小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

なぜ普及しないか?
2008年10月14日 更新

新潟県の食物アレルギー医療は遅れています。私は福岡県を知っているし、小児アレルギー学会などでも負荷試験を行っている施設の数を県別で調査した結果が報告されています。

先日、当院を初診された患者さんは、ある医院で食物アレルギーの治療を受けていていました。アレルギー検査の結果説明を聞きにいった時に、卵の値が6点満点のうちの「2」といういわば中途半端な値でした。これくらいなら食べて何ともないこともあるし、症状が出てしまうことがあります。

元主治医の先生は「自宅で少しずつ食べさせなさい」と言ったそうです。心配で納得いかない様子でいると、医師は同じ言葉を繰り返したそうです。母はそれを聞いて、医院を変えてみようと決意したそうです。それには理由がありました。それはお母さんも「食物アレルギー」を持っていたからです。

お母さん自身が、みんなが何気なく普通に食べている食品で、アレルギーという怖い思いをしていたので、愛するこどもに「食べさせるように」と言われても、できるはずがないのです。こういう気持ちは予想できるし、当然と言えます。小児科医たるもの、親御さんの気持ちを配慮してあげなければならないと思います。

同じ地区の同業者の先生なら、当院がこだわって「食物負荷試験」をやっているのは知っているはず。今回のようなケースは、専門医が介入しないとなかなか解決が難しいと思うのですが、なぜ紹介して下さらないのだろうと思いました。

私自身は、専門以外の分野で自分の知識内で診療して対応できないと思えば、専門の先生に紹介するようにしています。それは患者さんにとっても“幸せ”だと思うし、自分の示せる“誠実”な態度だと思うからです。私の場合は、自分のメンツを保つためなんてことは考えていませんし、それは患者さんには関係ないはずです。

小児科医の目的は、地域のこどもの健康を守ることですよね。小児科は扱う分野が広いので、何でも引き受ける方が、逆に不自然だと思うし、専門の医師に紹介することは何も恥ずかしいことはないと思うのです。それは“役割分担”だし、“お互いさま”だと思っています。

負荷試験は、時間も手間もかかるし、経験に裏打ちされた技術も必要です。という理由もあり、ほとんどの小児科で行われていません。この検査は、経営的にみても採算性が良いとは言えないと思います。ですから保険診療で認められる(技術料が支払われる)ようになっても、普及はしないのだと思います。困っている患者さんのために、他の小児科の先生がやらないことを当院が敢えて行うと言っているつもりなのですが…。

考えてみたら、地元からアレルギーの重症な患者さんの紹介はほぼなく、市外からの方が多いくらいです。私の腕を信用されていないのでしょうか?(汗)。地元からの患者さんが増えてこなければ、「食物負荷試験」を新潟県内に普及させることなんてできません。

負荷試験を入院の上でしかできないと考えている人もいるようですが、それは正しくありませんし、時代は進んでいます。日本の第一人者の先生は外来で負荷試験をやっている先生も多いし、私もこれまで何百人も負荷試験をして、食物アレルギーのこども達に除去や制限の解除に携わってきました。

昨年のこの時期は、インフルエンザワクチンの患者さんが増えてしまい、負荷試験の数をセーブしようと考えました。昨年の経験から、10月ですとまださほど混雑はせず時間的余裕があると思いますので、負荷試験はなるべくお受けしたいと思っています。

食物アレルギーと診断されて、当院を初診される患者さんが増えてきました。「食物負荷試験」は確実にニーズがあるのです。難しいケースは同業の先生方から紹介があるといいなと思っています。患者さんも含めて、正しい理解が進むことを切に願っていますし、普及させていかねばならない、そう考えています。