小児科 すこやかアレルギークリニック

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手を洗う
2011年07月05日 更新

先日、市外から患者さんが受診されました。

当院は、上越市に位置していますが、市内のみならず市外からも患者さんが受診されることが多いのです。食物アレルギー、アトピー性皮膚炎が多いですが、ぜんそくの患者さんも少なくありません。

市内からであろうと、市外からの受診であろうと、困っている患者さんには変わりがないので、どの患者さんにも丁寧な対応を心掛けているつもりです。

その患者さんは、体の所々にアトピー性皮膚炎の湿疹があり、かなり掻き壊している状況でした。肘の内側、膝の裏側に典型的な皮疹があり、また指先が傷だらけで、爪もガタガタな状態でした。

地元の皮膚科に通っても改善せず、総合病院の皮膚科に変えてみたのですが、同じ薬を出されるのみでした。いつも言っていることですが、症状が良くなっていないのに同じ薬を処方され続けるのは、患者さんから「症状を良くしたいと考えていないのではないか?」と思われても、反論できないはずです。

患者さんには、ベストを尽くすべきです。良くならなければ、もっと必死になって知恵を出して何とかするのが「プロ」だと思っています。アトピー性皮膚炎で困っている患者さんは多く、そういう意味で、“プロフェッショナル”って決して多くはないのではと思わざるを得ません。

私のよく言うガイドラインには、1ヶ月程度治療しても良くならなければ、小児科や皮膚科のアレルギー専門医に紹介すると明記されていますが、誰も守っていません。ガイドラインが治療の指標になるはずなのに、そのガイドラインのその部分をご存知ない小児科、皮膚科の先生が多いのかもしれません。

私もまだまだだと思っていますが、他院で良くならないアトピーの患者さんは大勢診ているので、こういう時はどうしたらいいかは、それなりに知っているつもりです。

今回の患者さんには、私のよく使う“奥の手”(?)を使いました。1週間後に再診して頂きましたが、作戦がピタッと決まり、かなり改善してくれていました。

親御さんがおっしゃるには、手が傷だらけのため、園で石けんをつけて手を洗う際にしみてしまって、嫌がって手もろくに洗うことができなかったそうです。それがビックリするくらいに改善し、今では石けんをつけて洗えるようになったそうです。

手を洗うことは、老若男女誰でも当たり前に行なっていることだと思っていました。初診時にそこまで聞いていなかったので、「手も洗えていなかったなんて」と思いました。当たり前のことができなくなるのが、病気と言えるのかもしれません。

私が特別なことをやっている訳ではありません。ただし、これまでの皮膚科の先生の治療をみて、同じことをしてはいけないため、治療を強化して対応させて頂きました。それを「技術」と言うのなら、私の「技術」をもっと他の困っている患者さんのために役立てたいと思っています。

今の保険診療は、治る治らないにかかわらず、とにかく大勢を診て、薬を処方すれば利益が上がるシステムになっています。いちいち詳しく説明していたら、大勢診られないので「とりあえず塗ってみて」なんて感じで診療が進んでいるようです。これは特に開業医は、その傾向が強いようです。

本来なら、アトピーならアトピーと診断し、ステロイドの副作用に対する不安をなるべく払拭してから、ステロイドの塗り方(塗る濃さや減らし方)を理解して頂いた上で、ステロイドを処方すべきなのです。実際に、皮膚科、小児科に行って塗り方まで指導されているケースはかなり少ないはずです。

紹介すれば患者が減るという側面も大きいのでしょうが、快く紹介状を書いてくれる医師も少なく、現在の保険診療のシムテム下では、アトピーで困っている患者さんは減らないと思っています。

以前も、今度は市内の話ですが、小児科医でアトピーの診断もされずに、顔を掻き壊し、ジクジクした状況で受診された患者さんが初めて当院を受診され、やはり1週間で劇的に改善しました。かなりひどい状態でしたが、当院へ紹介ではなく、患者さんが困り果てて当院を受診されたのです。

今回の「手を洗う」という当たり前のことができない患者さんのように、日常生活に制約のある患者さんはほかにも大勢いらっしゃると思います。敢えて言いますが、開業医にかかっている場合、良くならなくても医師から紹介状を書いてもらうことは、私の経験上、期待できません。何度も通っても良くならなければ、皮肉なことですが、医者を代えることが一番の“対処法”と言えるのだと思います。