小児科 すこやかアレルギークリニック

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2014年05月21日 更新

今日は、小児アレルギー学会の発表エントリーの締め切りでした。

私は、そんなに切羽詰まっていませんでした。21日というのは目安であって、先日私が発表してきた日本アレルギー学会でも2週間ほど締め切りが延期されるのが恒例です。

実は今回も、2週間延期されました。多分取りかかれば、そんなに時間が掛からないだろうと思っており、とりあえず延期されてラッキーです。

昨日、ステロイド軟膏に否定的な親御さんに1時間かけて説得し、アトピー性皮膚炎の治療を当院でさせて頂くことになった話をしました。真面目に診療していると、“事件”は起こるものです。

今日は、30分かけて説明したぜんそくのお子さんの話をしようかと思います。

これまであまりぜんそくのような症状は出なかったそうですが、3月にインフルエンザにかかり、それ以来ゼーゼー言い、咳が長引いているお子さんが、前医に通院しても改善しないと受診されました。

いつも食物アレルギーやアトピー性皮膚炎のガイドラインの話をしていますが、小児ぜんそくにも同様にガイドラインがあります。

ガイドラインによると、診断の目安は3回以上ゼーゼーすることと書いてあります。この3回というのは、例えば1か月間ダラダラとゼーゼー言っていれば、これは1回と数えます。一旦改善したら、1週間以上はゼーゼーしない期間が必要とされます。

それからすると、3回以上ゼーゼーを繰り返すという定義を満たしてはいませんでしたが、ぜんそくと診断されていました。ただ、3回以上繰り返さなければ、ぜんそくと診断できない訳ではなく、このことはここでは問題にしません。

私の場合、ぜんそくと診断できたら、ぜんそくが重いのか軽いのかを判定しようとします。重症度に見合った治療をしたいと考えるからです。

最近は、ぜんそくの治療はロイコトリエン受容体拮抗薬を使います。要は、軽いぜんそくの特効薬と言っていいだろうと思っています。具体的にはオノンやプランルカスト、キプレスなどが当たります。この薬が出されていました。

ガイドラインでは、ロイコトリエン受容体拮抗薬を使い、改善できないならばフルタイド、パルミコートなどの吸入ステロイドという吸い薬を推奨しています。吸入ステロイドは大人のぜんそくでよく使われます。

今回の患者さんの場合、プランルカストという薬が使われていましたが、それで改善しないと判断したのか、短期間の経過をみただけでフルタイドという吸入ステロイドが処方されていました。

それで改善がないため、親御さんが焦って当院を受診されたのです。「そんなことなら、最初から来てくれればいいのに」と思います。

吸入ステロイドは、小児ぜんそくのキーポイントとなる薬です。さほど即効性はないですが、私の印象では2週間もあれば効いてくると思っています。しかし、この患者さんでは、それがありませんでした。

吸う薬ですから、ちゃんと薬が吸えているかということにもなりますが、吸えてはいるようです。となると、なぜ吸入ステロイドという効く薬が効かないのか?と考える必要があります。

この場合、専門でない医師なら専門医に紹介するのが筋だと思うのですが、上越という地域は、専門医との連携が全く取れていない地域です。私の地元が特殊なのか、他の地域もそうかはよく分かりません。

この場合、医師を信じ続けて通い続けるか、思い切って医師を代えるかという選択をすることになります。当院が、この分野は専門であることは、周囲の小児科医はご存知でしょうから、紹介して頂くのが患者さんにとって有益なはずなのですが…。

一見すると、プランルカストが効かず、フルタイドという吸入ステロイドを追加しており、ガイドラインに沿っているかのように見えると思います。しかし、それでも改善しないのは、“見落とし”があるからと私なら考えます。

当院は、ぜんそくの患者さんを大勢診ています。この時期、寒暖の差の影響でゼーゼーいう患者さんが少なくありません。治療を一旦止めていてゼーゼーするのは致し方なく、治療を再開すれば呼吸困難などの症状は軽快するはずです。しかし、治療中にゼーゼーすると、申し訳ない気持ちになります。ゼーゼーなど症状を出さないように治療させて頂いているからです。

私の意志とは裏腹に、ゼーゼーしてしまった時は、「何故ゼーゼーしたのか」を考えるようにしています。治療していれば、ゼーゼーはしにくいはずですから、悪化理由を考える努力は必要だと思っています。

この患者さんの場合、まだ低年齢なのですが、しょっちゅう熱が出るのが気になりました。よくよく話を聞いてみると、ゼーゼーはダラダラ続きスッキリしないのですが、発熱すると悪化しやすいようです。先ほど挙げたように、風邪を引いて悪化しているようです。

いくら小さい子だからと言って、頻繁に熱が出るのはおかしいと考えました。いろいろ聞いていると、この3月から保育園に通い始めたことが分かりました。

こういう経験をされた親御さんも多いかもしれませんが、園に通い始めるとやたらと感染症をもらってきます。特に通い始めの当初は、発熱を繰り返すことはよくある話です。

これである程度、頭の中にストーリーが描かれました。3月から園に通うことで、ウィルスをもらってきては発熱し、発症しつつあったぜんそくがその都度悪化して、改善しきらずにいたのだろうと推測しています。受診時の咳の性状をみても、ぜんそく本来の咳にプラスαがあるようです。

となると、吸入ステロイドはやる必要があるのか分からなくなります。風邪を引くのは仕方ありませんが、治療を見直す必要がありそうです。

ちなみに、過去にこんな話があります。咳の長引くお子さんに麻薬系の咳止めを使い、吸入ステロイドも使い、それでも改善しないので、当院に逃げてこられたことがありました。咳を聞いただけで、当院にスタッフは改善しない理由が分かりました。結局、心因性の咳が原因だったので、どんな薬を使おうが止まるはずはないのです。

専門でないと、昨日も例えたように「北風と太陽」の北風のように、力づくで何とかしようとし、あまり立ち止まろうとしません。こういう時ほど、「いや、ちょっと待てよ」と考えないといけないのです。

親御さんは、当院での治療を希望されたので、吸入ステロイドは中止とし、考えながら治療させて頂くことになりました。太陽のとった作戦のように、焦らずじわりじわりと改善させていきたいと思っています。