国民皆保険制度ができて、50年を迎えたそうです。
昨日、NHKの番組でそう言っていました。ただ、医療費が年々高騰し、破綻をきたしてきているそうです。
日頃から、この場でアレルギーの病気のことを書いています。書いていることは、結局は「根拠のあることをやろう」という言葉に集約されてしまいます。
いつも言っているように、ある小児科でぜんそくなのに“風邪”とか“マイコプラズマ”と診断されている患者さんにぜんそくの治療を開始すると、あっという間に症状は軽快します。また、アトピー性皮膚炎なのに“乳児湿疹”などと軽くみられ、適切でない治療しかされていなかったお子さんに、ガイドラインに沿った治療を行なうと、あれだけ治らなかった湿疹がたった1週間後に相当改善してしまうことはよく経験します。
患者さんはすぐに症状が改善し、医師も信頼が得られるはずなのに、なぜガイドラインを重視しないのだろう?と疑問に思っています。
特に田舎では、「お医者さんがおかしなことをするはずがない」と思われているふしがあります。名が通っていれば、尚更です。私も含め、それに甘えている部分もあるのかもしれません。残念ながら、根拠のないことが繰り返されていたりします。
敢えて言いますが、この診断を間違い、治療も間違っているという医療は、同じ医師が繰り返していることが多いようです。かく言う私も失敗することもあります。しかし、なるべくガイドラインに則り、素早く修正しようと努力しているつもりです。
先日、ある小児科さんに通っても良くならないと患者さんが受診されました。かれこれ2ヶ月も咳が止まらないのだそうです。その医院さんではマイコプラズマという診断でした。実は、咳が長引いて当院に移ってこられる患者さんのほぼ全員が、マイコプラズマと診断されています。残念ながら、当院で検査してもマイコプラズマの反応は出た試しがありません。
上越で診療したり、園や学校関係者の方と話す時に、「ウィルス感染の時に抗生剤って効かないんですよ」と言うと、ほとんどの方が「えっ、そうなんですか。知らなかった…。」とおっしゃいます。医師なら全員知っているはずですが、親御さんは知っておかなければいけない事実でしょう。
これも知っておいて頂きたいのですが、マイコプラズマは溶連菌、肺炎球菌などとは全く別系統のものです。いずれも抗生剤を使って治療しますが、溶連菌や肺炎球菌に効く種類の抗生剤は、マイコプラズマには効かないことがあります。抗生剤は何種類もあるため、原因菌を考え、それに見合った抗生剤を選択しないといけないのです。
普段、ガイドライン、ガイドラインと言っていますが、これはアレルギーだけではなく、感染症のものも存在します。「小児呼吸器感染症診療ガイドライン」というものがあるのです。
このガイドラインに頼るまでもないのですが、どの小児科でもよく使われるフロモックスという抗生剤がありますが、これはマイコプラズマには効果は期待できないのです。
実は、先の2ヶ月咳が出て、マイコプラズマと診断されていた患者さんは、お母さんの話によると、フロモックスという薬をかれこれ2週間飲み続けているそうです。それを聞いて「えっ、ふろもっくすぅ~!?」と聞き返してしまいました。
マイコプラズマと診断され、マイコプラズマに有効とされる治療をしても改善がなければ、マイコプラズマという診断が間違っているか、マイコプラズマの耐性菌と言って、ひねくれて抗生剤の効きにくなっているのかを考えなければなりません。でも、このお子さんは、ぜんそくでした。診断も治療も間違い、2ヶ月も症状が改善していませんでした。
冒頭の話に戻りますが、国が医療費削減にやっきになっていますが、このケースだけでどれだけ無駄な医療費が使われたことでしょう。ぜんそくのガイドライン、呼吸器感染症のガイドラインを参考にして、正しく診断する努力をして、適切に治療していれば、当院に来る前に速やかに症状はなくなっていたものと思われます。
以前、アレルギー医療はくじ引きのようにアタリ、ハズレがあると書きましたが、一部のことだと思いますが、感染症であっても根拠のないことが繰り返されている可能性があります。
医療は各医師に一任されている格好ですが、例えばガイドラインを守らなければ、何らかのペナルティが与えられるようにしなければ、医療費は減らないのかもしれないと思っています。それくらいのことは必要でしょう。
親御さんは、自分のお子さんを守るために、通院しても良くならなければ、アレルギーに限らず、ガイドライン通りの適切なことをやられているのかどうかを親御さん自らが確認する必要がありそうです。


