当院は、市外からの受診も多いため、土曜日は結構混雑します。
水曜の午後も医院自体は休診なのですが、食物アレルギーの講演活動で休みがなく、そういう意味では、土曜の午後はちょっとした息抜きというか、私にとってはなくてはならない時間と言えます。
ところがと言うか、先週末は予定が入っていました。「気道過敏性試験」です。2件もです。
この検査については、以前も触れています。ぜんそくに関する検査なのですが、ぜんそくは、病気のない人に比べて気管支が敏感と言うか、過敏な状況になっています。
ぜんそくが治ってきた時に、この過敏さがとれてきている考えられていて、継続して行なってきたぜんそくの治療を止めていっても良いかを判断する検査と言ってもいいでしょう。
やり方は、発作を誘発するような薬をとても薄めて吸入します。薄い濃度から濃いめの濃度まで10種類用意していて、各々を2分間吸入して、その後「肺機能検査」を行ないます。
この検査もアレルギー専門医が行なうテクニックで、要は胸に貯めた空気を一気に検査機器につながった筒の中に吐き出させ、スムーズに、そして一度に吐けるかどうかをみる検査です。
この「肺機能検査」は、ぜんそく発作を起こせば、気管支が狭くなるため、一気に空気を吐き出せなくなり、検査結果が悪化します。「気道過敏性試験」の途中に、軽くでも発作が起きてしまえば、検査スタート時は良かったはずの数値が悪くなってしまいます。
「気道過敏性試験」は、10種類の濃度の吸入を行ない、最後まで肺機能が大して悪化しなければ、合格となります。合格でない場合、最初の方で悪化すればするほど、“まだ発作を起こしやすい”、“治療の継続が必要である”ということを意味しています。
ぜんそくは、慢性疾患の一種です。ゼーゼー、ヒューヒュー言って呼吸困難を起こすし、夜間睡眠障害も引き起こします。子どもの一部にみられ、しかも治りづらいため、厄介な病気と言えます。
ぜんそく発作を起こし、入退院を繰り返す患者さんもいて、そういう患者さんをもっと上手に治療できないかと考えていました。日本の専門病院ではどういう治療をしているのか見てみたくなり、福岡の専門病院で研修させて頂くきっかけになりました。
普段、食物アレルギーのことばかり書いていますが、ぜんそくにも相当こだわっています。
ぜんそくは、気管支の慢性炎症が病態とされます。気管支は見たくとも見えないのですが、ある意味、いかに長期に渡り、症状を安定させるかがポイントになります。
気管支の炎症が充分抑えることができれば、治ることも期待できます。すぐに治らない病気で、ちょっと調子がいいと「治ったのではないか」と勘違いする患者さんも多く、継続治療が困難な場合も結構あります。その結果、小児期で治しておきたいと思っていても、大人に持ち越してしまうこともあることでしょう。
子どものぜんそくは、半分は治るとされます。私としては、自分の診ている患者さんは100%治すつもりで治療に取り組んでいます。ところが、説明しているつもりですが、特に年長になってくると、親も本人任せ、本人も治療をサボりがちになってしまいます。
そんな中、真面目に取り組んで下さる患者さんもいて、そういう患者さんには、より誠意を持って治療に当たる必要があるし、症状が落ち着いてくれば、より根拠のある治療の休止を考えることになります。
それが冒頭に言った「気道過敏性試験」なのです。
土曜は2人検査を行ないました。1人は2年前にもこの検査を実施していました。前回も治療を休止できるかどうかを判断するために実施したのですが、途中で軽く発作が誘発されてしまったため、継続治療が必要と判断していました。
今回は、リベンジの検査とも言えますが、結果は合格でした。2回検査しているので、前回よりは明らかに改善していることを示すことができました。ちなみに、もう1人のお子さんも合格でした。
この2人の患者さんには、治療を休止する“根拠”を示すことができたと思っています。これは、信頼して通ってくれた患者さんへの誠意だと思います。
食物アレルギーの診療には「食物負荷試験」が欠かせないと繰り返し言っています。しかし、県内では実施している小児科は数える程しかなく、検査の存在自体も患者さんに伝えられておらず、誠意のある医療とは言い難いと思うのです。
おそらく県内の小児科医で、ぜんそくや食物アレルギーを診ていない医師はほとんどいないと思います。この「気道過敏性試験」はある程度大きくならないとできませんが、小児科医で「気道過敏性試験」をやっている医師は、負荷試験をやっている医師よりも少ないであろうと思います。
となると、多くの医師がどうやってぜんそくの診療をやっているのだろうと、ちょっと余計な心配をしたくなってしまうのです。
専門でない医師が、当院に通院しているぜんそく患者さんに「うちでも薬は出せるよ」と言いました。定期的に通う患者が増えれば、医院の経営は安定することでしょう。そういうことなのでしょうが、無責任にそういうことは言うべきではないでしょう。いや、無責任なことをやった方が、儲かってしまう今の医療システムにも問題があると言えます。
結果的に似たような薬を定期的にもらうにしても、専門医は「流れ」を見ています。最近調子が悪いから、治療を強化しようとか、落ち着いてきているから治療薬を減らそうとか考えながらやっているつもりです。
患者さんの中にも、当院は待ち時間が他の医院よりは長いため、「薬を出してもらえるのなら、待ち時間が短い医院の方がいい」と思っている方も少なくないでしょうが、アレルギー専門医ほど、逆に時間を掛けて、責任を持って根拠のある医療をやろうとしています。
薬を出してもらうならどこでも同じと思っている人もいるかもしれませんが、そうではいことに気付いて頂きたいと思っています。いや、「一緒にしてもらったら困る」というのが、私の本音です。


