3年程前に児童、生徒の間にアレルギー疾患の頻度があまりも高いことを受けて、心臓病と腎臓病にしかなかった「学校生活管理指導表」にアレルギー疾患バージョンが作成されました。
教育委員会や医師会があまり積極的でないとも言われているようですが、そのためこの学校生活管理指導表がなかなか活用されていませんでした。しかし、徐々に広まってきています。
その幼稚園、保育園版とも言える「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」がこの3月に公表されました。時間が経っていないこともあり、全国的にもほとんど活用されていないと思います。しかし、いずれは幼稚園、保育園の先生方も親御さんも理解しなければいけない時が来ることでしょう。
この「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」は食物アレルギーだけでなく、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の5つの病気について触れています。
いつも言っているように、県内は食物アレルギーの専門医がほとんどいないので、専門医でもキッチリ正確に書くのは難しいと思いますので、普通の小児科医が記入するのは更に困難かと思います。しかも、小学生以降では食物アレルギーの頻度は2.6%とされますが、未満児保育も含めると、乳幼児は5~10%と患者数は劇的に増えるので、小児科医の手間は一層増加します。
「診療が忙しくて書けない」という医師も出てくるでしょうが、それも含めて仕事なはずです。書く時間がないのなら、書いてくれる医師のところに行くよう勧めるのが普通だと思うのですが、そうもしてくれないことが多いようです。医師が書かないと園にも普及せず、より一層このガイドラインの普及が進まないことになります。
これは全国統一の書式なので、園の先生や親御さんも一度理解しておけば、いちいち引っ越しなどで書き直してもらうこともなくなります。理解のある医師が増えてくれば、使いやすいツールなのですが、食物アレルギーに取り組む医師の少ない都道府県では、普及にどれだけ時間がかかるのだろうか?と思っています。
当院では、このガイドラインを1年に3回くらいのペースで解説する院内勉強会を続けていこうと思っています。確実にニーズのあることですし、それを知ることで、食物アレルギーを含め、子どものアレルギーについても理解を深めることができます。今回は、その第一弾と思って頂ければいいと思います。
昨日、資料として「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の食物アレルギー、アレルギー性鼻炎の部分を提示しました。ちょっと見づらかったかもしれませんが、例えば食物アレルギーの最初の項目のところは「食物アレルギー病型」と書かれています。
1.食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
2.即時型
3.その他(新生児消化器症状、口腔アレルギー症候群、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、その他)
これだけで園関係者、保護者の方はお腹がいっぱいになってしまうと思います。更に、次の項目は「アナフィラキシーの病型」と書かれています。
1.食物
2.その他(医薬品、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、ラテックスアレルギー)
更にその次に「原因食品・除去根拠」と書かれていて、アレルギーを起こしやすい食品として1.鶏卵、2.牛乳・乳製品、3.小麦、4.ソバ、5.ピーナッツ、6.大豆、7.ゴマ、8.ナッツ類(すべて・クルミ・アーモンド・ )、9.甲殻類(すべて・エビ・カニ・ )、10.軟体類・貝類(すべて・イカ・タコ・ホタテ・アサリ・ )、11.魚卵(すべて・イクラ・タラコ・ )、12.魚類(すべて・サバ・サケ・ )、13.肉類(鶏肉・牛肉・豚肉・ )、14.果物類(キウイ・バナナ・ )、その他とあり、その項目のそれぞれについて除去する根拠を記載することになっています。
「除去根拠」として以下の根拠を挙げる必要があります。
1.明らかな症状の既往
2.食物負荷試験陽性
3.IgE抗体等検査結果陽性
4.未摂取
今日はこれ以上は書きませんが、他にも頭が疲れてしまうような項目を記載する必要があります。注目して頂きたいのが、先の除去根拠の2番目に「食物負荷試験陽性」という項目が挙げられていること。新潟県では普及していませんが、食物負荷試験をやるのがスタンダードとされてきているからです。アレルギー検査が高くても食べられることもあり、3番目の「IgE抗体等検査結果陽性」よりも上に挙げられています。
もうひとつのポイントが4番目の「未摂取」の項目です。場合によっては、乳児も記載が求められることがあるので、この項目が加えられたと聞いています。
30日(土)の14時からこれらについて解説していきたいと思っています。アレルギーを持つ幼稚園児、保育園児のために理解しておきたいことが求められており、一緒に勉強していきたいと考えています。


