小児科 すこやかアレルギークリニック

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検査は何のため
2008年09月19日 更新

こどもは、採血や点滴が大嫌いです。年長になってくると、我慢できるものの、乳幼児を含めてしないに越したことはないと考えています。必要最低限の検査で、治療していくのが腕の見せどころと私は思っています。どうしても必要ならば、その結果を1有効に活かさないと、こどもが頑張った甲斐がなくなると思います。

当院は、単純に熱だけとか鼻水だけという患者さんは少ないです。しかし、“アレルギー”と前の主治医に診断されていなくても、咳の止まらない子、皮膚の治らない子が受診されます。

先日、ある小児科で「マイコプラズマ」と診断されたお子さんが、咳が止まらないと当院を受診されました。マイコプラズマ(以下、マイコと略)は、当院では内服薬のみで治療しています。マイコは効く薬があるので、内服で1~2回の通院で症状は改善してしまい、症状の長引く子はほとんどいません。前医では、何やら血液検査でそう診断されたそうですが、内服の上に点滴も繰り返し行われたそうです。それでも改善しなかったため、当院を受診されたのです。

問診と診察を丁寧に行った結果、ぜんそくと判断されましたので、マイコの薬は一切使わず、ぜんそくの治療をしてみました。薬を1週間分処方して、再診して頂いたのですが、点滴もせずに1週間であらかたの咳は止まってしまいました。前医では、どういう検査をしてマイコと診断されたのかよく分かりませんが、臨床経過からはマイコでなかった可能性が高いと考えています。もしかしたら「疑陽性」といって本当はマイコではないのに、検査上は微妙に陽性を示していただけかもしれません。検査は患者さんの治療に反映させ、症状を改善できなければ、やる意味は薄れてしまいます。

乳児のゼーゼーは専門医の間でも、診断も治療も難しいとされています。私の診ている赤ちゃんのお母さんは、とても心配性なので日頃から人一倍気を遣って説明していました。診察した際にゼーゼーが明らかに聞かれましたが、ぜんそくは慢性の病気であり、繰り返さないとぜんそくとは診断できないと説明していました。

先月、その子のお兄ちゃんがひどく咳き込み、別の医院を受診されたそうです。こんな強い咳は初めてのようです。そこでは、アレルギー検査をしてハウスダストが陽性だったために、ぜんそくと診断したそうです。お母さんは、私が症状を繰り返さないとぜんそくと診断できないと言っていたので、兄の診断を疑問に思い、当院を初診されました。

このケースは、お母さんのおっしゃる通りだと思います。ハウスダスト陽性だけをもってぜんそくの診断は確定できないはずです。やはり典型的な症状を繰り返さないと、ぜんそくの診断は下しづらいと思っています。私ならば、アレルギー検査には頼らず、症状を繰り返し、ぜんそくと診断した時点で、生活指導などのためにアレルギー検査をしたと思います。

当院は遠方から患者さんが受診されますが、某市の小児科で湿疹のためにアレルギー検査をされたそうです。卵と大豆が「2」と陽性でした。食物アレルギーと診断され、皮膚は乳児湿疹と言われていたようです。湿疹は治りにくかったのですが、食物アレルギーが心配と、そちらの相談に当院を受診されたのです。

こういうケースはよく見かけますが、顔は一見してアトピー性皮膚炎でした。卵も大豆も食べていなかったのですが、数字も低く、食べて本当に蕁麻疹などのアレルギー症状が誘発されるかは疑問です。本当は卵と大豆アレルギー疑いと診断すべきでした。アレルギー検査が陽性ということは、アレルギーの体質があることを意味しており、その上で治りづらい湿疹があればアトピーを疑ってしかるべきだと思うのですが…。

どの小児科医も“乳児湿疹”がある場合に、食べ物関係のアレルギー検査は繰り返していますが、指導は慎重にすべきです。食べ物は毎日3回食べるものですから、食事中は家庭では家族と、園では友達と楽しく過ごせなくてはなりません。値が高いから除去するというのは正しい判断とは言えず、年齢や数値、これまでの食事などを参考に、「食物負荷試験」をして慎重に判断されるべきものです。複数の食品にアレルギーが疑われるようならば、専門医に紹介して不必要な除去をなくす努力をしなければならないと思います。

こどもにとって、血液検査はなるべく避けるべきものと思っています。なぜ検査が必要なのか、タイミングは適切か、結果をどう判断して活かすのかをハッキリさせた上でやった方がいいと思うのです。マイコの件も、治療してみて改善しなければ、診断が正しいのか考え直す必要があると思っています。

いずれにしても、検査(採血)はこどもにとってやるべきメリットが大きい時にのみ行い、治療に確実に反映させるのが、小児科医としてベストな方法ではないかと考えています。