしてしまえば、診療がストップしてしまいます。それは患者さんにとっても、私にとっても痛いこと。そうならない負荷試験が求められます。
3段階に分けて、3回負荷試験をやれば、いきなり多くのアレルゲンが体に入り、強い症状を起こすこと可能性は低くなります。手間はかかりますが、患者さんにとっても、こちらにとっても優しい方法であると考えています。
こういう発表を繰り返していれば、いつかは学会側も着目してくれるのでは?と淡い期待と持っています。また、「負荷試験をやりたいけれど、いい方法があれば」という真面目な医師達の目に止まれば、いいなと思っています。
ここ最近、こういう活動を行っていますが、くさらず地道に続けていこうと思います。
学会は、言わばアピールの場でもある訳ですが、もちろん知識を高める場でもあります。早速ですが、学会で得た知識が活用できた、とても重要な経験をさせていただきました。
牛乳アレルギーの場合、牛乳を200ml摂れるかどうかが問題になります。繰り返し200mlを摂ってみて、何も起きなければ、これまでの除去を解除できることになると思います。
学会で指摘されたのは、給食で牛乳200mlのほかに、食パンとシチューが出た場合、ともすると牛乳350ml相当の乳成分を摂取することになります。これって、意外と盲点だったりします。200ml摂れていれば大丈夫と言っていいとは言えない話です。
また、運動の刺激も受けやすくなります。牛乳アレルギーの重症な方に、牛乳200mlの負荷試験を行い、何とかクリアできたため、家で摂ってもらっていたら、母のいない時に牛乳200mlを摂り、直後に友達とサッカーに行ってしまい、アナフィラキシーを起こしてしまった苦い経験があります。
解除直後は、運動に注意が必要というケースです。牛乳はこういうことあるのです。
昨日経験したケースはこうです。1歳過ぎから牛乳でアナフィラキシーを繰り返し起こしており、10歳時に当院を初診しています。治ってきている印象があったので、負荷試験を行い、牛乳200ml摂れることは確認しています。
これは2年ほど前のことであり、それ以来、毎朝のように牛乳200mlを摂って、学校で部活など運動も含めた活動を行っていました。当然、牛乳は解除していいと判断したくなります。
昨日は、給食で牛乳200mlのほかに、ヨーグルトが出たそうです。昼休みにバトミントンでやっていたら、蕁麻疹と呼吸苦がみられたそうです。薬を内服し、隣町から当院を受診してくださいました。症状は重くはなかったので、受診時には消失していました。
お分かりの通り、いつもより多く乳製品を摂った上で、運動をしたので、アナフィラキシーを起こしてしまったのです。牛乳の解除はとても難しいことが分かります。
ただ、いろいろ経験をさせていただいていると、牛乳でアナフィラキシーを繰り返していて、年長になって負荷試験結果に基づき解除すると、こういうことが起きる気がします。
牛乳200mlを超える摂取と運動の組み合わせが要注意と言えます。ただ、運動しなければ、もしくは200mlを大きく超えなければ、症状は出ないので、これをもって乳製品を完全除去にしてしまうのはかわいそうです。その辺は、慎重な対応が求められると思っています。
学会で勉強してきたことに、いきなり翌日の外来で遭遇してしまった訳です。食物アレルギーの世界は、奥が深く、対応が簡単ではないと思い知らされました。


