当院は、やはり新患が多いですが、最近は近隣というよりは、少し離れたところから受診されることが多いようです。
遠くから来られるということは、いつくもの医療機関を通り越して、当院に来られるということです。私の「医療」が受け入れられるのか、誠意が伝わるのか、期待外れなんて言われないのか、やっぱり気になるものです。
先日、咳と鼻、目の症状で受診されたお子さんがいました。実家に帰ると、目がかゆくなって腫れてしまい、鼻もグスグスするそうです。実家に帰る度に、毎回このような症状が出るということですから、実家に何かがあると考えるのは当然ですよね。話をよく聞いてみると、室内にイヌとネコを飼っているそうです。この時点で、イヌかネコアレルギーを疑うのは普通の発想だと思います。
さらに話を聞いてみると、イヌを先に飼っていて、のちにネコも飼い始め、そうしたら先ほどの症状がひどくなってきたそうです。イヌよりもネコの方がアレルギーを起こしやすいと言われていますので、ネコアレルギーはほぼ間違いないでしょう。
最近はペットを飼っている家庭が多く、家族同然に扱われているペットもいます。お子さんがペットアレルギーだと、ペットをどうにかしないといけなくなる訳ですが、「ペットも家族だ」と言われてしまうケースも過去にありました。イヌなら外で飼うとか、時々シャンプーして洗ってあげることはできますが、ネコだとなかなかそうはいきません。今回も苦労しそうです。
更にこのお子さんは、咳も長引くそうで、咳き込んで吐いたり、目が覚めたりと、明らかに「風邪」では起きない症状でした。アレルギー性鼻炎も結膜炎もありますので、医者ならぜんそくの可能性を考えるのは自然なことだと思っています。
お母さんに、アレルギーのプロとして、これらのことが考えられると説明しました。いちどに病気があれもこれもあると言われると、ビックリされる親御さんもいらっしゃいますが、これまで実家に帰る度に似たような症状を繰り返しており、今後も症状を繰り返し、お子さんがつらい思いをする確率が高いのです。しかもアレルギーの体質があると、アレルギーの病気を合併しやすいので、キチンと認識して頂くチャンスだと思い、時間をかけて分かりやすく説明したつもりでした。
お母さんの感想はこうでした。「今までいくつも小児科を回りましたが、どこも“風邪”という診断でした。こうやって話してもらったのは初めてです。」
私の説明を理解して下さりホッとしたのですが、一方で、この症状を“風邪”と診断してしまう同業者がいることにビックリしてしまいました。風邪で咳や鼻が出たり、目やになどの症状が出ることもあるでしょう。しかし、ちゃんとお母さんと向き合って、丁寧に問診すれば、そういった診断は出てこないと思うのです。
またこういった症状には、いわゆる“風邪薬”は効きません。病気に適合した治療をしなければ、効果はないのです。患者さんを治療しても、症状が治らなければ、診断が正しくないのではないかと見直す柔軟な姿勢がなければなりません。そうしないと“風邪薬”を出し続け、治らない患者さんは、失望して他の医療機関を受診することになるのです。こうなると、さすがに“誤診”されたと思われても何も反論できないと思います。
正直言って、私だって“ミス”することはあります。判断が難しいことだってあるのです。ただし、治療を開始して経過を追ってみて、改善がなければミスを発見するきっかけになるはずです。それが医者として、人間としての誠意だと思っています。
アレルギーはすぐには治らないので、信頼関係のもとで継続的な治療をしなければ、いい医療はできません。数ある医療機関の中で、当院の待ち時間はハッキリ言って長いと思います。それは小児科としては大きなデメリットでしょう。でも短ければ短い程、良いわけではないことはご理解頂けたと思います。
当院に定期通院をして下さる患者さんは、確実に増えてきています。私のやっている医療のニーズはあると信じて、地道にやっていこうと思っています。


