ここ最近触れているように、エピペンを園が預かることに関して、新潟県はあまり積極的ではないので、何とかしようとしています。
当院でエピペンを処方している患者さんのお住まいは、いくつかの市町村に渡っており、ここぞとばかりに働きかけていきたいと思っています。
食物アレルギーで困っている患者さんは、決して少なくなく、本来受けるべきレベルの医療を受けられていない患者さんも多いのです。エピペンを処方されるべき患者さんにも、出されていないこともあると思います。
日本は、世界的にも医療水準は高い方だと思います。以前、食物アレルギーの講演で、第一人者の先生が、日本の食物アレルギーレベルは世界に誇れると言っていました。本当なのでしょうが、新潟県にいる限り、そんな風には感じられません(汗)。もっとひどい国が多いと言うことでしょうが、下を見ていてもきりがありません。
もっと各医師がレベルを上げなければならないところでしょう。その手っ取り早い方法が「ガイドライン」と言えます。
ガイドラインは、その病気の診断法や重症度に見合った治療法、管理法が書かれており、それに沿って対応すれば、ほぼ100%の患者さんの症状が改善する、生活の質(QOL)が向上すると思います。私の学ばせて頂いた福岡の病院は、ガイドラインを作成する側の先生が多かったため、何としてでもガイドラインを広めたいと思っています。
簡単に言えば、ガイドラインはその病気に関する「法律」みたいなものと言えます。実際に利用してみて、多くの患者さんの症状を改善させてきたという実感もあります。にもかかわらず、ガイドラインが守られていないことも多く、ガイドラインを守らなければ、医療費が支払われないくらいにして欲しいと思っています。
ガイドラインには大抵「金科玉条」ではないみたいなことが書かれています。特にアレルギーは十人十色と言ったところがあり、アレルギーも様々なことが解明しているとは言い難く、強制力を持たせられないのでしょう。
確かに高齢の先生になると、新しい変化についていけないこともあるかもしれません。ただ、40代、50代の働き盛りの医師でも、全く“我流”の医師も少なくありません。ガイドラインを参考にしていない医師が、明らかに対応に苦慮していても、専門医に紹介するということすらしてない現実をどう捉えたらいいのでしょう?。
結局、医師には裁量権があるため、“我流”でやっても、症状が改善しなくても、お咎めがないのです。今後は医療事故が起きた時に、ガイドラインに沿った治療をしていなければ、医師側が裁判に負けることも出てくるでしょうが、大きな問題が起きない限りは、医師の“自主性”に任され続けてしまうのでしょう。
アレルギーの患者さんの口からよく聞かれることですが、「これまで良い医師とは巡り会えなかった」という言葉は、圧倒的に医師側が強く、患者さん側が弱く、情報不足であることを表しています。私としては、本物の専門医以外はアレルギー科を名乗ってはいけないようにして欲しいのですが、それも“裁量権”があり、制限はできないでしょう。
結局行き着くところは、医師の良心となってしまうと思います。正直に「これ以上はどうにもならないので、専門医に診てもらいましょう」と言ってくれる医師が増えるのを待つしかないのだろうと思います。
先日、診療中に患者さんから悲しい話を聞きました。お母さんの知り合いのお子さんが、マイコプラズマと診断され、1週間も外来点滴に通ったのだそうです。
私が20年小児科医をやってきた常識では、1週間も外来点滴に通わせるなんて考えられません。本当にそこまで悪ければ、入院が必要だったはずです。小児科医の99%がやらない対応であり、スタンダードなやり方と思ってもらっては困ります。
実際、病院に入院した方が治りがはやいくらいです。点滴だって何度も刺していれば刺すところもなくなり、7回以上針を刺されたことになります。ちなみに入院すれば、小児科の場合は点滴しっぱなしのため、1回で済みます。
マイコプラズマの診断が正しければ、有効な抗生剤がありますから、それを使えば内服でも効くことが多いし、今度触れようと思っていましたが、マイコプラズマには耐性菌が増えてきています。それだったとしても耐性菌に有効は抗生剤があり、当院でもそれ用の“内服”の抗生剤を使い、悪かった肺の音が2日できれいになったり、驚く程の効果を確認しています。
今どき、熱が何日も続くのは、マイコプラズマではなく、RSウィルスの方が可能性は高いと思います。今年当院で6日熱が下がらず、病院に紹介した患者さんがいます。診断が正しくなかった可能性すら考えられます。
この7日間にどういう薬がどのように使われたのかはよく分かりませんが、敢えて言えば、私が診ていたらこうはならなかっただろうと考えています。重症な肺炎を起こしていたら、入院の適応ですし、病院に紹介し入院治療をお願いしていたことでしょう。
この例えを出したのは、親御さんが“医療”に満足していたら、何も起きないということです。「○○先生のお陰で入院せずに済んだ」とお思いなのでしょうが、もっと適切な対応があったと思うのです。私は可哀想なことをしたと考えます。
親御さんが子どものために、「もっと良い医療あるのではないか」などと疑問に思って欲しかったと思います。ちなみに、感染症の「ガイドライン」には、マイコプラズマと診断して治療しても2日間熱が下がらなければ、抗生剤を変更すると書かれており、ガイドラインを守っているとは考えにくいのです。
私がアレルギーや呼吸器感染症にこだわっているというところもあるのでしょうが、アレルギーであれ、呼吸器感染症であれ、ガイドラインに沿わない医療はなくさなければならないと思っています。“強制力”がなくてもです。
最近、園や学校の先生や親御さんの職場の方が、通院してもあまり症状が良くならないと「医者を代えたら」とアドバイスして下さるようになり、当院を受診して下さる患者さんが増えています。でも、今回紹介したような患者さんは存在している訳です。
園の先生方にも、更に感染症に対する知識を持って頂けるよう働きかけを行なっていきたいと思うし、そうしなければならないと思っています。


