小児科 すこやかアレルギークリニック

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いずれ、ぜんそくになる
2009年02月20日 更新

病気は早期発見・早期治療が基本です。特に慢性疾患の診断は、腕が物を言います。

先日、アレルギー体質の強いお子さんが当院を初診されました。知人のお母さんから「食物アレルギーがあるなら、すこやかアレルギークリニックに行ってみたら」という誘いがあり、受診されたそうです。お母さんとしては、卵アレルギーを何とかしてもらいたいと言う気持ちだったと思いますが、ぜんそくが最も問題でした。

これまである医療機関で「いずれぜんそくになる」という診断で治療を受けていたそうです。咳とゼーゼーといった症状がみられており、お母さんの話では週末に具合が悪くなるので、苦しそうになると総合病院に駆け込んで、低酸素の状態で何度か入院治療をされていたそうです。

最近は、自分の状態を上手く伝えられるようになってきたため、咳込みが強いと「息が苦しい」と話せるようになったそうです。ここまで話を聞いて、お母さんの認識を変えなければとハッキリ思いました。

このお子さんは「いずれぜんそくになる」ではなく、「既にぜんそく」です。しかも、「重症」です。医師は診断と、その病気の重症度をキチンと見極めなければいけません。最初は私の話をやや疑問に感じていらっしゃったようなので、本腰を入れて説明を始めました。ぜんそくでなければ低酸素状態を繰り返しません。しかも入院する必要もないはずです。

ぜんそくの診断を早くつけなければならないのには理由があります。このお子さんはこれまでゼーゼー言って、夜も眠れない状態を繰り返していました。ようやく「苦しい」と自分の息苦しい状況を分かってもらえる年齢になったのです。つまり、これまでは苦しくて仕方ないのをお母さんにも分かってもらえていなかったということになります。このように話して、お母さんもピンと来られたようです。

これまでは、シングレアというぜんそくの薬も出ていたようですが、私は重症度に合った治療を是非受けて欲しいと思いました。「ガイドライン」を示し、このお子さんは吸入ステロイドの必要な状態であることを説明し、ご理解頂きました。お母さんもいろいろ調べたりされたようですが、結局は医師の説明がメインなので「まだぜんそくではない」と考えておられたようです。アレルギー専門でなかったので仕方なかったのかもしれませんが、お母さんには「これからキチンと症状に合った治療を進めていきましょう」とお話ししました。

食物アレルギーは、医院の栄養士さんが対応されていたようです。卵製品も含めて説明があったようですが、どのレベルの卵製品を摂れるかどうかを判断するのは小児科医の役目です。そのためにアレルギー検査があり、皮膚テストがあり、食物負荷試験があるのです。医師がここまで食べていいという線を引いてあげた上で、栄養士が栄養面や食べられる工夫、代替食を提案するのが本来の“栄養指導”だと思います。

もう大きくなっているのですが、卵製品は一切食べていないそうです。今でも自分は卵が食べられないと信じ切っているようで、親御さんも仕方ないなと半ば諦めモードでした。しかし「仕方なくはない」のです!!。これ以上、放置すると精神的に食べられなくなってしまいますし、友達から我がまま、好き嫌いが激しいと誤解されてしまい、イジメの対象にもなりかねません。

当院は栄養士がおりませんが、私自身が食物アレルギーを専門として少しは勉強しているつもりですので、ある程度そういった知識も持っています。「一日でも早く卵を食べられるようにしてあげたい」、そう思ったので、食物アレルギーについても時間をかけて一から説明し、正しい知識を持って頂けたと思います。

ぜんそくも卵アレルギーも、このお子さんの場合はアレルギー専門医が対応すべき状態でした。敢えて言わせて頂きますが、一般の先生には対応し切れないと思いますし、重症アレルギーの患者さんは小児科医なら誰でも対応できるものではないことをご理解頂きたいと思います。まだ当地では、そういう考えが普及していないようです。患者さんのためにも、できれば主治医から早めに紹介して頂きたかったというのが本音です。

なお、アトピー性皮膚炎もあり、近くの皮膚科で薬をもらっていたそうですが、こちらの状態も思わしくないということでした。3つの病気とも正しく理解して頂く必要があり、昼休みをつぶして45分間話続けました。私の技術と誠意は伝わったようで、いずれも適切に治療していくことになりました。

アレルギーの病気は3つ揃うと、相当日常生活に重荷としてのしかかるはずです。ご家族の負担も少なくなかったと思います。こういう時に励ます意味でも「これまでよりは絶対に良くするから」と言うようにしています。このお子さんやご家族のためにも、重荷や負担を軽減できるよう頑張りたいと思っています。