ゴールデンウィークでバタバタして観ていない方も多いと思いますが、28日の土曜の夜9時からNHKで食物アレルギーに関する番組をやっていました。
私は直前にその情報をキャッチし、録画しました。再放送も5月4日(金)の午前10時半からあるようなので、録画予約してみてはいかがでしょうか。
名前は「すくすく子育て」という教育テレビの番組で、以前もアトピー性皮膚炎の特集をされたことがあります。番組では、参加した食物アレルギーの子を持つ親御さんが専門医に質問をするという形式で行なわれました。
どれも基本的で、食物アレルギーの専門医ならそう答えるだろうなという質問がいくつか出されていました。逆に、専門医でなければどんな回答をするのか、興味を持ってしまいました(笑)。
ただ、親御さんからすれば切実で、例えば妊娠中に卵や乳、小麦を多く摂ったが故にお子さんがこれらのアレルギーになったのではないか?と心配する質問もありました。
食物アレルギーは当院でも力を入れていますが、日常生活で基本的な「食べる」ということが阻害されてしまっています。「生きるためには食べなければならない」、そんな病気がなければ普段考えもしないようなことに対し、まさに“死活問題”として悩み、苦しんでいるのが患者さんなのです。
残念ながら、多くの医師が食物アレルギーに興味すら持たないため、「アレルギー検査の値が高い」=「除去」なんてことを平然と言っています。
食物アレルギーの大原則は、食べると強いアレルギー症状を起こすから「食べない方がいい」とアドバイスをするのであって、検査が高くても、食べて何ともなければ除去する必要がないと考えなければいけないのです。私が食物アレルギーにのめり込んでしまっているのは、誰かが正義感を持って、その間違いを訂正しなければならないと考えたからです。
ところが、その行動が「敵」を生んでしまっているようです。この辺では唯一の食物アレルギーの専門医なのですが、周囲からの紹介がありません。不要な除去をしなくていいように「食物負荷試験」を忙しい診療の中やっているのに、「食物負荷試験が広まってしまったら困る」という医師もいるようです。これも医師のモラルの低下と言えるのだろうと思っています。
私は、意地でも地元に「正しい情報」を広めようと思っています。アレルギーに限らず、感染症でも根拠のない医療を繰り返している医師もいます。「正しいことをやりましょうよ」と言っても、全く耳も貸さないような強者です。
敢えて言えば、ダメな医療を繰り返している医師は、地元からそういう医師であることを認識してもらわなければ、どうしようもないのだと思います。
冒頭に紹介したテレビ番組も「正しい情報」を広める“武器”になります。「私のかかりつけの先生と言うことが違う」と気付く良いきっかけになって欲しいのです。それでも「私の先生が一番」なんて“洗脳”されている親御さんもいます。“洗脳”を解くのは容易ではありませんが、それを知っていて、何もしなければ「同罪」になると思っています。
特にNHKの番組に出てくるような先生は日本の第一人者であり、私のよく言うガイドラインを作る立場にあり、それを実践してこられた先生です。常識的に考えて、田舎の開業医よりは「正しいことを言っているだろう」ということになります。ですから、私としてもこの場で紹介し、「正しい情報」を地元に広めたいと思っています。
ちなみに、妊娠中に卵や乳、小麦を摂り過ぎたせいで子どもがアレルギーになったのではないか?という質問は、「そうではない」が答えになります。過去にそれを確かめようとする研究は何度も世界中で繰り返されてきました。それの結果、そうではないことが明らかになっています。人間の体はそんなに単純なものではないと言えるのではないでしょうか。
“洗脳”という言い方は良くないのでしょうが、敢えて使っています。その“洗脳”を減らすことができれば、当院での「食物負荷試験」はもっと増えるはずです。無駄な除去を今の何倍も減らすことができるはずです。
毎日の忙しい外来の中で、こだわって負荷試験をやっていますが、私がそれをしなければ、“敵”も生まず、同業者同士仲良くできるのかもしれません。ただし、それがいかに不毛なことか。
「正しい情報」を伝える努力は、これからも惜しまないつもりです。


