以前も触れたことがあるのですが、私が開業を思い立ったきっかけがあります。
勤務医時代に週に2コマアレルギー外来をやっていました。次第に予約枠に収まりきれなくなり、午前中の一般外来にまでアレルギーの患者さんが受診されるようになりました。「開業医になれば、毎日診療ができる」、それが起業を思い切らせた理由でした。そういう意味では、開業医になって良かったと思っています。
開業医になってみて分かったのですが、勤務医時代と比べて明らかに患者層が違うと思います。やはり開業医は、病院ほど敷居が高くないので、受診しやすいのでしょう。
病院だと、開業医に通ってみて良くならない患者さんが受診されることが多いように思いますが、開業医だとまだ軽い、発症の初期から対応できることが多いようです。ただ、いかんせん当院は地元上越市でも開院5年目に入ったとは言え、まだまだ新参者のため、最初から治療できないことも多いのです。
とても残念なのは、私からみて、明らかに診断が間違っており、治療もおかしいのですが、それを患者さんは正しい医療を受けていたと信じていらっしゃるのです。
患者さんからすれば、医師は正しいことをやるものと信じ切っている訳ですが、特にアレルギーに関して言えば、私のよく言うガイドラインを守っている医師がどれだけいるのだろうか?と思っています。
最近、急に秋めいてきて寒暖の差がみられるようになりました。それに伴い、ぜんそくのお子さんが調子悪いようです。それなのに、マイコプラズマと誤診されて、咳が改善せずに当院を受診されるケースがとても増えています。
患者さんに「マイコプラズマじゃないから、その治療をしても良くらないと考えると分かりやすいですよね?」と言っても、多くの患者さんが「あっ、そうですよね」と理解して下さるのですが、先日来られた患者さんは「キチンと診断してもらって、安心していた」とおっしゃるのです。
「うーん、洗脳されている」と思ってしまいました(汗)。プロは正しい診断をして、それに見合った治療をします。症状があって困って、医療機関を受診される訳ですから、診断の時点で安心してもらうのは時期尚早と言えましょう。良くならなければ「診断が間違っているのではないか?」と考えるべきで、適切な治療を受けて、症状が落ち着いてから、ホッとして頂きたいし、もっと“医療”に期待してもいいのではないかと思っています。
特にアレルギーで困っている患者さんは、いろんな医療機関を受診し、いろんなレベルの“医療”を受けているので、驚くほどの医療レベルの医師がいることも知っていると思います。今はアレルギーに限らず、ほとんどの分野でガイドラインという治療指針が出ていますので、それをすべての医師が守っていれば、医師にレベルの格差はできないはずです。でも実際は違いますよね?。
私自身、決して優秀だとは思っていませんが、小児科医として誠実でありたいと思っています。10月1日の「すこやか健康フェア」の講師を務めて下さる柴田先生もそうですが、私の学んだ福岡の専門病院には各種アレルギーのガイドラインの作成にかかわった先生が多いため、ガイドラインは守りたいと思っているし、広めたいと考えています。
県内では、食物アレルギーのガイドラインを守っている医師は極めて少ないと言えます。それが証拠に、食べられるかどうかの判断は「食物負荷試験」によるべきはずが、ほとんど行なわれていません。これは新潟県に限りませんが、全国的には少ない方だと思います。
敢えて言えば、患者さんが一方的に医師を信じている訳で、医師がその信頼に沿おうとしているかどうかは、これはガイドラインを守っているかどうかと言い換えることができると思っていますが、患者さん自身がガイドラインを知ることで初めて、現在受けている“医療”を知ることができるのだと思っています。
場合のよっては、悲しくなることもあるかもしれませんが、ご自分の子どもを守るためには知っておかなければいけないことだろうと考えます。アレルギーのガイドラインを地元で広めることが私の責務なのだろうと思っています。
その一環である「すこやか健康フェア」を何とか成功させたいと思っています。


