今の医療の問題点は、時間を優先する診療スタイル(短時間で済ませようとする)を取る医者が多いことだと思っています。
診療の質が軽視されており、間違ったことをやっても、それを評価する働きがないため、悪く言えば、“医者のやりたい放題”となっています。
診察室という“密室”で、医者にこうだと言われて、それで「ハイ」といえば商談成立。医療として成り立ってしまうのです。それが医療と言えないようなレベルの代物であってもです。なかなか医者に異議を唱えることは難しく、患者さんも受け身で、「ハイ」以外は言えないですよね?。
それでも医師には医療費が支払われるため、おかしな診療に慣れてしまうと、そこから抜け出せなくなってしまいます。
例えば、じんましんが出て小児科や皮膚科を慌てて受診しても、じんましんを抑える内服薬や塗り薬が出て、おしまいってこと多いですよね?。じんましんの原因を追求しなくては、患者さんは同じことを繰り返すし、何に気をつけたらいいか分からないままです。
先日、100キロ以上離れた街から成人の患者さんが受診されました。カレーを食べてアナフィラキシーを起こしています。近くの皮膚科に急いで受診しましたが、呼吸困難があるにもかかわらず、内服薬を出すのみ。通常、呼吸困難があれば、気管支拡張薬の吸入は最低でも行います。症状が強ければ、エピペンの成分であるアドレナリンの注射を行うはずです。
患者さんが問い直しても、内服薬で様子をみてくれと言うのみ。救急外来の受診を促すなど、方法はあったはずです。恐るべき低レベルの対応だと思います。
そんなレベルですから、何故そういう症状が出たのかの検索もありません。カレーを食べてまもなくアナフィラキシーを起こしたのですから、カレーの中に原因があるのでは?と考えるのは、素人だって疑うところです。
人間、食べなければ生命を保てない訳で、食事に不安を抱えることって、とても気の毒なことだと思っています。そこが、当院が食物アレルギーに力を入れる理由です。
本来、大人の食物アレルギーは皮膚科医が対応することの多い分野です。私が把握していないだけかもしれませんが、新潟県内で食物アレルギーに力を入れている皮膚科医っているのでしょうか?。
ということで、遠路遥々受診してくださったカレーを食べてアナフィラキシーを起こした成人の患者さんを精査することになりました。
何を考えるか?。ずばりスパイスです。スパイスアレルギーって少ないですが、医学書で読んだことがあります。
患者さんの食べたカレーは某有名メーカーのものでしたが、含有するスパイスをお客様相談室に電話してみましたが、企業秘密の一点張りで、教えてももらえず、皮膚テストに必要なサンプルの提供さえ拒まれました。こんな対応に興ざめし、メーカーの体質を疑うばかりです。
結局、別のカレーでも症状が出たこともあり、他メーカーからサンプル提供を受け、これで皮膚テストを行うことができます。実は、初回に受診された際、皮膚テストを試みました。乾燥したスパイスを水に混ぜても、うまく混ざらず困ったことがあります。これも日本の第一人者の先生の質問して解決済み。
スパイスアレルギーは、日本では報告は少なく、私の持っている医学書の中で、詳しく書かれたものは1冊くらいでした。私はそれを何度も読んで知識を得ています。
近日中に患者さんが再診されますが、当日看護スタッフがテキパキと動けるように、スタッフに宿題を出しました。参考になる文献を読んでくるという宿題です。
女性ということもあるのかもしれませんが、スパイスに関心があり、もちろん患者さんの原因解明に協力的です。自分で言うのも何ですが、難しいケースにもスタッフ一丸となって解明してきたという自負があります。
大人になって宿題が出るとは、よもや思っていなかったでしょうが、スタッフともども原因究明のために一歩ずつ進んでいこうと思っています。


