小児科 すこやかアレルギークリニック

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2日前まで
2014年05月30日 更新

つい先日、佐渡市から上越市に転居されてきた患者さんが当院を初めて受診されました。

県外の方はあまりご存知でないかもしれませんが、佐渡市とは市町村合併により「佐渡島」にあった市町村が一つにまとまって佐渡市が出来上がっています。ポイントは、本土からは離島であるということです。

以前の経過を聞いてみると、アトピー性皮膚炎があり、地元のドクターから治療を受けていたそうです。途中アレルギー検査で卵が陽性であることが分かり、除去していました。

ここ最近、触れていますが、県内にはアトピー性皮膚炎を適確に診断できる小児科医、皮膚科医が少ないように感じています。もちろん、キチンと診断され治療を受けている患者さんは当院を受診することはないのでしょうが、少なくとも当院に逃げてくる患者さんは、まともに診療されていないのが現実です。

そういう意味では、アトピー性皮膚炎と診断されていたことは評価に値します。ただし、ステロイド軟膏の使い方、食物アレルギーの対応は「ちょっと」という感じでした。まあ、専門医でないので仕方ないと言えます。

残念ながら、食物負荷試験のことは一切説明されていませんでした。よくあるパターンで、親御さんが自宅で少しは卵の加工品を与えていました。親御さんが不安を抱えながら、自宅で少し食べさせていたのです。

私の場合、東京調布市での死亡事故の事例もあり、少しでも親御さんが不安があれば、医院で食べてもらう負荷試験の方式をとっています。負荷試験の話をして「家で少しずつ食べさせてみます」とおっしゃる方には、気をつけながらやって頂いています。

かかりつけの患者さんを守るのが小児科医の役目ですので、「自宅で食べさせなさい」という医師は責任転嫁であろうと考えています。少なくとも、食物負荷試験の存在は説明すべきでしょう。多くの小児科医が負荷試験の存在を知っていて、患者さんに知らせないのはアンフェアというか、卑怯だと思っています。

今回の患者さんも、負荷試験のことを「初めて知りました」とおっしゃっていました。私の信頼する友人で、浜松で頑張っているかわだ小児科アレルギークリニックの川田先生も最近書かれていますが、幾多も負荷試験をやっていると、だいたいどれくらい食べられそうか察しがつくとしています。確かにその通りだと思います。

当院の場合、加工品を用いたりして、なるべくアレルギー症状を起こさずに食べられるものを増やそうというコンセプトで負荷試験に取り組んでいます。今回は、卵焼きで挑戦しようと直感しました。

ただ、越えなければならないハードルがありました。お子さんは2歳で、母が卵料理は食べないよう教えてきたため、口にしようとはしないそうです。そんな状況でも、とりあえずは加熱した卵を1個食べさせてみなければなりません。“正攻法”で卵焼きを食べさせようものなら、撃沈(全く口にしてくれないということ)してしまいそうです。

ということで、“こういう時バージョン”として卵入りのチャーハンを持ってきて頂き、なるべくお腹の空いた状況で食べてもらう作戦を立てました。

親御さんには、「今度、予定を立てて負荷試験をしましょう」と言っていましたが、何と2日後に負荷試験目的で受診されました。今はさほど混んでいないので、こんなことができるのです。

作戦は見事成功し、卵1個入りのチャーハンを完食できました。お母さんも嬉しそうです。

2日前まで食物負荷試験の存在すら知らなかった患者さんが、2日後に卵1個を無事に食べられて、解除できそうなことが判明したのです。過去に翌日負荷試験に来れれた方もいたように思いますが、今回のケースはほぼ最速です(笑)。

前の先生が一生懸命対応してくれていたことは分かりますが、転居がなければ負荷試験の存在も知らず、お子さんも卵を毛嫌いし、なかなか食べられずにいたかもしれません。巡り合わせが、とても幸運だったのだと思っています。

当院は「すこやか健康フェア」という独自の啓発イベント毎年行なっていますが、佐渡市に案内を出しても参加者はいません。船か飛行機で本土に渡らなければ参加できないからです。

今回のケースを受け、困っている方は少なくないでしょうから、佐渡市へも何とか啓発をしていかなければならないと思っています。