先日、ネットニュースで保育園での食物アレルギーに関する調査結果が報告されていました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160330-00010002-yomidr-soci
かなり大規模な調査で、全国の保育園を対象にしています。しかも今は新年度になりましたが、昨年度のできたてホヤホヤのデータのようです。
ちょっと気になるのが、アンケート調査の回答が43%なこと。誤食事故のあった園がすべて正直に報告しているのか、どうかによって正確な割合が変わってくるかもしれません。
いずれにしてもこの報告によれば、昨年度、全国の保育園で30%の誤食事故が起きていたそうです。以前、平成20年だったと思いますが、この時も3割くらいだったと記憶しています。
原因は、単純な「配膳ミス」だそうで、多分重症ならその子に対し意識が高いでしょうから、キチンと診断されていなかったのかもしれません。私であれば、低年齢のお子さんであれば、特に卵、牛乳、小麦であれば、負荷試験をやっていると思います。微量で症状が出れば、多めに食べて強い症状が出れば、重症と言っていいでしょうから、そう親御さんに伝えていると思います。
ただ、人間はミスをする動物。重症と分かっていても、誤って配膳することは避けられないと思っています。
2番目は、回避は相当難しいのでしょうが、「他の乳幼児の食べ物を食べた」ということだそうです。低年齢で、食物アレルギーという概念を持っておらず、危険かどうかも判断できないでしょうから、重症児に食べてはいけない食べ物をあげたり、逆にもらったりと、そんなことが起きてしまうのでしょう。
3番目が、「原因食材の見落とし」。先月の新潟県内の某市で起こり、報道された事故もここに分類されるでしょうか。給食のシチューに牛乳とチーズ入れないと意識はあったものの、スキムミルクを入れたしまったというものです。
記事にも出ているのですが、食物アレルギーの割合は0歳6.5%、1歳7.2%だそうです。以前のデータでは、1歳が9.2%だったと記憶しています。この差は何なのでしょう?。調査の規模が多ければ、全国には食物負荷試験を受けていない患者さんがとても大勢いるので、診断が曖昧になります。ちなみに、6歳は0.9%。これも従来の報告からすると、かなり低いかなと思います。
アレルギー症状が見られたのは11%の園であったそうで、誤食しても症状が出なかった子が少なくないという意味だと思います。園側も気付いて正直に報告した結果なのでしょうが、誤食に気付かず、報告にも乗らないこともあるかもしれません。
今回の結果をどう読み解くかですが、全く誤食のない園もあれば、誤食事故を複数回起こしている園もあるかもしれず、その辺も気になるところです。
この辺は相当難しいのですが、食物アレルギーがないと思われていたお子さんが、初めて園で発症したというケースも1737人いたのだそうです。
低年齢であれば、食べていない食材も多く、実際私も経験がありますが、ソバやエビ、カニ、ピーナッツ、ナッツ類、魚卵など除去する根拠もないのに、ずっと食べさせていない親御さんは結構います。確かにピーナッツやイクラは低年齢児には与えないものですが、こういう食材で事故が起きているのでしょうか?。それとも卵、牛乳、小麦といった主要アレルゲンが原因になっているのでしょうか。
食物アレルギーの診断は、アレルギー検査のみではできず、負荷試験が必須であるのは常識でしょうし、食物アレルギーに詳しくない小児科医の方が圧倒的に多く、ごくごく一部の専門医に紹介して正しく診断してもらった方が、患者さんやご家族、園側にも有利なのでしょうが、いまだに専門医に紹介しなければならないという案が出てこないこと自体に違和感を覚えます。
食物アレルギーの専門医を増やすとか、各地に負荷試験の実施施設を増やすとか、そういう医師側への対応を全く進めずに、園への対応をやいのやいの言うのはどうなんだろうと思っています。園の先生方は相当頑張っていらっしゃいます。
私は食物アレルギーは医師側の問題がメインだと思っています。今度は医師が頑張り、自分でできなければできる医師に相談するなど、良心的な対応をする番だろうと考えています。
ちなみに、私の地元上越市では園に対する研修会をやろうという動きすらありません。医師会は食物アレルギーに関心が薄いと言わざるを得ず、そういうところで進んでいないのだろうと思います。


