小児科 すこやかアレルギークリニック

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“弁解”
2012年04月13日 更新

何か忙しい日々が続いています。

インフルエンザなどの感染症が減ってきて、普通の小児科では受診が減ってきているようですが、当院はあまり変わりません。朝から晩まで気を抜くヒマもありません。

午前中は12時半、午後は18時半に診療が終わるはずですが、定時に終わることはほとんどありません。どんなに混んでいても、定時に終わる医院さんもあるようですが、時間内に終わらせようとしていると思われ、ということは重症だったり、説明が必要な人に説明し切れていない可能性があります。これも各医院の方針だと思われます。当院は、自分の都合を患者さんに押し付けるようなことはしない“方針”でやっているつもりです。

6日の診療後に市内の小学校の先生に当院に来て頂きましたが、12日も市内の中学校の先生と18時半から会う予定がありました。いずれも18時半からエピペンの取り扱いについて話すことにしていたのですが、診療がいつも通り18時半に終わらず、19時からの開始となりました。お待たせして申し訳なく思っています。

ここ最近は、こういう話をする機会が多く、1時間は話します。先日も書きましたが、前半は食物アレルギーの考え方について、後半はアナフィラキシー時の対応について話しています。

いつも心掛けているのは、エピペンを処方している患者さんの当院受診までと、その後の経過、負荷試験をやっていればその内容、なぜエピペンを処方するに至ったかなどを説明しています。一般論だけ話していては、伝わり切らないと思うからです。

多くの医師が「食物負荷試験」の存在を患者さんに説明していませんから、当然の如く園や学校関係者の方も知りません。そのことも理解して頂かなければ、地元の医療レベルは上がってきません。

今回の患者さんの場合、1歳の時にミルクを飲み、アナフィラキシーショックに陥ったそうです。当院に来られたのが13歳の時で、10年以上も乳製品を完全に除去していました。微量でも摂れないのか、それとも治っているのか、確かめてみなければいけません。

そこで「食物負荷試験」を実施したのですが、牛乳を飲ませたら、最終的にはアナフィラキシーを起こしてしまいました。それでいざと言う時にために、エピペンを所持しておいた方が良いだろうと判断しました。

当然、親御さんから学校側に話がいく訳ですが、言い方によっては「医院で牛乳を飲ませたら、重症な状態になったので、エピペンが処方された」と聞こえることでしょう。

最近は、市内の多くの園の先生や学校の養護の先生が、当院がアレルギーを専門的にやっているのはご存知でしょう。とは言え、ずっと除去していたものを、飲ませるなんてなんて乱暴な医院だろうと思われてしまいます(汗)。

牛乳アレルギーの場合、牛乳200mlを飲んでもらい、飲み切ることができれば、それが除去や制限解除の目安となります。先に述べたように、この患者さんは10年以上も乳製品を摂っていなかったので、どう転ぶか全く分かりません。この年代の患者さんにありがちのように、牛乳を飲ませようとしても、精神的に受け付けなくなっていることもあります。

そこで当院の取り組んでいる加工品を使った負荷試験を行ないました。つまり、いきなり牛乳を材料に使うのではなく、乳成分を少量含む加工品を使い、食べられるかどうかを確認したのです。

言い方を変えれば、お城に攻め入る時に、本丸(牛乳)を陥れる前に、外堀(乳の加工品)を埋めてからと思ったのです。とにかく自信をつけてもってから牛乳へと考えました。10年以上も除去して、場合によっては“憎き敵”とさえ考えていたものかもしれません。加工品は乳成分が薄いものと、それなりに含まれるものと2回に分けて行ないました。それも難なく成功していました。

ここまで来たら、本丸である牛乳に攻め込もうということになりました。本人もやる気はありそうです。牛乳を少し飲ませると「口の中がイガイガする」と言います。これはアレルギー症状なのか、それとも気持ちがそう言わせているのか、判断は難しく、慎重に負荷を進めることにしました。

徐々に増やして一度に50ml飲ませて大丈夫だったため、次に80ml飲んでもらいました。実は、そこから症状が一気に出てしまいました。患者さんには申し訳ないですが、予想外にアナフィラキシーの状態になり、エピペンと同じ成分のアドレナリンの注射も必要としました。

この患者さんは、乳製品を長年除去してきましたが、まだ治っていないことが明らかとなりました。年齢的にもしっかりしており、牛乳を100ml以上も「誤飲」することはないでしょうが、アドレナリンを使う程の状態になってしまったので、万が一に備えてエピペンを所持して頂くことにしました。親御さんもそう希望されました。

昨日の夜の説明で、まず食物アレルギーの診療に「食物負荷試験」が欠かせず、しかも、キチンと外堀を埋めてから進めていって、牛乳を使って負荷試験を挑戦すべき状況で、アナフィラキシーに陥ってしまったことがご理解頂けたと思っています。何も知らない人から見れば、乱暴な医院と思ってしまわれかねないところが、そうでないことが伝わったと思いますし、ある意味“弁解”できたと思っています。

ここ最近も、新患の患者さん2名がアナフィラキシーを起こしており、エピペンが必要と判断し、また親御さんも所持を希望されたので処方しました。またその子の通う園や学校に出向いて話をしなければならなくなりそうです。

主治医として、園や学校で誤食などを契機にアナフィラキシーを起こした場合、居合わせた園や学校の先生に緊急の処置をお願いせざるを得ず、こちらから預かって頂いていると捉えています。となると、診療が忙しくとも、何とか時間を作ってこういう活動を継続していく必要があります。

幸い、エピペンの取り扱いの話を聞いて欲しいと園や学校に打診すると、ほとんどがすぐに対応してくださいます。地域に少しずつ食物アレルギーに関する理解が広まってきているのかなと思っています。