テレビでニュースを見ても、仕事始めの話題を取り扱っています。
当院も4日から通常の状態に戻りました。子どもの頃に皆が経験のあることだと思いますが、夏休み明けの9月の登校が気が重かったと思います。いつもは少なからず気が重いのですが、今回は正直、気が楽でした。と言うのも、水曜は午後が休診だからです。
年末の診療で気を遣うことは、患者さんが年末年始の休みを平穏無事に過ごすことができるようにすることです。流行疾患がさほど多くないこともあってか、いつもの年よりは、あまり心配なお子さんはいなかったと思っていました。
9時前に2012年の診療をスタートさせた訳ですが、診療開始1時間ほどで3人肺炎が見つかりました。当院が休みに入ってから熱が5日続いていたなんて方もいらっしゃいました。
小児科医なら皆が注意していることだと思いますが、熱が続く場合は、「熱の出どころはどこだろう?」と考えます。風邪や胃腸炎では熱はそんなに続きませんから、3日以上続いた場合は、自分でも納得のいく診断名を探すようにしています。
熱が続いて、咳もひどければ「肺炎になっていないだろうか?」と心配します。今回見つかった3人とも熱は3日以上出ていて、とにかく咳がひどかったとおっしゃいます。こういう場合は、聴診が大事です。肺炎があれば、常に異常音が聴かれるとは限りませんが、いずれも明らかに異常な音を聴取します。
この場合は、レントゲンを撮ります。病院なら放射線技師が撮ってくれるのでオーダーを出せばいいだけですが、開業医では診療がストップします。それはそれで、仕方のないことではあります。
レントゲンは、空気のあるところは白く、ないところは黒く写ります。胸といえば、主要臓器は肺と心臓ですが、肺は空気を多く含むので黒く、心臓は血液が溜まっていますから白く写る訳です。肺が炎症を起こし、その場所に膿や痰が溜まるので、本来空気があり、黒く写るべきところが白く写ることで「肺炎がある」と判断します。
一人は「肺炎になりかけ」の状態でしたが、他の二人は明らかな「肺炎」でした。もちろん全身状態が悪かったり、親御さんの不安や希望が強ければ、病院に紹介状を書いて入院をお願いすることになるのですが、幸いというか、いずれも元気です。
ここ最近よく書いているように、マイコプラズマの診断は治った頃に抗体が上がってくるので早期診断は不可能です。断定的なことを言う医師は、ハッキリ言って信用できません。ただ、私が先月中旬に兄弟をマイコプラズマと診断し、それに見合った治療をしてすぐに改善したというお子さんもいました。これは状況証拠から、マイコプラズマはほぼ確定的でしょう。何故ならマイコプラズマの潜伏期間は2~3週間と言われているからです。
最近は、多少の肺炎なら外来治療が可能になりました。今シーズン、何人もマイコプラズマの患者さんを診ていますが、入院は熱が5日以上下がらず、全身状態が悪化した2名のみで、他は全て外来で治療しています。
ぜんそく患者さんがマイコプラズマにかかると、ゼーゼー言ったり、呼吸状態が悪化することもありますが、耐性菌なども考えて行なうと、速やかに改善するようです。入院という選択肢もあるということは説明した上で、有効な薬を使い外来で経過を診させて頂くことにしました。
乳児で初めてゼーゼーしたと言う患者さんも何名かいましたが、そのうちRSウィルスが検出された子もいました。RSウィルスも下火になってきたかと思いきや、まだいるようです。
RSウィルスも、痰がたくさん出る病気で、ましてや気管支の細い赤ちゃんがかかりやすく、自分で痰を切ることもできないので、あれよあれよという間に呼吸状態が悪くなることもあります。高熱が何日も下がらないこともあります。「こうなったら入院だよ」ということも話しておかないといけません。更に、一度かかると気管が弱くなり、ゼーゼーを繰り返すこともあるので説明しなければならないことは多くあります。
結局、レントゲン写真を撮ったり、RSウィルスを調べて、また診察室に入って頂き、必要な説明をやっていると、とにかく時間を取られます。
当院の場合、水曜のような半日の日は診療終了が12時半ですが、時間通りに終わった試しがまずありません。どんなに混んでいても、12時半には診療が終わってしまう医院さんもあるようですが、私は診療のクオリティ(質)が落ちることを心配しています。
つまり、12時半に終わるように時間調節して診療していると思われ、必要な説明をしていない可能性が高いと思います。レントゲンなど必要な検査も端折っているのではないかと心配なのです。少なくとも、私なら誤診したり、説明不足になってしまうのは避けられません。
症状が改善していないのに、同じ薬を出し付けられているケースをよく見ますが、患者さんにとってはそんな失礼な話はないはずです。信頼して通っているのですから。スピード重視で、そんなことを平然とできる医院さんもあるのだと思います。私なら、自分の診断が間違っているのではないか、ではどういう検査が必要か、どの薬に変えたら症状を改善できるか悩むと思うのです。当然、時間をかけて、その疑問を解決する努力しなければならないはずです。
4日の診療が終わったのは、結局14時半でした。長くお待ち頂いた患者さんに申し訳なく思っていますが、待ち時間が短くても誤診を多ければ意味がないはずです。誤診をしないようにするために、ある程度時間をかけて診療しているつもりです。
時間をかければそれでいいか?、必ずしもそうは言えないと思います。小児科医には患者さんが考えている以上に知識や技術の差があるからです。もちろん、私もまだまだ足りないところもあります。ただ、正しく診断しようと患者さんに集中すべきところを、時間に気を取られたりしていては、満足な診療もできないことになるのは理解できると思います。
私ももう少し急いで診療することもできますが、その場合、今の診療のクオリティを保てません。ましてや、他の医院さんで改善しないために当院を受診される患者さんも少なくないので、私が同じことをしては、地元に医療レベルを上げることはできないと考えています。
話では、園の先生がお子さんの症状の改善が思わしくないと「医者を代えたら?」と言って下さっています。園医が小児科の先生であっても、当院への受診を勧めて下さるようです。ようやくというか、小児医療のクオリティの差に気付いてくれる方が増えてきたように感じています。
昨日は、2012年のマニュフェストを書きましたが、感染症などであってもクオリティの差は存在しており、その理解を更に広めることも大事な仕事だと思っています。


