慢性疾患を中心に診療していると、お盆や年末年始の休みの前は外来はかなり混雑します。
当院もそうですし、多くの医療機関が休みの体制になるので、お盆休みや年末年始を少しでも安心して過ごせるように、“早めに”動く親御さんが多いのです。
例えば、ぜんそくの患者さんで落ち着いているため、治療を中止していたところ、咳が少し出始めた場合、「早く手を打っておきたい」とおっしゃり受診されるというようなパターンです。休み前になると、そういう患者さんが増えるます。
また、熱が続いたり、軽い肺炎だったり、ぜんそく発作の患者さんは、私自身も当院の休みまでに症状を落ち着かせなければなりません。当院は13日からお休みを頂きますので、11日(土)まで何とかしなければなりません。
いつもは、風邪や胃腸炎なら「良くなれば、来なくていいよ」と言っています。とにかく安心してお盆休みを過ごして欲しいので、力ずくでも改善させようと思っています。病気が軽くない場合は「今週中にもう一度診せてください」と言っています。当院は1日に150人以上も診るような体制は取っていませんが、患者さんが集中すると、ここ最近は仕事が終わる頃にはグッタリしてしまいます(汗)。
多分、5年程前までは県内で「食物負荷試験」をやっている施設は、私のところしかなかったと思います。「すこやか健康フェア」などの啓発イベントを繰り返したり、経口減感作療法など食物アレルギーの治療法が注目されたりして、県内のアレルギー専門医の資格を持つ小児科医が、徐々に「食物負荷試験」を始めてくれています。
これは、好ましい動きだと思います。ただ、一人当たりがもっと多くの患者さんに負荷試験をしたり、負荷試験をする医師が増えなければ、対応はしきれません。何故なら、食物アレルギーは乳幼児を中心に5~10%の頻度で存在するからです。
先日、ある先生の元で負荷試験をやろうとしている親御さんと話をする機会がありました。
負荷試験に際し、同意書が必要になります。負荷試験では、症状が出なければ「食べられる」ことを意味しますが、そうでなければ、アレルギー症状が誘発されることになります。軽いものから重いものまで様々です。
一般的には、アナフィラキシーショックを起こすこともある、という文言が入れられていることが多いと思います。親御さんがおっしゃるには、やや極端な言い方なのでしょうが、死にそうになっても、病院に責任を問わないと言われているのだそうです。
予想外に強い症状を起こすこともあり、医師の側も“逃げ道”を作っておくことも必要です。本当にそう言われたのか分かりませんが、もう少しマイルドに言った方がいいように思います。
親御さんは、結局、病院で食べさせて症状が出ても、“自己責任”となるなら、自宅で食べさせても同じだろうとおっしゃるのです。さすがに、それには「ちょっと」と思ってしまいました。
当院も、負荷試験に際し同意書は頂きますが、そんな過激な文言は入っていません。万が一のために“逃げ道”は作っておいた方がいいのかもしれませんが、あまりに過激なことを言ってしまうと、「そんなに怖い検査なら受けたくない」と考える親御さんも出てくるでしょうし、今回のように病院で食べさせるのも、家で食べさせるのも同じという危険な発想につながってしまいます。
多くの小児科医が「食物負荷試験」をやっていませんが、“やらない”のではなく、“できない”のです。できなければ、できる医師に紹介するのが筋ですが、筋を通さない医師が多いのはおかしいと言えますし、負荷試験の存在すら“隠蔽”するのは「反則」でしょう。モラルの問題だと思います。
負荷試験をやっている医師も、あまり恐怖心をあおり過ぎるのもどうかと思っています。当院の場合は、入院施設を持たないため、どちらかと言えば“気軽に受けられる”負荷試験を目指しています。もちろん、アナフィラキシーを起こさないように、相当の工夫をしているつもりです。
私も10年前に負荷試験を始めた頃は、慎重で、あまり件数もできなかったですが、最近は経験を積んだおかげで、だいぶノウハウも付いてきたのかなと思っています。
新潟県の食物アレルギー医療を良くするためには、「食物負荷試験」の認知度が上がらなければなりません。8月下旬に上越市の園関係者が集まり、そこで食物アレルギーの講演をする予定になっています。
市内の医師の多くが、やはり負荷試験の「ふ」の字も言っていませんので、誰が専門的で、良心的に診療しているのか、そうでない医師も多いという現実を充分に理解して頂けるように話をしないといけません。患者さんは医師の言うことを“信用”していますが、その信用に応えようとしていない医師もいることを知ってもらうことから始めなければ、上越の医療レベルをあげることはできないと考えています。
そうすることでしか、地元の患者さんを守れないのは、残念なことだと思っています。


