小児科 すこやかアレルギークリニック

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10年間
2014年08月26日 更新

今は、食物アレルギーが“流行”しているとさえ言われる時代です。

どういう訳か、食物アレルギーで強い症状を来す患者さんが増加しています。これも「急にこんなことになった」という印象を拭えません。

10年前と言えば、私が福岡の専門病院で研修をして、戻って数年経っている状況でした。食物アレルギーの関心もそう高くなく、全国的にも食物アレルギーに取り組んでいる医師は専門医でも多くはなかったように思います。この数年で、食物アレルギーに力を入れる医師が増えてきたのは、ニーズに合わせてそうなってきたのでしょう。

新潟県では食物負荷試験をやっているのは、私くらいだったでしょう。そんな中、私が当時務めていた病院にある赤ちゃんが、相談に受診されました。

確か、生後1か月の男の子でした。ミルクを与えたら、体中が真っ赤になり、夜だったので別の病院の救急外来を受診しました。ミルクを飲んで直後のことだったので、医師から「ミルクアレルギーだろう」と診断され、処置を受けて帰宅しています。

今後の方針について、私の元に相談に来られたのです。

まず検査で裏付けをと考え、ミルクのアレルギー検査を行なうのですが、何と陰性でした。プリックテストと呼ばれる皮膚テストも、陰性でした。この検査は陽性になると思っていたため、驚いた記憶があります。実は、生後間もないと、こういう結果になることはあるのです。

生後4か月になって検査を再検すると、アレルギー検査はミルク6に跳ね上がっていました。皮膚テストも大きく腫れるようになり、陽性化していました。

こういう患者さんの対応は、アレルギー用ミルクを用いながら、「普通ミルク」は除去することになるのですが、10年前も今も同様です。やはり強い症状を起こす患者さんは、しばらくは除去してもらうしかありません。

そりゃ、中にはとても重症で一生除去を続けなければいけない患者さんもいるとは思います。しかし、小学校に上がる頃には8~9割は治ることも期待されます。

その患者さんは、時折、開業した私の元を訪れていてくれました。そして、その子も10歳となりました。

私は諦めていませんでした。今年やったアレルギー検査は、ミルクの項目はクラス2まで下がっていました。加工品は少しは摂れていたので、牛乳の負荷試験を薦めました。実は、もう少し前から負荷試験は薦めていましたが、実現はしませんでした。

ということで、先日牛乳の負荷試験を行なったのです。

結果は、若干発赤が出たものの、牛乳200mlを完食しています。ご家族にとっては夢のような話だと思います。

近年は、経口免疫療法と言われ、少しずつ摂らせていく治療が注目されていますが、卵や小麦はいいデータがドンドン出てきていますが、牛乳はとりわけ治りづらいと言われており、悪戦苦闘している専門病院も多いようです。しかも、1年半前に給食後に死亡したお子さんも牛乳アレルギーでした。

私も食物アレルギーの患者さんを診る時に、小学校に上がるというのを一つの目安にしています。この患者さんの場合は、10歳にしてほぼクリアしています。

もしかしたら、小学校に上がる頃に負荷試験をしていれば、もう少し早く解除されていたのかもしれません。しかし、負荷試験の実施に合意するご家族の判断も含め、クリアに10年かかったとも言えます。

正直、小学校に上がっても微量の乳製品でアナフィラキシーを起こし、エピペンを所持している患者さんも診ています。「厳しいなー」と思いつつも、私は食べさせる、飲ませることを諦めてはいません。

最初の重い反応から10年経ち、今回の患者さんは牛乳アレルギーを克服しつつあります。牛乳アレルギーで困っている患者さん方も諦めないで欲しいと思っています。