日々、真面目に診療しているつもりです。
最近、医療って“シンプル”だなと思ってしまいました。
我々医師のやることって、限界があります。例えば、インフルエンザと診断されれば、タミフルという特効薬的な抗ウィルス薬を使います。今、巷で流行っている溶連菌なら抗生剤を飲めばてきめんに症状が改善されます。
しかし、アデノウィルスやRSウィルスによる感染症は“特効薬”がないので、アデノなら「しばらく熱は下がりませんよ」と言うし、RSだったら「熱が続くこともあるし、痰が結構出てゼーゼーし、呼吸困難を来すこともあります」と説明します。ノロやロタといった胃腸炎も同様に“特効薬”がないため、嘔吐や下痢がひどければ脱水になるので点滴をし、軽ければ治まるのを待つだけです。
いわゆる「対症療法で乗り切る」というのが基本姿勢な訳です。普段、アレルギーは“誤診”が少なくないと言っています。誤診があっては、前に進めないため、キチンと診断をつけ、それに応じた対応を取ることが大切です。実に“シンプル”だと思いませんか?。
アデノウィルス感染症は、ともすると5日くらい熱が下がらないことがよくあります。事前にアデノウィルスと分かっていれば、熱が続くことが分かっている訳ですから、親御さんもさほど不安にはならないと思います。逆に診断がついていないと、「うちの子は大病なのではないか?」と不安感に苛まれることになるでしょう。
感染症であっても、診断をキチンとつける努力が必要だということです。アレルギーは慢性の経過を辿るため、診断をつけることはより重要だと思います。
ぜんそく発作を起こせば、苦しくなり、夜眠れなくなったりします。ぜんそくがあることが診断されていれば、そういった症状が出ることが予測される訳ですから、それなりの頻度で発作を起こす患者さんは、「予防しよう」という発想が生まれます。
アトピー性皮膚炎はとても痒い慢性の湿疹です。乾燥肌などと言われ、皮膚の炎症をキッチリ抑える努力をせずに、往々にして効果の弱いステロイド軟膏などが処方されることが多いようです。塗って良くなるけれど、止めると悪化するということを繰り返している患者さんは相当います。今は、十分に炎症を抑え込むのが基本ですから、アトピー性皮膚炎と診断し、症状に見合ったステロイド軟膏を使い、しっかり治療することは何より大事です。
私の力を入れている食物アレルギーも、アレルギー検査の数値が高いから除去するのではなく、食べてアレルギー症状が出るから除去する必要があります。症状が出るものは除去という対応になりますが、「除去は大変だろうな、そろそろ食べられるようになったのでは?」と考えれば、「負荷試験をやろう」と“シンプル”に考えればいい訳です。
ここ最近、講演活動をやっているせいか、遠路遥々受診される方も目立ちます。負荷試験の存在すら知らない方が多く、負荷試験に通ってくださる方も増えました。そういう地道な努力をしているつもりです。
これも忘れてはなりませんが、最近は攻める(?)負荷試験も増えました。ソバやピーナッツといったアレルゲンが数値が高くても、万が一の誤食の時にどういう症状が出るか知っておいた方がいいと考え、負荷試験を実施しています。
いくつかの要因が重なっており、最近負荷試験の実施件数が多いなと感じていました。でも実際の件数を数えていなかったので、昨日数えてみたのです。
先月新潟に来て頂いたゆうこりんさんのブログにも、私が稀に登場しますが、キャッチフレーズは「地方で年間300件もの負荷試験をしているドクター」となっています。確かにここ数年は、年間300件前後でした。
多分、当院は1日に受診される患者さんは他の小児科さんと比べても少なくないので、その上で負荷試験をやっており、これが“限界”なのかと思っていました。数は伴っていないのですが、私自身は「困っている人のためにもっと負荷試験をやりたい」と考えており、もっとやりたい、もっとできると感じていました。
昨日、数えたのですが、2013年は1月から2月にかけてインフルエンザ流行につき、一時休止していた時期もありましたが、1年間に460件あまりの負荷試験をやっていました。
一気に例年の1.5倍に増えた訳です。それ以上の件数をやっている医師もいるでしょうが、正直「だいぶ頑張ったな」と思ってしまいました。
ただ、これで困っている患者さんが減った訳ではなく、もっと頑張らなければなりません。2014年も多くの患者さんに負荷試験を受けて頂けるよう、啓発活動を続けていこうと思っています。


