ようやく新潟も春めいてきて、しばらくいい天気が続くようです。
雪の季節から解放され、私としては嬉しいのですが、スギ花粉の飛散も増えてきているようで、目を赤くして受診される患者さんも増えてきました。と同時に、寒暖の差のせいか、ぜんそくの調子が悪いお子さんが先週くらいから一気に増えています。
インフルエンザや溶連菌、胃腸炎もそれなりに流行していて、そういった症状で受診する患者さんもいれば、軽快し登園、登校許可証の記載を求めて受診される患者さんもいます。
あとは、新年度ということで食物アレルギーの診断書の記載希望者も目立ちます。外来はとても混雑し、午前中の診療が終わりませんでした。
お待たせして申し訳ないと思いつつも、普段から質問があればある程度は時間を掛けて答えています。急に手のひらを返したように答えないのも何ですし、逆にお待たせした分、キチンと答えないといけないと思っています。
結局、午前の診療が終わったのが14時半。午後診療の始まる13時半を1時間もオーバーしてしまいました(涙)。コーヒーを一杯飲んで、午後の診療を再開。診療が終わったのが19時半を過ぎていました。
こんなハードスケジュールの中、食物負荷試験は4件ほどやりましたし、新規に受診される患者さんも10人近く来られました。
負荷試験も新患の説明にも時間が掛かります。それと結構時間が取られるのは、食物アレルギーの診断書です。卵や牛乳のみの除去ならスイスイと書けるのですが、多種食物アレルギーですと、各食品をどれくらい食べているか、食べていないかをそれぞれ聞いた上で診断書を書きます。昨日は南魚沼市やお隣の富山県から記載を求めて受診された方もいらっしゃいました。
そんな中、聞き捨てならない発言がありました。皮膚症状が良くならないという理由で別の市から当院を初めて受診された患者さんが、それまで皮膚科にかかっていたそうです。
最近のアトピー性皮膚炎の治療は、皮膚の炎症をしっかり抑える必要があるとされます。アトピー自体は皮膚の病気のため、皮膚に軟膏を塗るということは“適材適所”ですし、炎症を抑えるためには炎症を抑える効果のあるステロイド軟膏を使います。ガイドラインにもステロイド軟膏は、アトピー性皮膚炎治療の中心となる薬であると明記されています。
医師の間でもかなり誤解があり、“できるだけ薄く塗る”とか“3日以上使わない”などと言う医師もいますが、ガイドラインにはそんなことは一切書かれていないのです。しかも、ステロイドを使えばいいのではなく、十分効果のある薬を選択し、使用することもポイントとされます。
皮膚に詳しい小児科医はほとんどいませんが、皮膚科はプロフェッショナルなのですから、もちろんそういったことを熟知している必要がある訳です。
ところが、皮膚症状の改善が思わしくないにもかかわらず、「危ない橋は渡りたくない」のだそうです。
一般的にステロイド軟膏を使っても、改善が思わしくないとしたら、選択したステロイド軟膏が弱過ぎる場合もあるし、塗り方が中途半端な場合もあります。薄く塗り過ぎたり、それこそ3日で塗るのを止めてしまったなどです。
多くの専門医が思っていることだと思いますが、しっかりと充分に使わないと前へ踏み出せないということでしょう。適切な強さのステロイド軟膏を使えば、皮膚症状を軽快させられることは実感していると思っています。
逆に良くならなければ、患者さんの塗り方が指導した通りに使われているかなどを確認する必要があります。なぜ良くならないのかを一緒に考えなければいけません。
多分、皮膚科のいう「危ない橋は渡りたくない」の真意は、副作用が出て訴えられでもしたら困るということなのだろうと捉えています。
これって、外科医が手術を失敗して訴えられると嫌だからと手術を拒否しているのと同じくらいのレベルの話だと思っています。外科系の先生は手術が腕の見せどころな訳ですから、手術を拒否するようなことはまずないでしょう。
皮膚科として言ってはいけない言葉だと思うし、自分ができなければできる医師に紹介する必要があるはずですが、それもありませんでした。とても残念と言うか、呆れるような発言です。
こういう発言があると、患者さんはステロイド軟膏の使用が怖くなってしまい、混乱してしまうかもしれません。上手に使えば怖くない、ということをプロとして、リーダーシップをもって患者さんに当たらなければいけないはずの皮膚科医がこれでは、良くなるものも良くならないと思っています。
アトピー性皮膚炎に対するステロイド軟膏の使用の是非は、ガイドラインができたことでかなり理解が進んだというか、誤解が減ってきていると感じていますが、こんな話があること自体を非常に残念に思っています。


